
元内閣官房参与で京大大学院教授の藤井聡氏(56)が、31日放送のABCテレビ「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」(土曜午前9時30分=関西ローカル)に出演。高騰するコメ価格の対策として小泉進次郎農相が、政府備蓄米の売り渡しを随意契約に切り替えたことについて問題点を指摘した。
農業を専門とする宇都宮大学の松平尚也助教は、随意契約について「大手には上限を設けなかったんです。だからイオンとか2万トン、コスモス薬品2万トン、ドンキが1.5万トンっていうことで、すごい偏っちゃった。すぐに売り切れちゃって。随意契約の一番の問題は、公平性が担保できないということ。それがまさに表面化してしまった。制度設計の詳細は(考慮)していない。制度設計までスピード重視」と批判。
元日本テレビ政治部記者で政治ジャーナリストの青山和弘氏(57)は「スピードをとにかく重視しなきゃいけない。お米の値段を選挙までに下げなきゃいけないので、とにかく随意契約で手を挙げたところに手を挙げた量を配る。小さいお米屋さんには行かないかもしれないけど、それも仕方がないという判断だった」と“解説”した。
一方で「ただ一気に売れちゃって、そういう不満が出たので走りながら修正して、古古古米に関しては、小さいお米屋さんも、ある程度の制限…10トン以上じゃないとダメなんですけど、制限をして配るというふうに、徐々に修正して大手だけじゃないようにはしている。だけど細かいところまで配慮はいかないというのが現状ですね」と述べた。
これらを受け、藤井氏は「(備蓄米が)仮に10万トン1カ月で売れるとしたら、日本人はだいたい500、60万トン食べてるわけですよ。(備蓄米は)全体の2割なんですよ。2割だけど、イオンとか大きいところだけでしょ。だから同じようなところの人ばっかり買うから、結局この2000円のコメが買える人って、1割ぐらいなんですよ、どうせ。9割は、楽天とか見て『えっ、もう売り切れたん?』って思っている人、絶対いますよ。だから砂漠に水をまいているみたいなもんでね」と語った。
続けて「しかも、本当はコメの価格を下げるために20万トン、30万トン使うべき。2000円で古米、古古古米とか売ってしまったら、価格が二重化しちゃうんですよ。安くて古いお米と、新しくておいしいお米、ってなるから。こっち(安価なコメ)はすぐなくなっちゃうでしょ、1ヵ月、2ヵ月で。こっち(高い方)の価格、全然変わらないんですよ」と指摘。
「だから、(古米を)微妙に3500円ぐらいで売っておいて、長く売っておいたら、(高い方が)徐々に下がってくるはずなんですよ。価格を本気で引き下げたかったら、こんな2000円みたいな愚かな事は絶対しない」とも。
松平氏が、「ですけども30万トン一気に出してしまいますんで。さらに次の10万トン、今まで出回ってなかった米屋さんと中小小売りに出すって言ってるんですけど、上限あるんですね。さらに10トン以上ということで地域のお米屋さんは買えない。小泉さんは、離島とかでキロ1350円になって、とんでもない値段になっている、これをどうにかしなきゃいけないと言っていたんですけど、そんなところに回らないんですよ。メディアでの言っていることと、実際の政策は全然違う」と訴えると、藤井氏も反応。
藤井氏は「詳しく(政策の)中身見ると、100%純然たる選挙対策であることがクッキリと見えてくる。何にも考えていない、米価の事なんか」と批判していた。