賢明なるcitrus読者の皆さまは、元財務省事務次官セクハラ問題にTOKIOの山口メンバー問題にモリカケ問題、それに日大アメフト部悪質タックル問題やサッカーW杯最終メンバー発表……と、さまざまな不祥事が目白押しな、とくにここ数ヶ月(※「W杯最終メンバー発表」は別に不祥事ではない)、とある言葉がじわじわと……でこそあれ、確実にネット上で増殖しつつあるのをご存じだろうか? そのキラーワード(?)とは、ズバリ!
「ダメだこりゃ」
……である。
上記ほかの不祥事の数々を、あの手この手の斬り口から伝えるあらゆるニュースの下にあるコメント欄をチェックすれば、かならず1か2か10は確認することができる。あまりに凄まじい頻度で見かけるから、今年の流行語大賞にノミネートくらいはされてもいいのではないか……と、個人的には思っている。
たとえば、日大アメフト部問題で、大塚日大学長が記者会見で、関東学生アメリカンフットボール連盟が当該選手の危険タックルについて「内田前監督、井上前コーチが指示した」と認定したことを受け、「意見がまったく違う」と不満を露わにした……というニュースが配信されれば、すかさずそのコメント欄に「ダメだこりゃ」と添え、個々の持論を延々と展開していく(※「ダメだこりゃ」のみで完結するパターンも有り)のが正しい使い方と(おそらく)されている。
「ダメだこりゃ」は言わずもがな、かつてザ・ドリフターズのリーダーだった故・いかりや長介が、生前に好んで使用してた決めゼリフだ。カトちゃんや志村あたりが、もうどうにも収拾不可能で奇天烈なパフォーマンスに興じてしまった際、腹の底から絞り出すようなダミ声で、いかりやがつぶやく「ダメだこりゃ」(※通は「ダベだこりゃ」と発音する)は万人に愛された、なんとも使い勝手の良い、麻薬のごとく耳障りにも優れた名文句であった。
最近の若いネット世代が果たして、そんなルーツをご存じで使用しているのか否かは定かではないけれど、いずれにせよ“過去の格言”がこうやって温故知新のかたちで再び脚光を浴びるのは、昭和世代の我々としても喜ばしいかぎりだったりする。
が、私をも含む、まだまだ若輩の輩が安易に「ダメだこりゃ」「ダメだこりゃ」……と節操なく乱発しまくるのは「ちょっと上から目線すぎだろ」「10年、いや20年早いのでは…」……って気もしないではない。比較的“勧善懲悪”がはっきりとしている一連の不祥事(※くどうようだが「W杯最終メンバー発表」は不祥事ではない)において、バッサリ「ダメだこりゃ」のひと言で大岡裁きに走りたくなる心情は理解できるが、一方で「じゃあ、そうひと言で断じることができるアンタは何様?」みたいな読後感の悪さも正直、私は感じてやまない。
やはり、「ダメだこりゃ」で場を超然と仕切ることを許されるのは、いかりや張りに「高木ブー・仲本工事・加藤茶・志村けん(荒井注)」クラスのクセ者軍団を独裁的に束ねるだけの“器のでかさ”が不可欠なのではなかろーか?
……と、同様に上から目線で語る自分に「ダメだこりゃ」とツッコミを入れながら、軽いパラドックス状態へと陥る今日この頃の私であった。