<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム>
とにかく明るい安村(43)の「安心して下さい、はいてますよ!」が、世界に通用するネタだと改めて思い知らされた。安村は、26日に東京・シネマサンシャイン池袋で行われた、韓国のポン・ジュノ監督(55)の米映画「ミッキー17」(28日公開)ジャパンプレミアで、十八番のネタ「安心して下さい、はいてますよ!」を生披露。20年の米アカデミー賞で非英語作品史上初の作品賞ほか最多4部門を受賞した「パラサイト 半地下の家族」のプロモーション以来、5年ぶりに来日した同監督を大笑いさせた。
ポン・ジュノ監督は、登壇前から「安心して下さい、はいてますよ!」を知っていたという。安村とともにゲストで登壇した、劇団EXILE町田啓太(34)が「監督は登壇前から楽しみにされていました」と明かし、同監督も「安心してます」と笑いながら口にした。
安村は23年に、英国の人気オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」(BGT)で、日本人として初の決勝進出を果たした。ポン・ジュノ監督は、その前年の22年8月から12月にかけて、同じロンドンの地で「ミッキー17」の撮影を行っていた。安村の再ブレイクと撮影の時期はずれているが、檀上で安村に「ロンドン(BGT)で、はるかに多くの観客の前で拍手を浴びた。独自の世界観を持っていると思う」と語っており、どこかでBGTの映像を見て安村の芸を知ったのだろう。
「安心して下さい、はいてますよ!」が、なぜ世界的にウケるのか? と考えながら、繰り返し、ネタを繰り出す安村を見ていた。何より、シンプルに見た目で全裸に見えてしまうのは分かりやすく、繰り出した時点で言語の壁を超えることは大きいだろう。
加えて「安心して下さい、はいてますよ!」を、披露する国の文化、生活習慣などに絡めつつ繰り出すことも、海外の人にウケる1つのポイントだろう。BGTでは「British Naked Pose」と叫び、英国の習慣であるアフタヌーンティーを、全裸で行っているかのように見える新ネタを披露。銃を手にバッキンガム宮殿周辺を守る近衛兵、英国の国技クリケット、ザ・ビートルズが「アビイ・ロード」スタジオ付近の横断歩道を歩く姿を撮った写真を使った「アビイ・ロード」のジャケットを再現したネタなどを続けた。
ポン・ジュノ監督にも「韓国の全裸ポーズ。チョンラ、サムギョプサル、チョンラポーズ」と、ハングルを交えつつ、豚ばら肉を焼く料理サムギョプサルを焼きながら全裸に見えるポーズを披露。さらに「続いては『ミッキー17』。コピーされる時のチョンラポーズ」と言い、英俳優ロバート・パティンソンが演じる主人公ミッキーが、過酷すぎる業務命令で死んではプリンターで生き返る物語にちなみ、ミッキーがプリンターでよみがえる様子を再現しつつ、全裸に見えるポーズを披露。これには、ポン・ジュノ監督も「(ミッキーが)プリンターから出力される時は、安村さんのように何も着ていません」と笑った。
舞台あいさつ後のフォトセッションで、先輩のカメラマンが「皆さんでポーズを!」とリクエストすると、ポン・ジュノ監督は安村とともにノリノリで「安心して下さい、はいてますよ!」ポーズを繰り出した。想像もしていなかった展開に会場全体が沸いた。
チェ・ドゥホプロデューサーは「ハリウッドに進出してください!」と安村に呼びかけた。お世辞も多分にあっただろう。ただ、その一言が、どうなっていくか期待したくなるほど、544席がほぼ満席となった会場は笑いに包まれていた。【村上幸将】