仲の良い友人とぶらり二人旅。同性だから気を遣わずに済むし、話題も合う……。はずが、「もう二度と、アイツとは旅行したくない!」と予想外に落胆してしまうことは少なくない。「同性ふたり旅」は、なぜ友人関係を壊してしまうのか。
■そもそも旅の「目論見」が違う
美しい景色を眺めたり、見知らぬ誰かとコミュニケーションをとったり、買い物をしたり――旅の“目的”は人それぞれ違う。
A「私、ハワイに行きたいんだよね~」
B「いいね~、一緒に行こうよ!」
事前にこうしたアグリーがあったとしても、Aの主たる目的は観光ではなくブランド店めぐりかもしれないし、Bの主たる目的はブランド店めぐりではなくハワイでのゴルフかもしれない。
ふたりきりで出かける危険性のひとつがこれだ。「旅に出る」というベクトルが同じであるうちは、どこに行こう、何食べよう、とワクワクドキドキできるのだが、互いの目論見が違うと現地で気づいた瞬間、何もかもが気に入らなくなるのだ。
■男女で違う喧嘩の理由
ふたり旅で喧嘩になる理由は、大きく分けると下記の3つ。
- 計画段階ではノータッチなのに、現地でワガママを言いだす
- 予定していたことを突如覆す
- 互いに初めて訪れる場所で、余裕がない
女性のふたり旅で多いのは1だろう。「よく知らない場所だから、まかせた!」とばかりに自分の「発言権」を放棄していた側が、現地で急に「あれしたい!」「これしたい!」「だから調べて!」とワガママを言い出すのである。
計画時からふたり分の“責任”を背負っていた側にすれば、たまったものではない。常に気を遣い、相手の顔色をうかがってヘトヘトになっているのに、「もっと買い物がしたかったのに」「○○ちゃんが選ぶ場所ってヘンなとこばっかり」「私は××に行きたかったのに」と文句を言われようものなら、その場で置き去りにして日本にUターンしたくなるのだ(体験談)。
逆に、男性のふたり旅にありがちなのは2だ。たとえば、友人と北海道へ行ったとする。「翌日早朝に札幌から室蘭まで足を延ばそう」と話していたにもかかわらず、友人が前日飲み過ぎて体調を崩し、朝からグロッキー状態。近場でウニいくら丼を食べるどころか、ホテルの部屋すら出られずに終わる……なんて状態になった挙句、「こんなことになる前に、おまえが止めてくれればよかったのに!」なんて逆切れされようものなら、大通公園の噴水に頭から突き落としてやりたくもなるのだ。
■同行者は「仲良し」じゃなくてもいい
こうした旅先でのもめ事を回避するには、旅に出る相手を「選ぶ」ことが何より大切だ。気が合うから、話していて楽しいから、そんなふんわりした理由は危険すぎる。たとえそこまで仲良くない相手でも、
- 旅慣れている
- 普段から面倒くさいことをしない・言わない
- 金銭面でケチケチしていない
- 相手を思いやれる
- ハメを外さない
この五か条をクリアした、“大人”で“常識的”な相手をセレクトするのが必須だ。
また、旅行中もふたりきりの時間が長くなりすぎないよう調整すべきだ。他のグループと合同のオプショナルツアーに申し込んだり、フリータイムを作っておいたりすると、互いに責任感が生まれ、もめる可能性は低くなる。
■それでも喧嘩してしまったときの対処法
喧嘩の理由3で挙げたように、旅先では互いに“余裕”が減り、イライラが募りやすい。また、そうした積み重ねが喧嘩につながるので、一度爆発すると収束は困難を極める。どちらかが大人になって「あ~、はいはい」と矛を収めるしかないのだが、それでも収まらない場合はまる1日、別行動をとり、互いに頭を冷やすといいだろう。
少しでも不安の残る相手と出かける場合は、いわゆるパッケージ旅行(ツアー)にするのも一手だ。さまざまな手続きをツアーコンダクターさんが代行してくれるわけで、その分、不安や負担が減り、心に余裕が生まれる。ゆえに、同行者に対する不平不満もふくらみづらい。
また、旅行から戻った後は、なるべく引きずらないようにしたい。そもそも、自分の余裕のなさも喧嘩の要因になっているわけで、余裕さえあれば、その相手は「一緒に旅行してもOKだと思えるくらい仲の良い友達」なのだ。「旅行にさえ行かなければ大丈夫」。そう肝に銘じておけばいいだけで、いつまでもウダウダグチグチと引きずっても、自分自身のレベルの低さを周囲に晒すだけだ。
人生を彩る思い出には、“楽しい”“うれしい”をたくさん詰め込みたいもの。そのためには、自分自身に“余裕”が持てる同行人、旅程を選ぶことこそ、何より大切なのかもしれない。