
芳根京子(28)が、映画「君の顔では泣けない」(坂下雄一郎監督、11月公開)に主演し、King&Prince高橋海人(26)と初共演することが8日、分かった。高校1年生の夏に、プールに一緒に落ちたことがきっかけで心と体が入れ替わってしまい、15年たっても元には戻らなかった2人を演じる。
「君の顔では泣けない」は、「小説 野性時代 新人賞」を受賞した君嶋彼方氏のデビュー作の実写化。芳根は坂平陸、高橋は水村まなみを演じる。2人は元に戻ることを信じ、方法を模索しつつ進学、初恋、就職、結婚、出産、親との別れなど人生の転機を入れ替わったまま経験していく。そして30歳の夏に、まなみが「元に戻る方法がわかったかも」と陸に告げる。
他人の人生を生きるという、誰にも言えない秘密を抱える2人は、中身は女性ながら男性、中身は男性ながら女性として生き、2人でいる時しか本当の自分を出せない。そんな表と中身、2つの人格の、はざまの葛藤まで演じる難役だ。
芳根は「水村まなみとして生きてきた15年。ある日突然始まった、坂平陸としての人生。どうやったら自分らしく生きていけるのか。どうすれば、相手らしく生きることができるのか。どうやって自分を受け入れていくのか。どうすれば相手を受け入れられるのか」と、入れ替わった人生を演じた葛藤を吐露。「入れ替わって15年。大学、仕事、恋愛、出産。さまざまな経験を経て、30歳になった2人は、果たして元に戻ることができるのか? そもそも、戻りたいと思うのか?」と元に戻れる可能性に直面した陸に思いをはせた。そして「もがいて、もがいて、それでも精いっぱい、生きました。この物語を、ぜひ映画館で見届けていただけたらうれしいです」と呼びかけた。
高橋は「入れ替わってから15年。静かな痛みを、長い間抱えてきた2人。未来が見えない怖さと2人で闘いながら、でも同時に、だからこそ日々の痛みも大切に感じられる」と演じた2人の人生を説明。「まなみと陸のあいだに流れる、リアルとファンタジーのはざまみたいな時間を、そんなふうに思い描きながら。僕の中にある想像力を総動員して作品に向き合いました」と役作りについて語った。そして「観てくださる方は、いつの誰に、どんなふうに心を投影するんだろう。みなさんに観ていただけるのが、すごく楽しみです。映画館でご覧いただけるとうれしいです。ぜひお楽しみください!」と観客に呼びかけた。
脚本も手がけた坂下監督は「初めて原作を読んだ時、15年入れ替わったままという設定に、こんなにもさまざまな解釈が可能で豊かな物語を作れるのか、と発明を発見したかのように驚いたことを覚えています」と原作を読んだ印象を語った。そして「この困難な設定をいかに映像化すればいいのかとても悩みました。解決してくれたのは芳根さんと高橋さんでした。15年入れ替わったままの陸とまなみという人間を、芳根さんは葛藤し、もがき続ける陸というキャラクターを誠実さで、高橋さんは軽やかさの中に痛みを感じさせる繊細さで演じてくださいました。間違いなくこの映画の見どころはこのふたりです」と2人を絶賛した。
原作の君嶋氏は「映画が好きです。けれどあくまで自分が楽しむもので、その世界に携わることなんてないと思っていました。それがなんと、自分の書いた小説が映画化。しかも思い入れの強いデビュー作。うれしくないわけがありません」と映画化を喜んだ。そして「出来上がった作品を観て、喜びは感動に変わりました。監督、スタッフの皆さん、役者の皆さん。全員が原作に対して真摯(しんし)に向き合って作り上げてくださった映画だと感じました。映画『君の顔では泣けない』、とても面白いです。原作の一番のファンである自分が言うのだから間違いありません」と絶賛した。