AI、ビッグデータといったテクノロジーに、M&Aも組み合わせて海外進出を狙う動きが日本企業からも出てきた。データセクション株式会社から11月14日に発表された、画像解析ソリューションを持つチリの会社を子会社化がそれで、南米やアジアへの足掛かりとする構えだ。
データセクションの林健人代表取締役社長兼CEO
今回のデータセクションの海外M&Aは、チリのJach Technology SpA(Jach Technology)を対象としたもの。小売店向けBIツール、店舗内カメラの画像解析ソリューション「FollowUP(フォローアップ)」を中南米、南アジアを中心に展開する会社だ。
データセクションは従来から、国内向けに「FollowUP」の販売ライセンスを取得して、導入を推進。Jach Technologyの子会社化により、中南米をはじめとした海外へ展開する足場を固めようとしている様子だ。
データセクションの林健人代表取締役社長兼CEOは、AIの活用と業務課題への取り組みの間のギャップを指摘した上で、「日本だけではなく、東南アジアや南米からもAIの応用について問い合わせを受けている」と背景を解説。
「タイ、フィリピン、ベトナム、チリ、韓国とある中から、まずはJach Technologyから経営統合して手掛けていこうと考えた」と同CEOは話した。
一方で、Jach Technologyは、小売店の店舗内にカメラを設置して、画像や動画を収集分析。データを解析することでKPIの可視化や、業務改善を図るツールを提供しており、POSデータと連携した分析も可能だという。
Jach Technologyのクリスティアン・カファティCEO
Jach Technologyのクリスティアン・カファティCEOは、20カ国、約6500店で導入という実績を紹介して、「1年ほど前にお互いの事業をよりグローバルに広げようと話し合いを始めた」ときっかけを語った。
また同CEOによれば、両社の経営統合により、2つの大きな、明らかなシナジー効果があるという。一つは、AIソリューションと、Jach Technologyが持つビッグデータと顧客を統合することで、リテーラーにとっての非常に特定的な問題を解決できる。
同様に新しいサービスの提供が出来るようになるという。カファティCEOは、「商品棚の管理にも応用でき、どの商品が不足してきているのか把握することもできる」と現在ウォルマートと取り組んでいる例を引き合いに出して解説。「AIの技術、データセクションの技術があれば世界でトップになれると確信している」とも同CEOは話した。
握手を交わすJach Technologyのクリスティアン・カファティCEOと、データセクションの林社長兼CEO(右)
今後の見通しとしてデータセクションは3年以内に、36カ国への展開を計画。Jach Technologyの売上の成長も見込んでおり、2018年12月期の3億7500万円から2021年12月期には7億1700万円まで拡大するとデータセクションは見込んでいる。
併せて林社長兼CEOは「いろんな国で、いろんなAIの技術を必要を必要としている企業ともっともっと一緒にアライアンスを組んで世界のデータ部(データセクション)になっていこうと考えている」とも会見では語り、今後の成長への意気込みを顕にしてみせた。