
ヘルシーで、ダイエットにぴったりというイメージも強い「こんにゃく」。実際に、こんにゃくを食べて減量を目指す「こんにゃくダイエット」が話題になることもあります。こんにゃくを食べるだけで、本当にやせることができるのでしょうか?
そこで今回は、こんにゃくダイエットのリスクと正しいやり方、こんにゃくを使ったおすすめレシピを管理栄養士が解説します。
こんにゃくは低カロリー・低糖質でダイエット中にもおすすめ!
こんにゃくは100gあたり約5kcal、糖質の量は約0.1gです。板こんにゃく1枚(300g)だと約15kcal、糖質の量は約0.3gになります。
みなさんがイメージする通り、こんにゃくはカロリーが低く、糖質も少ない食材だといえるでしょう。
また、こんにゃくは低カロリーなだけでなく、食物繊維を多く含んでいます。特にこんにゃくの代表的な食物繊維である「グルコマンナン」は、便通を整えたり、コレステロール値を改善したりするのに役立ちます。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
「こんにゃくだけをたくさん食べる」はNG!間違ったこんにゃくダイエットのリスクとは
こんにゃくはカロリーが低く、糖質も少ないため、ダイエットにおすすめされることも多い食材です。また、通年手ごろな価格で手に入るため、継続して食卓に出しやすいのも魅力のひとつです。
しかし、食事のほとんどをこんにゃくに置きかえたり、お腹がいっぱいになるまでこんにゃくを食べたりするなど、極端な食べ方は避けましょう。適切でない方法でダイエットを行うと、健康を損なうおそれがあります。
ここから、こんにゃくの食べすぎによって考えられるリスクを具体的に解説します。
1. 便秘

こんにゃくはカロリーを抑えながら、便秘改善をサポートする「食物繊維」を摂れる優秀な食材です。しかし、こんにゃくを食べすぎると、かえって便秘を悪化させてしまうケースも。原因には、こんにゃくに含まれる不溶性食物繊維が考えられます。
食物繊維には、水に溶けやすい「水溶性」のものと、水に溶けにくい「不溶性」のものがあります。便のカサを増やして腸を刺激して排便を促すのが、こんにゃくに多く含まれる不溶性食物繊維の特徴です。
ところが、不溶性食物繊維を過剰に摂ると、便のカサが増えすぎてしまい、排泄するのに時間がかかります。排泄できずに腸内に長く留まった便は、体内に水分が吸収されるため、腸内で硬く変化します。硬くなった便は排泄されにくいため、便秘が悪化する原因となると考えられるでしょう。
便秘はお腹の張りや痛み、肌荒れなどにつながるだけでなく、精神的なストレスになったり、便の重さの分体重が減らない原因になったりもします。
ダイエットのモチベーションを下げないためにも、食べすぎには気をつけましょう。
2. 栄養のかたより
こんにゃくは低カロリーであるため、食事のほとんどをこんにゃくに置き換えると、極端なエネルギー不足になる可能性があります。また、こんにゃくにはたんぱく質や脂質、ビタミンなどがあまり含まれていないため、1日に必要な栄養素を十分に摂れないおそれもあります。
こんにゃくだけに限らず、特定の食品ばかりを食べ続けるダイエット方法は、一時的にはやせるでしょう。しかし、エネルギー・たんぱく質不足による筋肉量や体力の低下、ビタミン不足による肌荒れ、食物繊維不足による便秘など、さまざまな体調不良につながりやすくなります。
3. リバウンド

