11月30日(土)、市民公開講座「家族と共に学ぶ軟骨無形成症」が都内で開催された。
軟骨無形成症当事者でモデルの後藤仁美氏、カリスマ保育士のてぃ先生、小児科専門医の北岡太一氏が登壇し、軟骨無形成症についてのトークセッションなどを行った。
軟骨無形成症とは、低身長や四肢・指の短さが生まれつき体に表れる指定難病のこと。出生児の1〜3万人に1人の割合でみられ、世界で25 万人以上、日本でも約6千人の患者がいる。合併症が生じやすく、日常生活においてもさまざまなフォローが必要だ。
トークセッションでは、まず当事者が直面する日常の課題について話し合いが行われた。後藤氏は「苦悩や困難は、やっぱり周りからジロジロ見られることです。特徴的な体なので、歩いているといろんな人からの目線を感じることが多々あります」と苦悩を打ち明けた。
続けて「でも、見てくる人は自分のことをそんなに知らない人だし、そのときだけだからと割り切っています。自分には大切な家族や友達がいて、その人たちは自分のことを受け入れてくれてるっていうのをすごい感じていたので」と、乗り越えた経緯をコメント。
てぃ先生は「当事者の方々って、特別扱いを求めてない方もいるんじゃないかなと。なんなら、普通に接してくれることが一番心地よかったりとかっていう方もいらっしゃるんです。大人たちが考えているよりも、子供たちの世界って愛に溢れてるんですよね。例えばお子さんたちのクラスで、言葉をうまく使いこなすことができないお子さんがいらっしゃったりすると、お互いフォローし合う場面が度々見られるんです。あまり特別視してあげなければならないとかっていう考え方はしない方がいいんじゃないかなって、個人的には思っています」と保育士の立場から発言した。
軟骨無形成症は、身長が小さいことでさまざまな不便さが生じてしまう。後藤氏は「社会に出て、まずいろいろなものが届かないことが、自分1人で行動することへの不便さを感じました。駅の切符を買う券売機やATMが届きません。外に出て何かをすることへのハードルが高い人も多いんじゃないかなとも思います」と当事者のリアルを語る。
「バリアフリーってよく言われますけど、私達みたいに小さい人が使いやすい世の中にしてしまったら、一般的な身長の方が使いづらくなるじゃないですか。だから私達が使いやすくなるにはどうしたらいいのかなっていうのを、皆さんで考えていきたいです」と話した。
保育園や小学校などの教育現場でのサポートとして、てぃ先生は「精神的なサポートも重要じゃないかと。我々大人って、困っているお友達がいるんだからこうしてあげなさいとか、手伝ってあげるのが当たり前と半ば強引に押しつけてしまうことがあります。でも、お友達に優しくしましょうっていうことをどこから学ぶかっていうと、まずは自分自身が優しくしてもらって嬉しかったっていうところがきっかけなんですよね」と指摘。
「友達がいるからサポートしようねではなく、全員大人たちが平等に、感謝の気持ちとか当たり前のやり取りを繰り返していくってことが大事なのかなと思います」とまとめた。
当事者への親の寄り添い方について、北岡氏は「やはり自信を持って、認めてあげることが大事だと思うんですね。軟骨無形成症だからはなくて、あなたの人間性が大事です。私は軟骨無形成症の方が表舞台で頑張っていける手助けをする立場なので、ご両親もその子が舞台に羽ばたけるように、何をしたいのか、やっていきたいのかに目を向けるといいのでは」と、可能な限り子供に挑戦させてあげることが大事だとコメント。
ぜひ、当事者だけでなく家族全体で軟骨無形成症への理解や正しい知識を深めてほしい。