昨今の情勢により行動制限などを強いられてきたが、行動制限も以前より緩和傾向にあり、外出する機会も多くなってきたのではないだろうか。しかし、すでに雨が降る日も多く本格的に梅雨シーズンに突入するため、またおうち時間も増えてくることから、より快適に自宅で過ごすための方法やアイテムに注目が集まってきている。
北欧は冬の時期が長く、冬になると日照時間が短くなる。また気温も低く、自宅で過ごす時間が長くなることから快適に生活出来るように、家の中で過ごすことがとても上手だと知られている。そのような中、北欧のライフスタイルに精通する芳子ビューエルさんに簡単に真似できる北欧流のティータイムについて伺った。
北欧のライフスタイルとは?
北欧は福祉大国として知られていますが、その福祉の財源となる税金は非常に高く、中でも消費税は24%〜25%です。また初任給は日本円で50万円くらいになりますが、北欧では本人の手元に残るのは25万円くらい。そうなると、買い物もあまり気軽にできないと言うことになります。それだけが理由ではありませんが、デンマークなどはミニマリストの国として知られています。住宅等は日本とあまり変わらない規模感ですが、家に一歩足を踏み入れると、圧倒的にものの少なさに気付かされます。
デンマークはHyggeという文化が昔から根付いていますので、人と共有の時間を過ごすことを大切にしています。ですから食事を摂るにしても、単純におもてなしをするような形ではなく、一緒に食事の準備を楽しんで、食事そのものも、そして食後の片付けまで一緒にすることによって、より『ほっこりとした思い』(孤独感を追いやる気持ち)がお互いの心に刻まれます。
フィンランドなども、夏休みは日本と違って、あちこちに旅行をするというよりは、豊かな自然の中で、ベリーピッキングをしたり、湖で泳いだり、何もしないで日光浴をしたりという、ゆったりとした時間を過ごすことが豊かなライフスタイルだとされています。日本人の普段の生活リズムや豊富な刺激とはかけ離れた時間の過ごし方がそこにあります。
日本人はどちらかというと、テーマパークにしてもお金を出して「楽しませてもらう」ことに慣れていますが、時には北欧風に自分達で、楽しむことを能動的に考えて行動していくことも大切なのではないかと思います。
北欧流のティータイムの楽しみ方
よく驚かれるのですが、コーヒーの消費量といったら、北欧の国々が世界でも最も多く、フィンランド、ノルウエー、デンマーク、スウエーデン共にコーヒー消費量ランキングのトップ10に入っています。(ちなみに日本は15位くらいに位置しています。)
特にスウエーデンではFikaという文化があって、毎日職場でも学校でもFikaの時間になると、全員が手を止めて、コーヒーを飲み、甘いものを食し、会話を楽しむ習慣があります。Fikaというのは、造語で、Kaffiというスウエーデン語のコーヒーという意味の言葉をひっくり返してできた言葉です。Fikaは通常コーヒーとシナモンロールが定番です。
中にはスウエーデン人はおしゃべりが好きだと皮肉る人もいますが、仕事にしても勉強にしても、Fikaをすることで、切り替えのスイッチが入るため、効率が非常にアップすることは間違いないと思います。
もちろんコーヒーだけでなく、お茶を好む人も多くいます。ヨーロッパでよく使われるティーキャンドルを用いて、紅茶やハーブティーなどは、ポットで温め、その炎の揺らぎを楽しみながら、ゆったりとした気持ちで数杯のお茶を楽しみます。
北欧流のティータイムにおすすめのアイテム
■menuのガラスのティーポット
こちらはデンマークのブランドmenuのガラスのティーポットです。ティーボールに茶葉を入れて段々とお茶が色を増していくのを楽しみます。ティーボールはシリコン製の紐状のベルトでティーポットの蓋に繋がれていますので、お茶の色が程よく出たところでティーボールは引き上げておくと、お茶がちょうど良い濃さのまま楽しめます。
このティーポットですが、下にティーキャンドルを入れて温めておくと、程よい温度を保ってくれるだけでなく、ガラスのポットを通じて、室内がほんのりと、黄金色に輝き、見ているだけでも気忙しい日々の疲れた心を癒してくれます。
■magissoのティーカップ
こちらはフィンランドのmagissoのティーカップ。
実はこのティーカップはプラスチック製で、非常に人気があったのですが、フィンランドはSDGsでも徹底した動きが起こっていて、脱プラスチックをどの企業もスローガンに掲げています。
そのため、デザインそのものを全く変更せずに、今回木材を元に作られた新しいティーカップを販売し始めます。幾分今までのプラスチックのものよりも重みがありますが、デザインは変わらず、プラスチック製品製造時と比べて最大87%の二酸化炭素排出を抑えることが出来ます。急須やティーポットがなくても、茶葉をストレーナーのある方に入れてお湯を注ぎ、程よい濃さになったら、ティーカップを逆の方向に傾けるだけです。
お茶を飲もうとすると、茶葉がちょうど鼻のあたりにくるため、茶葉の香りも楽しめる便利なティーカップです。
芳子ビューエル
株式会社アルトスター代表取締役。北欧流ワークライフデザイナー。
高校卒業後にカナダに留学、大学在学中にカナダ人男性と結婚し、母となり帰国。
1989年に創業し、2020年10月まで代表を務めた輸入商社アペックスでは、世界的に有名なデンマークブランド「menu」他、北欧の大手メーカー7社の日本代理店として、多くの日本企業に北欧の商品を供給。北欧家具や照明器具・雑貨などの輸入販売の第一人者とも言われる。
一方で、1998年にJETROから派遣されて以来、北欧にゆかりが深く、北欧のライフスタイル「ヒュッゲ」をいち早く日本に紹介。テレビや雑誌等でも、ヒュッゲの第一人者として日本での取り入れ方を紹介しているほか、「幸せ」をテーマにした講演なども行う。著書に『世界一幸せな国、北欧デンマークのシンプルで豊かな暮らし』『fika(フィーカ)世界一幸せな北欧の休み方・働き方』などがある。
芳子ビューエル公式Facebook:「北欧からみた世界の引き出し。暮らしを、もっと楽しもう!」
https://ja-jp.facebook.com/yoshiko.buell.official/
この機会にぜひ北欧のライフスタイルを取り入れ、ゆったりとした豊かな時間を過ごしてみてはいかがだろうか。