starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

ベスト・キッドの40年 ジャッキー・チェン&ラルフ・マッチオの最新作 東洋はどう描かれたか


ベン・ウォン(左)とラルフ・マッチオの組み手を見守るジャッキー・チェン(中央)。「ベスト・キッド:レジェンズ」の1場面

<情報最前線:エンタメ 映画>

人気シリーズ最新作「ベスト・キッド:レジェンズ」が29日に公開される。ジャッキー・チェン(71)ラルフ・マッチオ(63)の歴代レジェンドも出演した集大成的な作品。第1作から40年を経て、シリーズにはハリウッド映画における東洋の描かれ方の変化や多様性の反映も見てとれる。2人の思いを交えながら振り返る。【相原斎】

★ミヤギ役の第1候補 実は三船敏郎だった

85年公開の第1作はカリフォルニアが舞台。いじめられっ子の少年が沖縄生まれの老人から空手を伝授され、いじめのリーダー格を空手大会で打ち倒す胸のすくストーリーだった。

主演のラルフ・マッチオは一躍脚光を浴び、師匠のミヤギ老人を演じた日系2世パット・モリタ(05年に73歳で死去)はアカデミー助演男優賞にノミネートされた。

まだシリーズとは縁がなく、一観客としてこの映画を見たジャッキー・チェンが当時を振り返る。

「アクション映画の人気が落ちていた頃で、道場で仲間とよく愚痴っていた。仕事がなくて大工に転職した友人もいたし、僕は本気でシェフの修業をしようと思っていた。そんな時に『ベスト・キッド』が公開されたんだ。スクリーンからあふれる前向きなエネルギーにやられたね。もう1回道場で頑張ろう、そんな気にさせる作品だった」

ミヤギ役の第1候補は、実は三船敏郎だった。作品のキーマンとして黒澤明作品で世界に知られた三船に白羽の矢が立ったのだ。オファーを断った三船に代わり、オーディションでこの役を射止めたモリタが、結果的にアカデミー賞にノミネートされたことは、近年のアジア勢台頭の先駆け的な出来事と言える。

一方で、イタリア系のマッチオを始め、メインキャストのほとんどは白人で、劇中のミヤギ老人はあくまで「異質の存在」だった。

翌年公開の第2作は舞台をミヤギの故郷沖縄に移したが、マッチオ演じる少年が苦難の末に地元の強敵を倒すという大筋は踏襲された。シリーズを支えるこの「偉大なワンパターン」についてマッチオは言う。

「第1作を映画館で見た時のことは今でも覚えている。多くの観客が立ち上がって少年を応援し、物語に共感していた。これは世代を超えたエンターテインメントなんだね」

この作品でヒロインを演じたタムリン・トミタ(59)はその後、インディ映画に主演したり、テレビドラマの常連として堅実な活動を続けている。

一方で、沖縄ロケはいっさい行われず、ロケ地は米国内とフィリピンだった。当時のハリウッドがイメージした沖縄は1950年代風で違和感は否めなかった。マッチオ演じる少年の反復攻撃は、なんと「でんでん太鼓」をヒントにしているという設定だった。

マッチオは89年公開の第3作まで主演。その5年後の第4作で引き続きミヤギ役を演じたモリタの弟子となったのが、後に「ミリオンダラー・ベイビー」で女性ボクサーをリアルに演じたヒラリー・スワンクだ。女性であり、スペインとネーティブアメリカンの血を引くスワンクの主演で、一気に多様性を象徴する作品となった。

そして、世紀をまたいで10年に公開された「ベスト・キッド」リメーク版は、製作に名を連ねたウィル・スミスの長男ジェイデンが主演、師匠役としてジャッキー・チェンが登場した。

ストーリーは第1作に近いが舞台は北京、空手はカンフーに置き換えられた。ジャッキーが振り返る。

「ウィル・スミスから電話が来て『ベスト・キッド』を撮りたいという。あの作品に感動してから20年。さすがにキッド役は…と思ったら、君は『ミヤギ役』だ、と。改めて年齢を自覚させられたけど、とにかくうれしかったね」

数多いジャッキー出演作の中でも最高の世界興収(約3億6000万ドル=約522億円)となり、思い入れは強い。

★「レジェンズ」青年役は上海生まれのウォン

最新作の「-レジェンズ」は、ジャッキーとマッチオが「ダブル師匠」となり、主演の青年の指導に当たる設定だ。カンフーと空手が流派を超え、苦境に立つ主人公に力を与える。ジャッキーは「アクションへの敬意、あらゆる武道とその精神への敬意をこの作品に込めました」と話す。

青年役は上海生まれ、米国育ちのベン・ウォン(25)。同じ中国系のアカデミー賞受賞者ミシェル・ヨーやベトナム系のキー・ホイ・クァンとともに配信ドラマ「アメリカン・ボーン・チャイニーズ」にレギュラー出演した実力者だ。

舞台はニューヨーク。北京で暮らしていた青年は、医師の腕を見込まれた母親(ミンナ・ウェン)とともに招かれて渡米した設定。第1作の40年前に比べ、大きく変化した米国社会の現実が反映されている。

◆ベスト・キッド:レジェンズ

監督 ジョナサン・エントウィッスル

舞台 ニューヨーク

出演 ジャッキー・チェン、ベン・ウォン、ラルフ・マッチオ

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    おすすめ
    1. ジャッキー・チェンが8月末に来日へ「ベストキッド」最新作で30年ぶり初日舞台あいさつ

    2. 無人機とデルタフォースの史上最悪の脱出作戦映画——『ランド・オブ・バッド』ウィリアム・ユーバンク監督インタビュー

    3. 『バレリーナ:The World of John Wick』レン・ワイズマン監督インタビュー「バレエはとても美しいが、同時に痛みを抱えている」

    4. 映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』日本版声優・子安武人&岩崎正寛インタビュー「“人間”を描いているところにグッとくる」

    5. Netflix「ウェンズデー」監督を志すジェナ・オルテガが主演&S2からプロデューサーも兼任! 師ティム・バートンとの現場製作で掴んだ手応えとは?

    6. “トワウォ”製作プロデューサー&キャストが放つ香港アクションドラマ『スタントマン 武替道』フィリップ・ン インタビュー「うんちくを語りたくなる様な俳優になりたい」

    7. 速水奨(ポリンキー役)出演解禁! 『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』 速水「まさか?とビックリしました」

    8. ”人間としてのスーパーマン”の姿に涙がぽろぽろ 映画『スーパーマン』レビュー(十束おとは)

    9. 7月22日、遠方の福岡から奈良のならまちシアター青丹座の上映と舞台挨拶を観に!『~運送ドラゴン~パワード人間バトルクーリエ』が観たい!その魅力は?

    10. パワー系アクション俳優の大東賢氏がミスタータイガース掛布雅之氏と27年前のテレビ番組共演以来の対面!

    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.