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桂文枝、社会人落語に触発され、上方落語の若手落語家の奮起にも期待「三実とか二葉さんとか」


第16回社会人落語日本一決定戦で、宮永真也さん(高座名・呆っ人)が優勝しました。45歳の宮永さんは、神戸市の鍼灸マッサージ師で、網膜色素変性症という視力が徐々に失われる病を抱えています。決勝では「自由の女神や考える人に鍼治療を施す」というユニークなネタを披露し、多くの観客を楽しませました。落語との出会いは桂枝雀さんの作品で、今回の勝利は十数回の挑戦の中で最初の快挙です。大会の審査委員長である桂文枝は宮永さんを「ダントツ」だと評し、発想力を称賛しました。文枝は社会人落語の多様性とその文化的価値に注目し、プロの落語界でも若手の奮起を期待しています。文枝は現時点でのプロの世界に対する厳しい評価も示し、さらなる成長を促しています。

第16代社会人落語王者に輝いた宮永真也(高座名・呆っ人)さんと大会審査委員長の桂文枝(右)(撮影・阪口孝志)

落語家桂文枝(81)が8日、大阪・池田で審査委員長を務める 「第16回 社会人落語日本一決定戦」に出席した。

決勝戦は10人で行われ、神戸市の鍼灸マッサージ師宮永真也さん(45=高座名呆っ人)が、自身の職業にちなみ、自由の女神や考える人に鍼(はり)治療を施すネタを披露し優勝した。

宮永さんは20歳の時に、徐々に視力が失われる網膜色素変性症と診断され、現在は明るさがうっすらと分かる程度。落語との出会いは、図書館で桂枝雀さんの落語「崇徳院(すとくいん)」に出会ったことだった。

社会人落語には十数回参加。決勝進出は2回目で「優勝しか狙ってなかった」

前回の決勝進出時はセリフが飛んでしまったこともあり、「今回は失敗しないように。お客さんにも喜んでもらえた。所作や声が聞こえやすいように」と基本的なことを意識した。結果につながり、「いまだに現実味がない。夢か現実かよく分からない」と夢見ごこちだった。

文枝は「ダントツだった。リアリティーがすごく感じられた。発想がおもしろかった」と評価。「ただただ笑わしたら良いというものでもないので、これから人情とか工夫してもらえれば」と、さらなる深みに期待した。

社会人落語については「パイロットさんやお医者さん、学校の先生がいたりする。そういう人の周りで起こることは僕らはまったく発想できない。それぞれの仕事を生かして落語をされているのが社会人らしい」と面白さを語った。

一方、プロの世界では、先日発表された繁昌亭大賞で弟子の三実が奨励賞を受賞したが、大賞は12年ぶりに「該当者なし」となった。

文枝は「若い落語家も頑張っていると思うが、皆さんに負けないようにもっともっと頑張ってほしい。私も28歳の時に、2つ上に(2代目)春蝶さんがいて、その2つ上に枝雀さんがいて、その2つ上に(笑福亭)仁鶴さんがいた。そういう若い人の勢いが上方落語を盛り上げた。三実とか二葉さんとか、そういう人がもっともっと出てきて盛り上げてほしい」と奮起を期待していた。

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