2020年1月、フジテレビで深夜25時台の放送ながら話題を呼んだ連続ドラマ『ペンション・恋は桃色』が、シーズン2としてFODに帰って来た。いつもテキトーな父シロウとその娘ハル、そしてアルバイトの青年ヨシオが営む、ちょっと古いペンション「恋は桃色」が物語の舞台。寂れたペンションを舞台に、訪れる“珍客”たちが一夏の大騒動を繰り広げる笑いあり涙ありのハートフルコメディ作品について、シロウ役のリリー・フランキー、ヨシオ役の斎藤工に話を聞いた。
―今回4年ぶりにシーズン2が始まりますが、率直にいかがでしょうか?
リリー:前回と変わっていないのですが、このドラマは特殊で手作り感がすごいんです。みんなでペンションに泊まって撮影するから、監督や共演者のみなさんと「明日のシーンどうする?」って話をして、中身を作っていったり。そういう意味では部活っぽいですね(笑)。
斎藤:スタッフキャストともに同じメンバーが、よくこのタイミングで集まったなという感じですね。「もうここしかない!」っていう瞬間の奇跡みたいなもので、そして集中力もすごかったです。
リリー:前回は真冬に撮って、今回は夏に撮らせていただいた。これはフジテレビですから、もう『北の国』からぐらい長く続けてほしい。だから、「“シーズン2”じゃないんじゃない?」ってのは、ずっとプロデューサーと話していました。『ペンション・恋は桃色 2024夏』みたいな(笑)。20分ちょいだから、超短いけれど。
―前作でギャラクシー賞を受賞した伊藤沙莉さんも戻って来ました。
斎藤:リリーさんと沙莉さんのシーンで、心がやられてしまいました。本当にふたりの表情だったり佇まいで、ものすごいドラマになっています。
リリー:沙莉ちゃんの存在感が、リアリズムを生み出しますよね。僕とタクミくんだけだとふたりでキャーキャー言ってる感じなのですが、沙莉ちゃんが入った瞬間に、そこにずっといたような気がしてくるというか。あの子の独特のリアリティがすごくいいんですよ。この3人でいるのは何のストレスもないんです。
―ドラマの特徴的な手作り感は、インプロによるみなさんのアドリブによるものだとうかがいました。
リリー:映像をやっている関係者に「どうやって撮っているんですか?」と聞かれることがよくあって、なんかみんな不思議に見えるみたいなんですよ(笑)。それを聞かれたらもう返す言葉はひとつ、「時間がない」っていう(笑)。時間がないやり方でこうなってしまったっていうことと、やっぱり泊まるってデカいなと思ったんですよね。共演者の人ともそこで話せるから。普通にドラマをやっていると、監督や共演者と話す時間って本当にないんです。だからその部活っぽいって言ったのは、終わった後「明日こうしようよ」っていう話が出来て、それを汲んでくれる監督やプロデューサーがいる。そのことが実に健全なんですよね。
斎藤:スケジュールは健全とは言えないものを感じましたが(笑)、天気もとても大変で、大雨に襲われ、セリフはもちろん僕らの体感としても無視できないレベルの大雨が、リリーさんがベランダに出た瞬間に降って来たりして、「こんな雨男いる?」っていう設定に急遽なったり。
リリー:普通だったら雨が止むまで待とうとなりますが、そんな時間はないんです。気にしないことにするわけです(笑)。
―配信を楽しみにしているファンの方へ一言お願いいたします。
斎藤:がっちり構えて受け取ってほしいっていうドラマでは、いい意味ではないですし、今はまだ、こういったエンターテイメントに触れることが時期尚早の地域だったり、状況の方もいらっしゃると思うんです。でも、どこか心の隙間にぽっと寄り添ってくれるような、ある種、凪のようなドラマは誰かの少しの救いになったり、心が温かくなるようなこともあると思います。そういう旨みを持った作品だと思うので、今すぐじゃなくても配信の特性もあるので、必要な時にこの作品を必要としてくれる方がいることを心から願っております。
リリー:今、映画などを撮っている若い人がいっぱいいて、なんなら携帯でも撮れるわけですが、これを観た時に、そういう人たちが「あ、僕たちもドラマ撮ってみようかな?」って、
ものすごくハードルが下がる、そういうものであってほしいなって思います。実は僕らはそのつもりでやってるというか、この臨場感って、商品になるものでなかなか作りにくいんですよ。だからこれを観ると、きっちりしたものは何なのかなって、ちょっと自分の中の今までの物作りを反省したりもします。大人めいたことがモノづくりのちゃんとしたことであるみたいな風に、ちょっと思いすぎてたのかも知れないと(笑)。
◇ 番組概要
■タイトル: 『ペンション・恋は桃色season2』(全5話)
■配信: FODにて全話配信中
■出演: リリー・フランキー/斎藤工/伊藤沙莉/山口智子
関智一/剛力彩芽
JOY/益子卓郎(U字工事)/眉村ちあき/大水洋介(ラバーガール) 他
■スタッフ: 監督/脚本:清水康彦
主題歌:細野晴臣「恋は桃色(New ver.)」(ビクター/スピードスター)
挿入歌:グソクムズ「ユメのはじまり。」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
音楽:細野晴臣/香田悠真
企画:橋爪駿輝
プロデューサー:鹿内植(フジテレビ)/小林有衣子(イースト・ファクトリー)
エグゼクティブプロデューサー:石井浩二(フジテレビ)/下川猛(フジテレビ)
制作著作:フジテレビ
【衣装】
コート \211,200、ジャケット\92,400、パンツ \44000、インナー スタイリストの私物
【お問い合わせ先】
ENKEL ︎ 03-6812-9897