食事量を極端に減らし、こんにゃくをたくさん食べるダイエットを続けた場合、体重が減ったとしても、もとの食事に戻したときにリバウンドしてしまう可能性があります。過度な食事制限の影響で体脂肪だけでなく、筋肉量も減るからです。
筋肉量が減ると、基礎代謝(安静にしてても消費されるエネルギー)も低下するため、太りやすい体質になります。
筋肉量をキープしながらやせるには、身体に必要な栄養をしっかりと摂ることが大切です。栄養がかたよらないように意識しながら、いつもの食事にこんにゃくを取り入れてみましょう。
こんにゃくダイエットの適切な方法とは?
「こんにゃくダイエット」には決まった方法がないため、どのように取り組めばよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
たとえば、「こんにゃくは低カロリーだから」と、ダイエット前の食事スタイルを変えないまま、こんにゃくを好きなだけ食べる方法ではダイエットにつながりません。摂取カロリーが増えることにより、かえって体重が増えるおそれがあります。
また、こんにゃく以外の食事量を極端に減らす方法だと、前述のように健康を損なうリスクもあります。
そのため、こんにゃくダイエットでやせたいという方には、「食事全体の栄養バランスを整えたうえで、こんにゃく料理を食事に取り入れる」方法をおすすめします。
1回の食事では、こんにゃくばかりを食べるのではなく、さまざまな食品を組み合わせるようにしましょう。ごはん、麺、パンなどの「炭水化物」や、肉、魚、大豆製品などの「たんぱく質」、そのほかにも野菜、海藻類などを献立に取り入れてみてください。
そのうえで、低カロリーなこんにゃくを料理に取り入れ、ダイエット前の食事よりも摂取カロリーが少なくなれば、体重減少へとつながります。
こんにゃくは「代用する」とカロリーオフに
主食をついつい食べすぎてしまう方は、こんにゃくを主食の一部に代用すると、摂取カロリーを自然と減らしやすくなります。たとえば、ごはんにみじん切りのしらたきを混ぜて炊いた「しらたきごはん」を主食にする方法がよく知られています。
こんにゃくはごはんだけでなく、麺の代用にもおすすめです。麺の一部をしらたきや市販のこんにゃく麺に変えてみると、無理なくカロリーをおさえられるでしょう。
また、「いつもお肉を食べすぎてしまう」という場合は、使用するお肉の一部をこんにゃくで代用する方法もあります。レシピの例としては、このあとご紹介する「豚バラとこんにゃくのコチュジャン煮」「豚バラとこんにゃくの炒め煮」などがあります。
このように「いつも食べすぎてしまうものをこんにゃくで代用する」のが、こんにゃくダイエットを成功させるコツのひとつだといえるでしょう。
噛み応えがあるこんにゃくで食べすぎ防止!

副菜の1皿としてこんにゃく料理を取り入れたり、汁物の具材にこんにゃくを加えるのもおすすめです。
こんにゃくは噛み応えがあるため、少量でも満腹感を感じやすく、食べすぎを防ぐ効果も期待できます。
こんにゃく料理のレパートリーを増やそう!おすすめレシピ4選
ここから、こんにゃくを使ったレシピを4つ紹介します。いつも同じ食べ方ばかりで飽きてしまいそうな方は、ぜひレパートリーに加えてみてくださいね。
こんにゃくときのこのピリ辛炒め煮(1人分78kcal)
えのきには、こんにゃくと同じように食物繊維が豊富に含まれます。食事量が減りやすいダイエット中でも、食物繊維を効率的に摂れる副菜です。

こんにゃくときのこのピリ辛炒め煮
こんにゃく、えのきだけ、○めんつゆ(2倍濃縮)、○酒、赤唐辛子、白いりごま、ごま油
調理時間:15分
こんにゃくとしいたけのオイスターソース煮(1人分88kcal)
淡白な味わいのこんにゃくは、風味の強いオイスターソースとの相性もバツグンです!

こんにゃくとしいたけのオイスターソース煮
しいたけ、こんにゃく、小ねぎ(あれば)、○しょうゆ、○酒、○オイスターソース、○鶏ガラスープの素、ごま油
調理時間:20分
豚バラとこんにゃくの炒め煮(1人分358kcal)
豚肉にこんにゃくをプラスして、満足感の得られるメイン料理に。
カロリーを抑えたいときは、調理中に出てきた余分な脂をキッチンペーパーでしっかり拭き取りましょう。また、仕上がりはやや変わってしまいますが、ロース肉やもも肉など違う部位の豚肉を使ってみるのもおすすめです。

豚バラとこんにゃくの炒め煮
豚バラ肉(薄切り)、こんにゃく、○焼肉のたれ、○しょうゆ、○酒、○豆板醤、炒りごま(白)、ごま油
調理時間:15分
豚バラとこんにゃくのコチュジャン煮(作りやすい分量706kcal)
お肉料理を作るときにいつも豚肉を入れすぎてしまう方は、具材にこんにゃくをプラスしてみてください。カロリーを抑えながら満足感を得られやすくなります。淡白なこんにゃくにピリ辛な味付けがぴったりな一品です。

豚バラとこんにゃくのコチュジャン煮
豚バラ肉(薄切り)、こんにゃく(小)、○しょうゆ、○コチュジャン、○酒、○砂糖、○しょうがチューブ
調理時間:20分
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
こんにゃくダイエットで健康的にやせよう!
ダイエットは、長い目で見て無理なく続けられることが大切です。短期間での急激な減量は健康を損なったり、リバウンドしたりするおそれがあります。
低カロリーなこんにゃくは、食事にうまく取り入れれば、ダイエットのサポートをしてくれるでしょう。こんにゃくダイエットをするときは、適切な方法で行い、健康的に理想の体型を目指しましょう。