橋本愛(28)が映画「早乙女カナコの場合は」(25年3月公開)に主演し、中川大志(26)と初共演することが14日、分かった。自意識過剰で男勝りな女性が大学に入学し、うだつが上がらない脚本家志望の先輩と演劇サークルで出会い、社会人になった先まで続く、付かず離れず、紆余(うよ)曲折の10年に渡る恋愛模様を描く。柚木麻子氏の12年の小説「早稲女、女、男」(祥伝社)を矢崎仁司監督(69)が実写化作品。
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6日に閉幕した東京国際映画祭でコンペティション部門審査員を務めるなど、映画愛あふれる橋本が未経験の大学生活を演じる。「大学に通えなかった自分にとって、あらかじめ失われた青春を取り戻すかのような…というほど甘酸っぱい話でもないのですが、全く知らない世界を手探りで途方もなく歩く感覚、でした」と撮影を振り返った。
橋本が演じる早乙女カナコは大学の入学式で、演劇サークルで先輩の長津田啓士と出会う。口ばかりで脚本を最後まで書かず、卒業する気もなさそうな典型的な“ダメンズ”長津田は、さわやかなイケメンを演じることが多い中川にとっても新境地の役どころだ。「知れば知るほど人間の奥深さが出てきて、とてもチャーミング。この役は僕にとってまた新たな挑戦でもありました」と振り返った。
カナコは交際から4年が経過し、浮気疑惑さえある長津田と口げんかも絶えない中、念願の大手出版社に就職。そして大学入学から10年が経過し、編集者になる夢を追うカナコと、長津田の生き方はすれ違っていく。橋本は「男とか女とか、そのグラデーションとか、自意識、愚かさ、狡猾(こうかつ)さとか、そんなものがわっと湧き上がってきて、葛藤して、ぐちゃぐちゃになって」と演じた率直な思いを吐露。「でもそれこそがオリジナルで、そして何でもない自分自身なのだと、そんなふうに思ったんです。全然大人になんてなってなかった!」と熱く語った。中川も「映画の中で流れていく時間、変化していく季節が苦しくも心地よかった」と語った。
20年の「さくら」以来、5年ぶりの監督作となる矢崎監督は「ぼんやりした不安の世界をサバイブする彼、彼女たちに会いに来てください。きっと元気になれる」とコメント。柚木氏は「あまりにも美しい愛についての映画で自分の原作かどうか、疑ってしまった」と感激した。
◆「早乙女カナコの場合は」 大学進学と同時に友達と2人暮らしを始めた早乙女カナコ(橋本愛)は入学式で、演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す先輩の長津田啓士(中川大志)と出会い、そのまま付き合う。就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が決まる頃、長津田にはサークルに入ってきた女子大の1年生・麻衣子と浮気疑惑さえあり、口げんかが絶えない。そんな時、カナコは内定先の先輩・吉沢から告白される。