せっかくイベントを行っても売り上げにつながらない、SNSをもっと活用したいのにやり方が分からない、どうやったらもっとお店を知ってもらえるの?起業家には様々な悩みがある。
その悩みを聞き、問題を掘り起こし、プロジェクトを提案し、外注先のディレクション、進行を把握し、集客や売り上げの向上に力を貸してくれるあなただけの「右腕」がいたら?その鍵を握っているのが株式会社Wallenge(ウォレンジ)が提供するサービス「スタートアップナビ」だ。自らの経験からこの事業を始めたという代表取締役 内藤吏揮(ないとう・りき)氏に話を聞いた。
きっかけは自身の事業から。販路開拓から助成金までゼロから挑戦した経験が顧客を生んだ
株式会社Wallengeは、2020年5月ごろから日本最小サイズの手指消毒ディスペンサーの製造販売を行っていた。
「飲食店のテーブルやレジ横に置いてもらったりして、販路は広がっていきました。とはいえ、僕自身、消毒液の機械の製造から販売経路の開拓、補助金や銀行融資の申請など、すべてゼロからの立ち上げで、悩むところもあったんですね。その経験を導入店にお話しすると、うちでも手伝ってほしいという声があがったんです。そこで、最初は無償で情報を提供しましたが、どんどん相談が増え、収入も発生してきたことをきっかけに、2023年一つの事業として『スタートアップナビ』を始めました」と内藤氏は語る。
「当社では、戦略設計、外注を含めたチームの連携、進行管理、補助金や助成金の最新トレンド情報調査、そして、施策の実施という5つの伴走支援サービスを行っています」と解説。
昨今の起業家が抱える大きな悩みとは?売り上げが上がらない問題点は?

相談者の業界は飲食や製造、建設、美容室、サービス業まで本当に幅広い。その分、相談の内容も多彩だが、一番多いのは売り上げアップについてだ。
「売り上げを上げるというテーマを掘り下げると、大きく2つに分かれます。1つは表面的な問題、2つ目は潜在的な問題です」と内藤氏。
例えば、SNSを活用して店の情報を告知したい、インフルエンサーを呼んでPRイベントを開催したいと思っても、それを叶えてくれる最適な外注先が分からない。さらに、WEB製作やイベントを行う会社と意思の疎通が図れていないことも多いのだそう。「お金を払ったからには、来店に直結すると信じている店主さんもいらっしゃるし、外注先とのコミュニケーションに時間がかかったり、遠慮したりして、結果的に集客につながらず、SNSの運用をあきらめてしまう場合も多いんです。このギャップは大きい」と話す。
2つ目は、起業家が持つ潜在的な問題だ。
「お悩みを探っていくと、起業家さん自身が忙しすぎて、プロジェクトの管理に手が回っていないことがわかるんです。売り上げや顧客目標を達成したいのに、タスクやスケジュールの管理までやれていなかったり、小規模企業の場合、事業計画などもなかったりするんです」と話す。
「例えば、ラーメン店。PRされたメニューを見て、ユーザーさんが『食べログ』や『インスタグラム』をチェックします。でも、そこにはPRしたメニューが掲載されていなかったり、画像の見せ方に統一感がなかったり。本来は、イベントまでに『食べログ』の点数やメニューの紹介、グーグルの『ビジネスプロフィール』を活用するなど、SNSやWEBサイトを育てておかなければならない。でも、やはり日々の現場がとにかく忙しすぎて手が回らないんですね。せっかく集客のプロにお金を払ってイベントを行ったのに、SNSなどの受け皿がうまく機能していないので、お客さんが離脱してしまう。これは本当によくあることなんですよ」。
そこで考えたのが「経営者の右腕になる人=コーディネーター」という存在

