第158回直木賞を受賞した作家・門井慶喜氏による同名小説を映画化した『銀河鉄道の父』が5月5日、ついに全国公開。同日には都内映画館で初日舞台挨拶が行われ、主演の役所広司、共演の菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯、そして成島出監督が出席した。
宮沢賢治の父・政次郎を演じた主演の役所は「やっと今日という日を迎えることができました。スタッフ・キャストが一丸となって作った作品です。皆さんに気に入って頂けると嬉しいです」と挨拶。見どころについては「時代の変化に合わせて明かりが変わってくる。最初はランプの明かりだけで撮影をしていて、とても綺麗で美しい映像になっています」とヴィジュアル面のこだわりを強調した。
宮沢賢治を演じた菅田もガラス製のランプが思い出深いようで「役所さんとの芝居でヒートアップしてぶつかって、貴重なガラス製のランプが割れて大変でした」と述懐。役所は「僕らが怪我をするよりもランプが壊れることの方がスタッフは…」とニヤリとして、菅田も「ガラスのランプは替えがききませんからね」と貴重な体験だったと口にしていた。
賢治の妹・トシを演じた森はラストシーンを見どころに挙げて「夢と愛で溢れた素敵なシーン。私自身も夢心地で撮影をしていました」と手応え。賢治の弟・清六を演じた豊田は「喜助が政次郎さんに『おめえは父親であり過ぎる』と言い放つセリフは政次郎さんを表すセリフなので印象的でした」と回想。これに賢治の祖父・喜助を演じた田中は「自分のセリフを忘れるくらい役所さんの芝居が面白くて、無我夢中で観察。やはり凄いなあと思った」とリスペクトすると、若い時代を描いたシーンゆえに役所は「若作りしている泯さんを見たのが初めてだったので面白かった」と笑っていた。
賢治の母・イチを演じた坂井も役所の若き日がお気に入り。「冒頭シーンでの役所さんの白い割烹着姿がチャーミング。その姿にノックアウトされて欲しい」と予告すると、菅田は「前髪が良い!20代の設定ですよね?」と役所に確認して、当の役所は「そうです!」と照れていた。
また3歳から20歳までバスケをやっていたという豊田は、役所に対して「そんな僕でも全力の役所さんを止めることが出来なかった。筋トレをしていますか?」と質問。菅田も「わかる!わかる!大木だよね!全然動かない」と共感する中、役所は「そんな、そんな。散歩くらいですよ」とまさかの返答で、豊田&菅田ら若手を驚かせていた。
一方、役作りのために減量していたという菅田は「ロケ地では何を食べていましたか?」とキャスト陣に質問。役所が「差し入れにいただいた五平餅」というと、菅田は「あれ美味しそうだった~!」と食べられずに悔しそう。すると坂井も「差し入れの薄いカリントウ!」といい、役所は「あれも美味かったね!食べてないでしょ?可哀想」と減量中で差し入れを口に出来なかった菅田の肩を叩いて同情。その菅田が「僕は近くのスーパーで買ったキャベツの千切りを食べていました。可哀想でしょ?」と訴えると、役所は「役者の鑑だね!」と冗談めかしつつも熱の入った役作りに賛辞を送っていた。
そして森は「殺気すら感じた」と菅田演じる宮沢賢治が鬼気迫る雰囲気で読経するシーンの舞台裏に興味津々。読経で声を枯らしたという菅田が「撮影前に近くのお寺で正座して精神統一をしたら気持ちが昂った。凄い声量と音で近隣に迷惑をかけたと思う」と苦笑いすると、政次郎として制止に入った役所は「菅田君は仮面ライダーもやっているから…。アクションは怖かった」と迫力を絶賛していた。