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大鶴義丹「役者は親の死に目に会えない」「最後に死をもって教えてくれた」父唐十郎さん死去


父唐十郎さんが亡くなり、報道陣に対応する大鶴義丹(撮影・江口和貴)

アングラ演劇の旗手として知られる劇作家唐十郎(から・じゅうろう)さん(本名大鶴義英=おおつる・よしひで)が4日午後9時1分、急性硬膜下血腫のため、都内病院で亡くなった。84歳。

5日、主宰する劇団唐組が発表し、座長代行が取材に応じた。1日に自宅で転倒し救急搬送されたという。長男で俳優大鶴義丹(56)も舞台出演後、都内で取材に応じてコメントした。通夜、葬儀は近親者で執り行う。亡くなった5月4日は、アングラ劇団ブームでしのぎを削った寺山修司さんの命日でもあった。

   ◇   ◇   ◇

唐十郎さんの長男の俳優大鶴義丹(56)は、この日、東京・渋谷伝承ホールで舞台「後鳥羽伝説殺人事件」に出演。殺人事件解決に奔走する広島・三次警察署の刑事森川浩太役を演じた後、エンディングの祭りの法被姿を刑事のスーツに着替えて会見に臨んだ。

唐さんが亡くなった時は舞台初日が終わったところで、臨終に立ち会うことはできなかった。「まさに初日が終わった時間に亡くなった。『役者は親の死に目に会えない』ということを、最後に死をもって教えてくれた。最後まで粋な演出をするんだなと思いました。30分ぐらい後に行ったら、まだ少し、体温が残っていた」と振り返った。

演劇人としての父を「家が稽古場で、子供のころから見ていました。『3度の飯を食べるように芝居を作り続けたい』と言っていた。テントの劇場の中に飛び込んでいく時に振り返って、ニヤッと笑ってうれしそうに舞台の上に出ていった」。唐さん作の戯曲で、唐さんが演じた役を演じたこともある。「俺にはかなわないぞ、って言ってました。父の求めるものには到達できないのが分かっても、若い時は抜こうとした。戦うもんじゃないと分かって、次の世代に父の作品を伝えていきたい」と話した。【小谷野俊哉】

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