
大阪府知事や大阪市長を務めた弁護士の橋下徹氏と、経済学者の成田悠輔氏が23日、TBS系「サンデー・ジャポン」(日曜午前9時54分)に出演し、石破茂首相が自民党の新人議員に10万円の商品券を配布した問題が歴代首相に波及したことについて、議論を繰り広げた。
番組では、石破政権以前にも岸田文雄前首相や安倍晋三元首相の政権時に、商品券などが配布されたとする証言が次々と出ていることを報じた。
橋下氏は、石破首相の商品券150万円の問題だけでなく、年間12億円の官房機密費、年間10億円以上の規模の政策活動費、旧文通費など、政治家の「領収書のいらない莫大(ばくだい)な金」を問題視。「法律違反かどうかという問題よりも、ポケットマネーなんですよ、これ政治家の。年間数千万円のお金」と実態を指摘した上で「これが日本の政治の大問題で、今の国会議員はやり続けたいんですよ。だから選挙に負けないようにする。でも今の政治課題というのは、選挙で負けるような課題をやっていかなきゃいけないんだけど、負けたら嫌だから、やり続けたいものだから、全部先送りをやっている。政治家を目的ではなくて手段にしようと思うと、こういうポケットマネー、使い道自由なお金を縮小していかないと。僕が知っている国会議員、みんな、この生活を維持したいと思っている人がほとんど」と、政治とカネの問題が国会議員の政策実行に影響しているとの持論を述べた。
一方、成田悠輔氏は、石破首相を発端とした商品券問題について「ダメっちゃダメだが小ネタすぎ」との私見をフリップで提示された。隣の橋下氏も笑いを浮かべる中、成田氏は「ちっちゃい話すぎるんじゃないかな」と切り出すと「日本も世界もとんでもない状態じゃないですか。第3次世界大戦が始まるかもしれない、日本人も毎年100万人減っていて、そろそろGDP成長もマイナスになるかもしれない。台湾もどうなるか分からない。国の存亡にかかわる問題がたくさんあるわけじゃないですか。その中で、10万円の商品券」と疑問を呈した。
成田氏は続けて「まあ平和っちゃあ平和なのかもしれないですが、橋下さんみたいなコメンテーターが、庶民の怒りをかきたてて、またお金を稼ぐための、という気がしてます」と話すと、爆笑問題の田中裕二が「あおっている」とすかさずツッコミ。橋下氏は笑顔を見せると「久々にこういうコメントを聞いて懐かしいなと思ったのは、こういうコメントって15年前になくなったのかな、と思ったんですよ」と、議論を歓迎するように返した。
橋下氏は「『小ネタすぎ』と言うけれども、今成田さんが言ったような、日本にはいろんな課題が山積しているんですけど、日本の政治家は選挙を恐れてそれをやらないんですよ」と成田氏のあげた課題が重要であることは認めた上で問題点に言及。「だからポケットマネーがない、裕福な生活ができないような環境にしたら、政治家は『これをやるために』政治家になる、手段として。選挙で負けてもいい、そういう覚悟の人間を集めようと思ったら、こういう環境を変えないと」と、政治とカネの問題が、より大きな政治問題に直結しているとの見解を示した。さらに「小さい話というよりも、今言った日本の課題を解決するために選挙で逃げないような政治家を誕生させるためには」と追及の必要性を訴え「だって数千万円のポケットマネーがあったら、それを維持したくなるでしょ」とまとめた。