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【悼む】岡宏さんのもう1つの顔 それは“バンマス“の愛称で親しまれたアングラー


日本有数のビッグバンド、岡宏とクリアトーンズ・オーケストラのバンドマスターであり歌手の岡宏さんが、2023年9月3日、脳梗塞のため83歳で亡くなりました。岡さんは音楽家としての功績に加え、釣り愛好家としても知られ、多くの人々に親しまれていました。取材陣がキャッチした岡さんの釣りのエピソードでは、千葉の「力漁丸」でヒラメ釣りを楽しみ、船中で最大となる3.1キロのヒラメを釣り上げる笑顔での一幕が印象的でした。岡さんのアーティスト活動は昨年歌手デビューを飾り、彼のプレゼントしたCDとともに、多くの人々の心に残っています。折しも、取材中に彼の死を知ったことは運命のいたずらとも言え、多くの記憶とともに、その人生が偲ばれます。

3.1キロのヒラメを釣り上げた岡宏さん(2023年9月3日撮影)

<悼む>

日本有数のビッグバンド、岡宏とクリアトーンズ・オーケストラのバンドマスターで歌手の岡宏(歌手名BOSS★岡)さんが88日午前1時58分、入院先の病院で脳梗塞のため死去した。83歳。日本音楽事業者協会が発表した。

   ◇   ◇   ◇

岡さんは音楽家であると同時に、アングラーとしての顔も持っていた。記者が岡さんを取材したのは昨年9月1日と10月1日。当時、日刊スポーツ釣り宿共栄会に所属してた千葉・大原「力漁丸」で、ヒラメ釣りの部分解禁および全面解禁のときだった。

右舷トモ(最後尾)が特等席で、常連客の間では“バンマス”が愛称だった。力漁丸には先代の船長時代から通っていたという。部分解禁の9月1日は、前日にも乗船していた。ヒラメは解禁前で狙えないため、オニカサゴがターゲットだった。「型が小さいのしか取れなかった。でも、サメはたくさん釣れたよ」と笑っていた。

そして迎えた部分解禁日。この日、ラスト15分で、船中最大となる3・1キロを釣り上げたのだ。「船頭が良くて、道具が良くて、腕が良ければ釣れるんです」と無邪気に笑う笑顔が、今でも脳裏に焼きついている。「こうじゃないと芸能人はつとまらないですよね」と豪語しつつも、動画を止めると「バレなくて良かった…」と胸をなで下ろす姿も愛嬌(あいきょう)たっぷりだった。

昨年6月に「かすり傷」で歌手デビュー。船を下りると、「これ聞いてみて。別に宣伝しなくてもいいから」と車に乗せていたCDをプレゼントしてくれた。

実は今日、天童よしみさんの取材をテイチクエンターテインメントで行っていた。その際、岡さんのポスターが社内に掲示されていて、「岡さん、元気かな?」と思っていたのだが、その直後に訃報を知った。そして、力漁丸の現船長にその旨を伝えると、先代船長が4日に亡くなったということを知った。

なかなか経験したことのない偶然だが、あっちの世界で、先代船長の操船する船で釣りを楽しんでいるのかもしれない。謹んでお悔やみ申し上げます。【川田和博】

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