昨年10月に76歳で亡くなった西田敏行さんのお別れの会が18日、東京・増上寺でしめやかに執り行われた。蛭間重勝役を演じた西田さんと「ドクターX」シリーズで共演した米倉涼子（49）が弔辞を読んだ。
自身が大門未知子として主演を務める「ドクターX」シリーズで西田さんと共演し、親交を深めていた米倉。祭壇の前に立ち、「トシちゃん」と声を震わせた。「いつしか西田さんからトシちゃんという存在に。憧れから願いかなって共演者、飲み仲間、カラオケ仲間、そして相談相手にもなっていただき、いつしか目標とする俳優になりました」と語りかけた。
12年から21年まで7シリーズ放送された、テレビ朝日系連続ドラマ「ドクターX」シリーズに、西田さんは13年10月期の第2シリーズから出演した。「13年の共演からあっという間に時がたってしまいました。そして、まるでワープでもしたかのように逝ってしまったと知ったとき、心の準備もなく電車の中で大声を上げて泣いたことをはっきりと覚えています」と明かした。
涙声で「役者としての基礎もない私が、ずっと不安で探し求めているお芝居する上での根本的なこと、トシちゃんの背中を見て気付かせてもらった気がします」と伝えた。「この気付や発見、そして、悩みはまだまだ止めどなく続きがありそうですけど、これが役者としての面白いところ、だよね」と泣き笑いした。
「本当は悲しいし、まだたくさん同じ時間を過ごしたかったけど、天国からこれからもずっと日本のエンターテインメント界を見守ってください。そして、気が向いたら私の体を使ってお芝居をしに来てくださいね」とはなをすすり、「大好きだよ」と最後に愛を伝えた。
祭壇は西田さんの故郷、福島県にある磐梯山と猪苗代湖をモチーフに組まれた。シャクナゲ208本をはじめ、菊や桃、梅など合計4000本の花で豪華に彩られた。遺影は23年2月に撮影された、ベージュのスーツを着用しほほえむ写真が使用された。
増上寺は、徳川秀忠らが眠る徳川家の菩提（ぼだい）寺。西田さんは00年のNHK大河ドラマ「葵 徳川三代」で秀忠を演じ、その縁で会場に選ばれた。会場の外には西田さんが出演した作品のポスターや写真が多数飾られていた。
西田さんは10月17日に虚血性心疾患のため、自宅で亡くなった。戒名は芸月院敏那覚優居士（げいげついんびんなかくゆうこじ）。
