しっかり磨いているのに歯が痛い、なんだか理由はわからないけど不調を感じるということはありませんか。実はその不調は歯ぎしりが原因かもしれません。今回は、まつむら歯科クリニックの松村賢院長に歯ぎしりについて話を伺いました。
松村院長は生まれ育った宮崎県大崎市で開業し、「いつまでも美味しく食べる」を合言葉に日々の歯磨きを重視した診療を行っています。
歯ぎしりの原因を教えてください
「歯ぎしり」や「食いしばり」とは、口を開けたり閉じたりするための筋肉が異常に緊張して、無意識に上下の歯をこすり合わせたり、強くかみしめたりすることです。原因は「ストレス」と言われています。しかし、「ストレス」と言っても、人間関係の悩みや仕事の悩みなどだけではありません。お腹がすいた、車を運転する、のような日常の何気ないことでも私たちの脳は「ストレス」と捉え、そのストレスを発散するために、口を開けたり閉じたりするための筋肉が異常に緊張してしまうのです。
歯ぎしりによって、どのような不調が起きるのですか
ストレスによる異常な筋肉の緊張は、様々なお口のトラブルを起こします。歯にひびを入れ、被せ物を脱離させ、さらには歯周病を悪化させます。そして、一番やっかいなのは、歯や歯茎が異常に痛いという原因のわからない痛みを引き起こす事です。これは、「歯ぎしり」や「食いしばり」により、歯が揺さぶられて起きるのですが、私も診断するのに苦慮します。
実際に不調の原因が歯ぎしりだった患者様はいらっしゃいましたか
昨年末、ある患者様が「先生、虫歯が出来たかも知れない。ご飯を食べた後必ず歯が痛くなる。」と来院されました。しっかりメンテナンスに通われている患者様で、前回の来院時、虫歯はおろか歯肉炎も無い状況だったような・・・と思いつつ、お口の中を確認。やはり虫歯を確認できず、歯茎に炎症も確認できませんでした。そこで、歯ぎしりの既往歴があった事を思い出し、最近の生活変化などをさらに丁寧に問診すると、朝、職場に到着する頃から歯が痛くなり、1時間程で症状が和らぐとの事でした。出社後の歯の痛みから、通勤中の「歯ぎしり」や「食いしばり」を疑い、スプリント療法を勧めました。このような「歯ぎしり」や「食いしばり」の治療方法はスプリント療法という、マウスピースによる治療です。
どのように治療するのでしょうか
その患者様には、以前からスプリント療法について説明していたので、すんなり受け入れて頂きました。結果、たった1週間で症状が緩解したと報告がありました。このように経過良好にいくケースは稀かもしれません。この患者様は常にしっかりとしたメンテナンスに通院していたので、虫歯や歯周病が原因では無いことを早い段階で判断する事ができ、今回のスプリント療法につながったと思います。
皆さんも、なんか歯や歯茎が痛い、あるいは奥歯のあたりに違和感がある、などあれば、ぜひ、「歯ぎしり」や「食いしばり」を疑って、歯科を受診してみてください。
-執筆者プロフィール –
まつむら歯科クリニック
院長 松村賢
<経歴>
奥羽大学歯学部卒業(医師免許取得)
古川民主病院 臨床研修終了
東北大学大学院歯学研究科博士課程修了(歯学博士)
仙台市内歯科クリニック 分院長
まつむら歯科クリニック開院