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『バレリーナ:The World of John Wick』レン・ワイズマン監督インタビュー「バレエはとても美しいが、同時に痛みを抱えている」


キアヌ・リーブヴスが無敵の伝説的殺し屋、ジョン・ウィックを演じる大ヒットシリーズ『ジョン・ウィック』。そのスピンオフ作品『バレリーナ:The World of John Wick』は『ジョン・ウィック:パラベラム』と『ジョン・ウィック:コンセクエンス』の間の出来事を描いている。主演は『ブレードランナー 2049』で鮮烈な印象を与え、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』や『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』などで確固たる地位を確立したアナ・デ・アルマス。孤児を集めた暗殺者とバレリーナを養成するロシア系犯罪施設、ルスカ・ロマで厳しい訓練を受け、幼い頃に殺された父親の復讐に燃えるイヴを演じる。他にも、ノーマン・リーダス演じる懸賞首のパイン、ガブリエル・バーン演じる暗殺教団のトップといった新たなキャラクターが加わり、キアヌ・リーブス演じるジョン・ウィックをはじめとするお馴染みのキャラクターと相まみえる。革新的なアクションとダークでユーモラスな『ジョン・ウィック』ならではのトーンが融合し、新たな『ジョン・ウィック』が生まれた。監督を務めた『アンダーワールド』や『ダイ・ハード4.0』で知られるレン・ワイズマンにインタビューした。

――『ジョン・ウィック』シリーズにはどんな印象がありましたか?

そのユニークでクレバーなトーンを見て楽しんでいた一ファンでした。革新的なアクションがあるんだけれど、アクションにも作品のトーンが反映されていて、なぜか少し笑ってしまったりする。他の作品とは違う魅力を感じていました。

――これまでの『ジョン・ウィック』シリーズを監督し、『バレリーナ:The World of John Wick』では製作を担当したチャド・スタエルスキ監督からはどんな作品にしようという話があったのでしょう? 

いろいろな話をしましたが、まず「自分の映画にしてほしい」と言ってくれました。これまでチャドが作ってきた映画はチャド自身が強いインスピレーションを受けた映画を元に作っているので、自分にとってそういう映画はなんだろう?と考えた結果、1作目の『ランボー』だと思いました。あの映画は町全体がランボーに襲い掛かってきますが、そこでランボーはそこにあるものを全部使って応戦するような話で、変わっている映画ですが、『バレリーナ』は『ランボー』の影響が出ていると思います。

――今話していただいたことは主演のアナ・デ・アルマスにも共有されたんでしょうか?

もちろんです。アナと最初に話をした時にその話をして、『ランボー』に加えて、『サブスタンス』のコラリー・ファルジャ監督が撮った『REVENGE リベンジ』のトーンも参考にしてほしいと伝えました。他にもいくつか映画のタイトルを挙げました。おそらくどの映画監督も、インスピレーションを受けた映画があって、自然と自分の作品に影響を与えているのだと思っています。

――第一に『ランボー』を挙げたことでアナがプレッシャーを感じたりは?

それはないと思います(笑)。『ランボー』シリーズは作品を重ねるごとにマンガのテイストが感じられるアクション映画になっていきましたが、1作目のランボーはすごく脆くて感情的で時には泣き崩れます。そういうエモーションの部分を参考にしてほしいと言いました。

――アナにどんな魅力を感じて今作の主演に決まったのでしょうか?

私が探していたのは炎のような情熱を持った俳優です。彼女のアクションシーンには絶対に相手を逃がさないような強いスピリットを感じます。アクションシーンを演じるのはとても難しいので演技の部分がおざなりになる場合がありますが、ちゃんと両立させたかった。アナは両方をきちんとできる俳優です。彼女と出会えて安心しましたし、創作意欲が掻き立てられました。また、イヴを演じてもらうにあたってタフさだけでなく脆さが欲しいと思いました。アナはタフさも脆さもあり、また怒りもカッコよさも兼ね備えています。他にもたくさんのチェック項目があって、アナは合計62項目ぐらいのチェックリストをクリアしなければいけませんでした。

――そのチェックリストは今作だからあったものなのか、他の作品でもあるものなのかどちらでしょう?

