
俳優アーノルド・シュワルツェネッガー(77)が、トランプ政権の移民取り締まり政策を「生まれてこのかた、ずっとここに住んできた人々を国外追放している」と批判した。
米ABCテレビで12日に放送されたトーク番組「ジミー・キンメル・ライブ!」に出演したシュワルツェネッガーは、6日からロサンゼルスで起きている移民税関捜査局(ICE)による不法移民取り締まりに抗議するデモについて問われ、「地獄絵図のように描写している」とメディアを非難。その上で「実際には、ロサンゼルスのわずか0.001%程度の地域で起きていることだ」と話し、トランプ大統領が約4000人の州兵と700人の海兵隊を動員したことに疑問を呈した。
カリフォルニア州知事を務めた経験を持つシュワルツェネッガーは、「政治家がちゃんと仕事をしていれば、こんなことは起きなかった。民主党と共和党は共に移民問題を解決することに興味がない。むしろ彼らは移民問題を政治資金集めに利用している」「包括的な移民制度改革は、与野党双方によって何十年も先送りにされてきた」と主張。「(与野党が)互いを非難しあう中、国民が突然彼らに「中指を立てている」と驚いているだけだ」と皮肉った。
自身もオーストリアで生まれ育った移民であるシュワルツェネッガーは、「これは私にとって非常にデリケートな問題だ」とも話し、米国に来た当初は国外追放されるのではないかと、おびえながら暮らしていたことを明かした。一方で「私が人生で成し遂げたことのすべては、アメリカのおかげ。それがすべて」と、感謝の言葉も述べた。
共和党員のシュワルツェネッガーは、昨年11月の大統領選では共和党のトランプ大統領ではなく、民主党候補だったハリス前副大統領への支持を表明しており、「トランプ大統領はあなたをあまり気に入っていないと思いますが、本当ですか?」と司会のキンメル氏がジョークを飛ばすと泣き顔を見せる場面もあった。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)