店側と外注先とのミスマッチ。忙しすぎる店主のサポート役がいない、運営資金をどう集めたらいいかわからない。そんな問題を抱えて日々営業を行う起業家の気持ちを理解しながら、プロジェクトを進め、問題を解決してくれる人がいたら。「僕が店主だったら、絶対にお願いする」と内藤氏が言い切るのが、「スタートアップナビ」が強く提唱する「コーディネーター」という存在だ。
「起業家に必要なものすべてを提供するサービスなんです。経営者の意向をしっかりと理解し、問題点をあぶり出し、経営者とさまざまなエキスパートの間を取り持つ『ハブ』としての役割を担います。プロジェクトの立ち上げから実務遂行まで一貫して進めていくので、企画から進行管理、戦略の立案、収益モデルの構築、さらに、タスクや目標の管理なども把握。進行している事柄をすべて理解し、必要なものを提供していく役割ですね。この人に聞けば現状が全部わかるという存在です」と解説。
「SNSの運用やPR、WEB制作などの外注先と具体的な話もしますし、補助金や融資申請、各種交渉の代行や補佐ができる、そんな起業家の分身、それが「コーディネーター」。みなさんの右腕であり、伴走者、そして、何が問題なのかお悩みから紐解いていくカウンセラーのような存在でもあります」と話す。
忘れられない相談者。これがあるから今の僕がある。
これまでの相談者を振り返ってみると、内藤氏には忘れられない人がいる。それが高校時代の友人。相談に乗ってほしいと最初に声をかけてきた人物だ。
「ちょうど彼が、前のオーナーさんから休業中の店舗を引き継いだ時でした。パリのオルセー美術館のような空間をテーマにした店でしたが、床も壁もボロボロで。カジュアルなオシャレイタリアンを目指す友人に〝それならいっそのこと、リアルな美術館に仕立てて、作家さんの絵を眺めながら、おいしいお酒や料理を楽しめるアートな空間にしたらどうか″と提案しました。改装には1000万以上必要でしたので、補助金などの申請もここで導入。内装をきれいに塗り直し、ロゴも刷新、『グーグルビジネスプロフィール』のMEO(グーグル検索の結果で上位に表示するシステム)も使いWEBで多くの人に注目されるように手をほどこしました。その結果、リーズナブルなイタリアンとして女性客が増え、売り上げが倍に。事業計画から資金調達、WEBの活用やSNSのPRといったこれまでのノウハウをフル活用。このお店の成功がなかったら、今の僕はないですね」と断言する。
この店「京橋フラミンゴ」(大阪)のオーナーである森 太郎氏は「スタートアップナビのコーディネーターである内藤さんに、戦略設計や進捗管理、施策の全てに貢献していただきました。内外装の工事の手配から、多様な集客の実施まで行っていただき、売上の向上にも繋がりました。また実務だけではなく、私が従業員に言いづらい代表特有の悩みなども気軽に相談ができ、精神的支柱にもなっていただき非常に助かりました」と当時を振り返った。
精神的支柱。この言葉こそ、コーディネーターが、実務だけでなく、心までもフォローする伴走者であり、カウンセラーであることを表している。
今後、コーディネーターを47都道府県すべてに配置したい。地元を知ってる人に相談したいでしょう?

これからの目標は、そんな「コーディネーター」を育成し、全国47都道府県に置くことだという。
「やっぱり、地元のことをよく知っている人に事業の相談をしたいと思うんですよ。そして、事業とは一生モノ。なので、事業が続いている限り、それをたたむ瞬間にも立ち会いたい。たたみ方も、事業継承なのか、M&Aなのか、廃業なのか。さらには、廃業の手続きや道具を買ってくれる人を探すところまで一緒に走りたいんです。AIはこの先もどんどん発達していくでしょう。でも、最後はやっぱり『人』だと思うんです。一緒に仕事をしたいと思わせるカウンセラーをたくさん育て、みなさんの理想を実現し、未来のことを語りながら進んでいきたいですね」と笑顔で締めくくった。
■スタートアップナビ
https://wallenge.co.jp/