
崎山つばさ(35)が、弁護士役に初挑戦する主演舞台「BUT・AND-バッテン-」が2日、都内のあうるすぽっとで開幕した。
「BUT・AND-バッテン-」は、劇団メンソウルを主宰する俳優・脚本家・演出家の杉本凌士(53)が、劇団の枠にはまらない新たな舞台製作プロジェクトとして24年に始動した「MENSOUL PROJECT」の第1弾で「主役として迎え入れるのが夢だった」と崎山を座長に招いた。崎山は「第1回のプロジェクトで、自分にとっても、しゃんとせんといかんなと」と気合を入れた。
作品の舞台は福岡で、パパさんのためのマタニティー教室が開かれる整骨院と、福岡拘置所で物語が展開される。崎山は、弁護士の中神孝宏を演じる。弁護士役を演じるにあたり、ハンディ型の六法全書「ポケット六法」を購入し、読んで学んだ。「脚本の中に出てくる法律用語をチェックし、気になったところを見て、弁護士に質問して聞いたりした」。弁護士を題材にした17年の映画「三度目の殺人」(是枝裕和監督)と、22年の映画「ある男」(石川慶監督)も鑑賞した。
中神は14年に、杉本が演じる死刑囚の山崎と初めて向き合うが、山崎は死刑を望む。10年後、中神は心境の変化があり、どうしてもふに落ちない点があり、無実ではないかと考え、山崎に再審請求を持ちかける。そうした法廷ドラマと、コメディータッチのマタニティー教室のシーンが同時に進んでいく。一見、何の接点もない生と死の話、2つの歯車がクライマックスに向けて一気に回り始める。
崎山が「僕らのシーンには笑いがなく、シリアスで、ただならぬ空気をまとっている。弁護士役としても、崎山つばさ自身としても食らい付いていかないといけない」と語るように、拘置所のシーンは緊迫感が漂う。一方、マタニティー教室のシーンは新米パパさんのコミカルな掛け合いが続く。崎山は「マタニティー教室のシーンは、純粋に笑う中で、なんで涙が出てくるんだろうと、違う感情を持つ瞬間が多い」などと作品の持つ力を強調。「マタニティー教室と拘置所のシーンの、2つの車輪が進んでいって、どこかで交わる。2つのシーンの違いと、交わった時の化学反応を見てもらえたら、と思う」と力を込めた。
杉本は、役者として檀上で対峙(たいじ)する、崎山の役者としての魅力を聞かれ「それが華というものだと思うが、ちょっと動き、話すだけでフワッと広がる。相手役としても演出家としても、ものすごくエネルギーを感じる」と評した。そして「人間性だと思うが、ハートが真っすぐに、純粋に飛んでくる。飛びすぎて困ると演出で言うくらい、好きな役者」と絶賛した。
オール九州弁の舞台だが、崎山は九州弁を覚えながら使う機会はなくなったという。「最初、ひと言、二言あったんですけど、東京から福岡・博多にやって来た弁護士ということで、なくなった」と明かした。杉本が「それを、脚本の1つのあやにしています。1人だけ、東京の人…というのが後で(物語に)関わってくる」と説明すると、崎山は「(共演陣の九州弁に)引っ張られそうになり、たまに前の台本の九州弁が出ちゃう。気を付けないと」と口にして、笑った。【村上幸将】