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特選、特濃……牛乳の表示基準が面白い! 「おいしい牛乳」の基準は?



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朝ごはんやおやつ時に飲んだり、カフェオレやシチューにしたりと、家族みんなで毎日のように口にしている牛乳。売り場には様々な種類の牛乳が並んでいますが、どう違うか知っている人は案外少ないようです。そこで今回は牛乳の種類について詳しく解説します。


今回取材させてもらったのは、牛乳や乳製品の品質や生産技術の向上、知識の普及活動を行っている一般社団法人日本乳業協会と、牛乳など飲用乳の適正表示の推進などを飲用乳の製造者である会員に対し行う全国飲用牛乳公正取引協議会。どちらも私たちが安心して牛乳や乳製品を口にすることができるよう、様々な活動を行っている団体です。牛乳の種類や製法、そして名称のトリビアについて、丁寧に教えてくれました。

牛乳の種類は6パターン

ひとくちに「牛乳」といっても、厳密には6つの種類に分けられているそうです。その違いは売り場に並ぶ商品の紙パックや容器に明記されている「種類別名称」が目印になります。

「市販の牛乳を種類で分けると、種類別牛乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、そして加工乳と乳飲料になります。合計6種類ですね。なお、『牛乳』という文字がある場合は原材料が生乳100%のもののみとなり、生乳以外のコーヒーやフルーツ、ビタミンDやカルシウムが入ったものには『牛乳』とは付けることができません」。そう話すのは、一般社団法人日本乳業協会の担当者。図にすると、下記の通りとてもシンプルです。


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加工乳と乳飲料は生乳が入っていることは必須ではない。また、乳製品は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で許可されたもの ※日本乳業協会資料より作成

「牛乳」

いわゆる「牛乳」はここでいう「種類別牛乳」のこと。表記は「種類別名称: 牛乳」となっています。生乳を100%使い、成分が調整されていないものがこれにあたります。ちなみに生乳とは、乳牛から絞ったまま手を加えていない乳のこと。これに殺菌などの加工を施すことで牛乳になります。

容器側面の一括表示欄に乳脂肪分が明記されていて、実は季節によってその率が若干異なるのも「種類別牛乳」の特徴の1つ。寒い季節は乳脂肪分が高く、逆に気温が高い夏は低くなる傾向にあります。現実的には冬と夏の成分無調整牛乳の飲み比べはできませんが、乳牛は寒い所に生息する生き物なので冬の乳脂肪分が濃くなる傾向にあるのだとか。

上記のことから「種類別牛乳」はイコール「成分無調整」。こちらは表示義務はありませんが、わかりやすさのため容器に「成分無調整」と書かれているものばかりです。チェックしてみてくださいね。

「成分調整牛乳」


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牛乳は加熱殺菌済み。それゆえ家庭で加熱してホットミルクにした場合と冷たいまま飲んだ場合で栄養の値に違いはないそう

成分調整牛乳とは、その名の通り成分を何らかの方法で調整している牛乳のことです。「牛乳」と付くことから、原材料は生乳100%。生乳以外のものは含まれないため、ここで調整されるのは乳脂肪分です。

「牛乳を作る上での製造基準である『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)』では、成分調整牛乳の中に低脂肪牛乳と無脂肪牛乳があります。みなさんが購入する場合は『種類別低脂肪牛乳』『種類別無脂肪牛乳』という表示となり、成分調整牛乳とは別の種類として販売しています」。

つまり、乳脂肪分を低くしたり無くしたりすることも「成分調整」ではあるものの、それらは独立した種類として確立されているということ。したがって上の表の同じ枠の中にある3つ(成分調整牛乳・低脂肪牛乳・無脂肪牛乳)はそれぞれ1種類としてカウントされます。乳脂肪分の率で分かれていて、低脂肪牛乳は0.5~1.5%、無脂肪牛乳は0.5%未満と定められています。成分調整牛乳の場合は乳脂肪分の率に規定はありませんが、低脂肪牛乳と無脂肪牛乳に当たらない1.6%以上が該当することとなります。

「加工乳」と「乳飲料」の違いは?


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朝食時に欠かさず飲む子どもも多いはず

間違える人が多い点として、カルシウムや鉄分を強化した牛乳は「成分調整牛乳」でも「加工乳」でもなく、「乳飲料」ということがあげられるそう。成分調整牛乳は、あくまでも成分を"除去"したもので、原料が生乳100%であるもののことだからです。

対して脱脂粉乳などの乳製品を加えたものは「加工乳」に、カルシウムなどを加えたものは「乳飲料」に区別されるというわけです。乳飲料には他にコーヒー味やレモン、いちごなどのフルーツ味のものも含まれます。前述もしましたが、「コーヒー牛乳」や「レモン牛乳」は原材料が生乳100%ではないため、商品名として「牛乳」は付いていません。次回買い物に出かけた際に確認してみてください。

そして「特濃」や「濃厚」と書いてあるタイプの加工乳と乳飲料もあります。これは乳脂肪分が4%を超えていて、そのためにクリームやバターを加えています。また、流通量はわずかですが、生乳100%の特濃タイプの成分調整牛乳も存在します。

「特選牛乳」ってどんな牛乳?

「特選」と書かれた牛乳も数多くあります。なにやらおいしそうなこの名称、表示するためには何か特別に選ばれたものである必要があるのでしょうか。こちらは全国飲用牛乳公正取引協議会が教えてくれました。

「『特選』と表示された牛乳は、原材料である生乳の品質が一定の基準を満たしたものから作られている必要があります。具体的な数値だと、乳脂肪分が3.5%以上、無脂乳固形分は8.5%以上。これらは乳等省令の規格よりも更に厳しい規格です。その他、衛生度や生乳を搾った牛の健康度の指標となる細菌数や体細胞数にも同様に高い基準が設けられています。これらをクリアした牛乳のみが『特選』という冠をつけられます」。

なお、ここで押さえておきたいのが「無脂乳固形分」。これは牛乳の中にある乳脂肪分と水分以外の成分。たんぱく質や糖質のほか、ミネラルやビタミン類など、甘みやコク、栄養にかかわる部分がこの無脂乳固形分に含まれています。

つまり特選牛乳は、栄養価が高く、コクのある味わいが楽しめる牛乳ということ。「特選」と名乗れるだけの理由はそんな点だそうです。なお、「プレミアムミルク」は「特撰牛乳」の英語バージョンなので、意味としてはイコールです。


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商品名に「プレミアムミルク」とある牛乳。乳脂肪分3.5%以上、無脂乳固形分8.5%以上と基準を満たしている

「おいしい牛乳」にも表示規定はある?

「特選」という表記に厳しい基準があるということがわかったところで、気になるのは様々な牛乳メーカーから販売されている「おいしい牛乳」という名前の牛乳のこと。商品名に「おいしい」とつけられるかどうかにも、何か決まり事があるのではと思ってしまいませんか。ところがこちらに決まりはないとのことです。 「おいしい」理由は各社さまざまということです。

ほとんどの家の冷蔵庫に必ずであろう牛乳ですが、付けることができる牛乳の種類別名称には法令に沿った基準があることがわかりました。これからは売り場でその違いを見て、より好みやニーズに近いものを選ぶことができそうです。賢い買い物につながるちょっとした豆知識。友達や家族にもぜひ話してみてください。


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