東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成)主催の第67回(24年度)ブルーリボン賞が28日までに決定し、「ふてほど」人気で注目された河合優実(24)が主演女優賞を射止めた。自主製作からブームを巻き起こした「侍タイムスリッパー」が作品賞、主演男優賞の2冠に輝いたほか、助演賞にはそろって「大物」が選出された。授賞式は2月12日に都内で開催する。
◇ ◇ ◇
24年は河合優実の年だった。出演したTBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」が年間流行語大賞となった一方で映画では難役を演じ分けた。
「あんのこと」で、毒親と薬物中毒の克服にもがく少女の絶望を演じ、「ナミビアの砂漠」ではやり場を失った現代女性の鬱屈(うっくつ)を表現した。
「実話の『あんのこと』では、入江悠監督が『年齢的に河合さんの方が杏(役名)のことが分かるはず』と言ってくださったので、(役に入った)自分の体でストーリーを担っている感覚がありました。必死でしたね。体重も減りました」
「ナミビアの砂漠」は対照的だ。「この仕事を志したきっかけが高校生の時に出会った山中瑶子監督の『あみこ』でしたし、同世代の監督との現場を楽しみました」と振り返った。
選ぶ言葉の端々から撮影現場での真剣さが伝わる。
「お酒の席では、たわいのない話ばかりです。M-1とかは家族でわいわい見ます。今は言葉を選んでちゃんと伝えたいと思っていますが、その分、家ではハチャメチャですよ」
この切り替えだけでなく、作品ごとの方言の自然さや振りのうまさに定評がある。「ダンスを習っていたので、動きや音をとらえる部分が鍛えられたのかもしれません。何かをコピーするのが好きですね」。CMでは小泉今日子の「なんてったってアイドル」を歌った。「授賞式で(今回助演女優賞の小泉に)お会いしたら、ちゃんとあやまりたいです」と照れ笑いした。【相原斎】