テレビや料理本でも特集コーナーが組まれるほど近年人気のさば缶。保存がきき手ごろな価格で買えるので、家計の強い味方でもありますね。それ以外に注目したいのは、さば缶の栄養価。実は生さばよりも高いことをご存知ですか。さば缶に関する"買い"の理由を、管理栄養士が解説します。
さば缶に関する基礎知識
健康を題材にしたTV番組などでも話題のさば缶。TV番組放映後は売り切れになる店まであるそうで、今やその売れ行きはツナ缶を超えるまでになっているのだとか。そんなさば缶の、知っているようで知らない基礎知識から見ていきましょう。
さば缶の原料はもちろんさば。さばの注目すべき栄養素はDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などの必須脂肪酸が豊富な点です。必須脂肪酸とは、体内で生成することができないため食事で摂取する必要のある栄養素のこと。昨今の和食離れや魚離れなどが要因となり、なかなか摂取する機会が少なくなっている栄養素でもあります。
DHAは「頭が良くなる栄養素」として知られていますが、その理由は脳を活性化するため。その結果、判断力や集中力が高まるという理由です。またEPAは血液をサラサラにし、血栓を予防するなど生活習慣病予防にも効果的。そんな栄養たっぷりのさばが手軽な缶詰で摂れるということで、人気の理由も納得です。
さば缶が「買い」な理由
さて、ここからはさば缶が本当の意味で買うべき食材である理由を見ていきましょう。
"買い"ポイント1: 生さばよりも栄養価が高い!
さばの栄養については先述の通りなのですが、実はこのDHAとEPAには酸素に触れると酸化しやすいという性質があるため、鮮度が重要なポイントになってきます。生のさばは水揚げされた後、当然のことながら消費者の手に渡るまでに時間がかかり、捌いて店頭に並んでいる間にも酸化が進んでしまいます。一方、さば缶は水揚げ後すぐに捌いて缶詰に加工されるため、DHAやEPAが酸化していないのです。
また骨までやわららかく加熱がされているため骨も食べられ、カルシウムやビタミンDをしっかり摂ることができます。栄養素は煮汁に溶け出ているものも多いため、缶詰に入っている汁もそのまま調理に活用すると、栄養をくまなく摂ることが可能です。
ちなみに、さばの旬は冬。冬には最も脂がのっておいしくなると同時に、DHAやEPAも豊富に含まれます。缶詰の賞味期限は一般的に製造から3年で設定されることが多いそうなので、賞味期限が冬のものを選ぶと、おいしくて栄養価も期待できますね。
"買い"ポイント2: 低価格で保存が効く
鯖缶の価格はおよそ150円~200円とリーズナブル。特売の日に買いだめしておけば、買い物に行く時間のない日や給料日前の夕食作りの救世主になってくれること間違いなしです。
"買い"ポイント3: 調理が楽
魚料理を敬遠する理由に「下処理が面倒」「調理中のにおいが気になる」といった声を耳にします。でもさば缶なら下処理いらずで生ゴミも出ず、骨までやわらかくなるほど加熱がされているので、調理時間もカットできます。
さば缶の良さをいかしたレシピを紹介
さば缶トマトのカレー
鍋を使わず、電子レンジで加熱すれば完成。さばもトマトも缶詰を使用するので、調理の手間が少なくすむレシピです。
材料
さば缶(水煮) 1缶(190g) / 玉ねぎ 1/2個 / カレールウ 2人分 / カットトマト缶 1/2缶(200g) / すりおろしにんにく 小さじ1 / 醤油 小さじ2 / ケチャップ 小さじ2 / 水 100ml / ご飯 茶碗2杯分
作り方
1. 玉ねぎは薄くスライスする。カレールウは包丁で刻む。
2. 大き目の耐熱ボウルにさば缶を開けて入れ、菜箸で軽くほぐす。
3. 2のボウルに1とカットトマト缶、すりおろしにんにく、醤油、ケチャップ、水を入れてラップをかけ、電子レンジ(600W)で7分加熱する。加熱が完了したら電子レンジから取り出し、ヘラでかき混ぜる。
4. 皿にご飯を盛り、カレーをかけたら完成。
リーズナブルな価格で調理も楽。その上おいしくて健康にもいいさば缶。大人気の理由も納得ですね。ぜひ活用してみてください。