「口臭がひどい人は、中高年のおじさんが多い」…そんな固定概念が脆くも崩れ去る、興味深い調査データが明らかとなった。
口臭ケアや口臭に関する知識の啓発を行うブレス・ハザードプロジェクトは、来る6月4日〜10日の「歯と口の健康週間」に先立ち、全国47都道府県4,700名を対象とした口臭ケアに関する意識調査と、株式会社タイヨウの口臭測定器を用いた首都圏214名を対象とする実態調査を実施。日本人の口臭の実態、ケアの現状と課題についてまとめた『口臭白書2019』を発表した。
また、より口臭スコアが深刻なのは40〜60代の「中高齢層の女性」であり、約4人に1人が基準値をオーバー、女性の約6割が「口臭予備軍」ということもわかった。
この原因について、歯科医師の若林健史氏は「口臭の原因である歯周病のリスクが男性に比べ女性の方が高い」という点を指摘した。
女性ホルモンの分泌量の変化が、口腔内の血液循環やプラーク中の細菌に影響を与える関係で、女性の方がより歯周病の罹患リスクが高い。特に「思春期」「妊娠・出産期」「更年期」の3つのタイミングでリスクが高まりやすいとされ、この女性特有の歯周病リスクが口臭と少なからず関係していると推測される。
1日の歯磨き回数別に口臭測定スコア基準値以上の比率を比較すると、1日の歯磨き回数が少ない「1日2回以下」は12.0%、回数が多い「1日3回以上」は14.2%となり、むしろ回数の多い人の方が基準値オーバー比率が高いという結果に。
セルフケアの頻度を増やすだけでは口臭は改善されないようだ。口臭ケアにおけるセルフケアの限界がうかがい知れる。
若林氏によると、歯周病の有無を問わず、できれば3ヶ月に1回程度のペースで歯医者に通い、歯のメンテナンスやクリーニング、カウンセリングやケア方法の指導を受けることが理想的だという。
また若林氏は、「特に女性は、歯周病リスクが高く、仕事や家事、子育てと毎日忙しいですから。適切な口臭ケアを実現するには、家族や恋人など、周囲のサポートも大切です」と指摘した。
病的口臭の発端となるのは歯磨きの際の「磨き残し」が原因で生じる歯垢だが、どれだけ上手に歯を磨いている人でも2割程度は磨き残しが生じると言われている。いくら時間や回数を増やして熱心なセルフケアを行っても、間違えた方法でケアしてしまうと口臭リスクは低減されない。
先進各国の中でも日本人はオーラルケア意識が低く、とりわけ口臭については外国人から「嘲笑の的」になることも少なくない。“口臭大国・ニッポン”の汚名を返上するためにも、国民一人一人の健康で爽やかな口腔環境に貢献することを目指す「ブレス・ハザードプロジェクト」に今後も注目したい。
【参考】
※ブレス・ハザードプロジェクト:
https://www.gogohaisha.com/breathhazard/