毎作山のようなチェックリストがあります。年を追うごとに項目は増えていきました。作品を重ねると作品にどんどんレイヤーが欲しくなるものなんですよね。登場人物にもストーリーにもさまざまなレイヤーが欲しくなります。

――比較的最近そこに加えた項目は何ですか?

やはり脆さと同時にすごく強い逞しさを求めるようになりました。そのバランスが難しいんですよね。また、ウィットやユーモアも求めるようになりましたね。

――イヴはバレエと暗殺術の訓練を受けながら育っていくわけですが、主人公の殺し屋をバレリーナにするという発想はどうやって生まれたのでしょう?

時系列的に『バレリーナ~』の前作にあたる『ジョン・ウィック:パラベラム』で孤児を集めて暗殺者とバレリーナを要請する組織、ルスカ・ロマが登場していたので、イヴがそこで訓練を受けながら育つという設定を思いつきました。今作を撮るにあたりバレエのドキュメンタリーたくさん観ました。バレエはとても美しいですが、裏では激しいトレーニングをしているので同時に痛みを抱えていることがわかりました。美しいバレエを生み出すのに必要な鍛錬と暗殺者になるためのトレーニングを繋ぎ合わせることにしました。その組み合わせは奇妙だけれど興味深いと感じたのです。

――少女時代のスヨンさんがイヴに護衛されるカトラ役として出演しています。どんな魅力を感じましたか?

とても才能がある人ですし、一緒にいてすごく楽しい人でした。モチベーションが高く、カトラにもぴったりだったと思います。

――今作を通じてキアヌ・リーブスのすごみをどう感じましたか?

これまで私が仕事をした俳優の中で最も寛大な人で、才能があり、スキルがある人です。一緒に脚本を見直していく中で、キアヌはどんどん自分が演じるジョン・ウィックのセリフをそぎ落としていくのです。「もっとこういうセリフを言いたい」ではなく「このセリフはいらない」という風にどんどん取っていくので驚きました。とても献身的で何度テイクを重ねても「もっとやろう」というエネルギーを放っていました。彼のシーンは1週間くらいで撮り終わったのですが、「お疲れ様」と言って自分のトレーラーに戻っていく際に感謝を伝えたところ、「本当にすべてを満足に撮れた?」と聞いてくれました。「撮れましたが、あえて挙げるとするとこのシーンとこのシーンはもっとこういうことができるかもしれないと思っている」と伝えたら、「週末まで残っても良いからそのアプローチで撮ろうよ」と言ってくれた。おかげで本当に満足がいく撮影ができて、完璧なジョン・ウィック像が構築できたと思います。彼の作品作りへの情熱やエネルギーは現場にものすごいインスピレーションを与えてくれました。

――監督は『ダイ・ハード4.0』も手掛けられています。今作も含めて大ヒットシリーズを担うことにどんな思いがありますか?

もちろんプレッシャーはありますが、不思議なことにそういったチャレンジを楽しんでいる節があります。何のプレッシャーも何のチャレンジもないプロジェクトには面白味は感じません。

8月22日(金)より全国公開
配給:キノフィルムズ

監督:レン・ワイズマン(『ダイ・ハード4.0』)
製作:チャド・スタエルスキ(『ジョン・ウィック』シリーズ)
出演:アナ・デ・アルマス アンジェリカ・ヒューストン ガブリエル・バーン ノーマン・リーダス イアン・マクシェーン キアヌ・リーブスほか
2025/アメリカ/英語/シネスコ/5.1ch/映倫:R15+/原題:BALLERINA
https://ballerina-jwmovie.jp/

【インタビュー・執筆】小松香里
編集者。音楽・映画・アート等。ご連絡はDMまたは komkaori@gmail~ まで
https://x.com/komatsukaori_ [リンク]
https://www.instagram.com/_komatsukaori/ [リンク]

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