「クトゥルー神話」はH・P・ラヴクラフトにより創造され、数々の作品を通じて語り継がれ、発展してきました。この架空の神話は、日本においても多くの作品に影響を与え続けています。それらの作品を集め、クトゥルー神話研究家として数々の本を執筆している森瀬繚氏に、「実はクトゥルー神話の要素が見られる意外な有名作品」を教えてもらいました!
『ファイナルファンタジー』シリーズ
FC版の第1作(1989年12月)から30年にわたりシリーズを重ね、『ドラゴンクエスト』と双璧をなす国産RPGの代表作。シリーズ初期から登場する定番モンスター、マインドフレア(ソウルフレア)は『D&D』由来のモンスターだが、元々はクトゥルー神話ネタである。シャンタク、ウェンディンゴなどのモンスターも同様だ。
また、『XIII』には最強武器の素材として「トラペゾヘドロン」が、『外伝 光の4戦士』に「ネクロノミコン」がといった具合に、クトゥルー神話関連のアイテムがしばしば登場する。
ちなみに、『零式』にはインスマ海岸、エイボン地方などの土地がある。
『ドラゴンクエスト』シリーズ
ゲームボーイで登場したスピンオフ作品『ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵』(2001年3月)には、ドラゴン系のランクSモンスターとして、「シャンタク」が登場する。
エニックス出版局から発売された小説シリーズのモンスター編『ドラゴンクエスト モンスター物語』(1989年7月)にも、クトゥルー神話の要素が含まれている。
悪魔族のベビーサタンが修行を積み、ミニデーモン、グレムリン、ベビル、アークデーモンを経て最高位のベリアルへと成長するという内容の「悪魔族出世双六」で、アークデーモンになるためにエビルマージから課された修行が、ネクロノミコン全一万二千五百六十七冊の、断食しながらの写経とされる。内容には触れられていないので、ドラクエ世界のネクロノミコンがいかなる書物かはわからない。
谷川流「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズ
『涼宮ハルヒの憂鬱』(2003年6月)に始まるライトノベル・シリーズ。
4冊目の『涼宮ハルヒの消失』(2004年7月)において、物語の語り手であるキョンが「誰に祈ればいいんだ。キリストか釈迦かマホメットかゾロアスターかラヴクラフトか、何だっていい」というセリフがある。
2010年2月公開の劇場アニメ版には、このセリフのみならず文芸部の本棚に国書刊行会の『真ク・リトル・リトル神話大系』が並んでいる。
また、8冊目の『涼宮ハルヒの憤慨』(2006年4月)には「コズミックホラーに出てくる名状しがたきもの」というセリフがあり、ツガノガクによるコミック版第16巻の対応回にはモロにクトゥルーの姿が描かれた。
クトゥルー神話のだいたいすべてがここに!『All Over クトゥルー -クトゥルー神話作品大全-』
「クトゥルー神話」はH・P・ラヴクラフトにより創造され、数々の作品を通じて語り継がれ、発展してきた。本書では日本国内で発売された古今のクトゥルー神話作品を網羅すべく、1,300作以上を解説! 小説のみならず、コミック・映画・ゲームなどもカバーし、現在に至るまでの神話体系の流れを総攬する。
長年クトゥルー神話を研究してきた著者の集大成!
森瀬 繚 Leou Molice|ライター、翻訳家。TVアニメやゲームのシナリオ/小説の執筆の他、各種媒体の作品で神話・歴史考証に携わる。クトゥルー神話研究家として多くの著書があり(近著に『クトゥルーの呼び声』星海社刊)、2008年にはニューイングランド地方を訪れている。→ Webサイトはこちら
- 著者|森瀬 繚
- 定価|2,480円
- Amazonの販売ページはこちら
『All Over クトゥルー -クトゥルー神話作品大全-』発売記念 森瀬繚 先生トークショー
3月18日(日)には、『All Over クトゥルー -クトゥルー神話作品大全-』の発売を記念して、森瀬繚氏のトークショーが開催されます。会場は、秋葉原の書泉ブックタワーです。 詳細については、書泉ブックタワー8階(03-5296-0051)までお問い合わせください。Webサイトはこちら