新幹線や特急列車で出かけるとき、指定席にしますか。それとも自由席にしますか。おトクな情報に詳しい人の中には、「安いから自由席一択! 」という人もいるかもしれません。確かに自由席は指定席より安いです。でも、料金以外の「おトク度」という観点ではどうでしょうか。
自由席と指定席の料金の違い
新幹線の場合
自由席の方が指定席より安い。これは本当です。例えば、東京~名古屋間の東海道新幹線の場合、のぞみ号の乗車券と自由席特急券の合計は1万360円。指定席は時期によって3段階あります。繁忙期は1万1,290円、閑散期は1万890円、その他の時期は1万1,090円です。ちなみに繁忙期や閑散期はJRの公式サイトで案内されています。
自由席の料金は年間を通じて同じです。指定席と自由席の差額は、繁忙期は930円、閑散期は530円、通常期は730円です。閑散期の差額は小さいとは言え、家族で乗ると1,000円以上の差になります。「のぞみ」は自由席のおトク度が大きいと言えますね。実は、「のぞみ」の指定席料金は「ひかり」「こだま」より高く設定されています。一方で、自由席料金は「ひかり」「こだま」と同じ料金なのです。
「のぞみ」はデビュー当時、すべて指定席でした。のちに自由席が設定されたときに、「ひかり」「こだま」と同じ料金に据え置かれました。もともとのぞみの指定席特急料金が高いために、自由席を割安に感じるというわけです。
在来線特急の場合
在来線特急はどうでしょうか。例えば、東京発伊豆方面行き「踊り子」、甲府・松本方面行き「あずさ」「かいじ」などの場合、価格差は閑散期が320円、通常期が520円、繁忙期が720円です。閑散期の価格差くらいなら、「節約したいけど確実に座れる指定席でもいいかな」という感覚でしょうか。
「指定席の方が高いけど確実に座れる」「自由席の方は安い。混んでいれば座れないかしれないけど、座れるタイミングがあるかも」。こんな風に考える人が多いと思います。でも、料金以外のそれぞれのメリットを比較してみましょう。
料金以外のメリットを考える
指定席のメリットはもちろん「確実に座れる」です。確実に座れると言うことは、座席を確保するために「発車前に並ばなく良い」でもあります。列車の旅の場合、これに勝るメリットはありません。特に、列車の途中駅から乗車する場合は、すでに自由席が満席になっていることも考えられます。また、大手私鉄の有料特急列車のように、自由席のない列車も増えつつあります。
自由席のメリットは「料金が安い」。節約派にはありがたいですね。私も「短距離の利用なら座れなくても安い方がいい」と思います。次のメリットは「日程に縛られない」です。指定席は列車が決まってしまうので、列車の時刻に行動が束縛されます。「指定した列車の発車までに駅に行かなきゃ、急げ!」となると、小さな子ども連れには難度が高いかもしれません。
さらに、始発駅で乗る場合「並べば希望の席に座れるかも」という利点もあります。また、あらかじめ希望の列車の指定席を取ろうとしたら「窓際は満席」だった時。早めに駅に行って並べば、自由席の窓際に乗れる可能性は高まります。また「空いている席があれば自由に移動できる」という魅力も。車窓の良いほうへ移動、とか、前後両隣のお客さんが騒がしいなどという時に避難しやすい。こんなメリットも自由席にはあります。
筆者は東海道新幹線に新横浜駅から乗る機会が多いです。たいてい自由席は満席ですから、なるべく指定席を確保します。しかし、行先が近いところ、例えば熱海や三島、静岡までなら座れなくても大丈夫。自由席特急券を買って、到着したばかりの列車に乗ります。指定席の場合は早く駅についても指定した列車を待つ必要があり、乗り遅れる心配もあります。
指定席と自由席は料金だけではなく、「発車時刻に拘束される」「発車時間に縛られない」という違いも考慮しましょう。自由席は安さより「自由」がメリットといえそうです。