ここ数年で、ご近所同士による騒音トラブルが目立つようになった。幼稚園で遊ぶ園児たちの声がうるさいと近隣住民からクレームがあったかと思えば、知人宅では夜中に洗濯機の音がうるさいと階下の住人から物言いがあったという。
筆者の子どもが所属するサッカークラブでは、小学校の校庭で練習中、ホイッスルの音がうるさいとクレームが入り、警察官が事情聴取にきた。神経質な大人たちが増えたことを実感せざるを得ないが、なぜ、こんなにも騒音トラブルが目立つようになったのだろうか。
過敏に反応する大人たち
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Fujisan.co.jpより
一般的に騒音は、デシベル(db)という単位で示される。たとえば、自動車のクラクションは「110db」、電車が通るときのガード下は「100db」、カラオケは「90db」、電車の中は「80db」etc……。先にあげた洗濯機で「60db」ほど。一般的な会話は「50db」だが、これらはあくまで近くで感じたときの音の影響を数値化したもの。
閑静な住宅地でも「30~40db」ほどというので、騒音と感じるかどうかには個人差があるようだ。これは、不安や悩み、怒りといった心理的要因が関係していて、つまりは、心が不安定なときに感じる雑音が「不快、我慢できない→クレーム」という流れになってしまっているようだ。
悪質な行為は逮捕されたケースも
騒音トラブルがやっかいなのは、誰に相談していいかわからないという事情もある。たとえば、困ったときには警察が思い浮かぶだろうが、警察は民事不介入が原則のため、踏み入ることができない。マンションやアパートであれば、管理会社や弁護士に頼るしかない。
騒音で困っていた場合も、騒音を感じたときの定量的な記録を用意しておかないと、騒音があったことが客観的に示しにくい。騒音を訴える側、訴えられる側、どちらの立場にせよ、自分の主張を聞いてもらうためには、第三者が見たときにわかるよう、客観的な記録を残しておかないといけないのだ。
距離感が大事?
専門業者によると、騒音トラブルで多いケースは、車のエンジン音やペットの鳴き声だという。無用なトラブルを避けるためにも、こうした騒動の原因は知っておいてもよいだろう。
ちなみに、こうした騒音トラブルを回避したければ、日頃から「近からず遠からず」のご近所付き合いを行っておくしかない。つまり、顔をあわせたときはきちんと挨拶するし、だからといって、相手のプライベートには踏み込み過ぎない、という距離感だ。
「クレヨンしんちゃん」の隣のおばさん感覚がちょうどいい
相手の顔が浮かべば、子どもの騒ぐ声が聞こえても、「あそこの家は子どもが元気だからね」という気持ちにもなる。アニメ「クレヨンしんちゃん」で野原家の隣に住むおばさんが、みさえとしんのすけのドタバタ劇を「また、いつものことか」と流せるのは、ある意味、相手のことを知っているからだ。これこそ騒音トラブルをなくす理想の関係性ともいえるだろう。
適度な距離感でお互いを尊重することができれば、騒音トラブルも多少は改善の傾向がみられるのではないだろうか。