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新江ノ島水族館で聞いた! 人間と魚のケガの治し方の違いとは!?


神奈川県の新江ノ島水族館で「ケアリーヴpresents 親子で学ぼう! おさかなと人間の“ケガ”セミナー2025」が開催され、魚と人間のケガの治し方の違いについて親子で学ぶ機会が提供されました。人間のケガはモイストヒーリング法を推奨し、消毒ではなく潤いを保つことで早く治す方法を紹介。一方、魚のケガは消毒と抗菌処理が行われ、アクリノールという薬を使用して傷を保護しながら体力回復を目指します。セミナーは水族館のバックヤードツアーも含まれ、魚が自己治癒力を活かして回復するプロセスを見ることができました。フィッシュトリーターたちはこのプロセスを支援する役割を担い、ケアの重要性を強調しました。

「人間と魚、ケガの治し方の違いは?」そう聞かれたら何と答えるでしょう? 答えに窮する方も多いのではないでしょうか。 6月、神奈川県の新江ノ島水族館(えのすい)で行われた「ケアリーヴpresents 親子で学ぼう! おさかなと人間の“ケガ”セミナー2025」は、そんな人間と魚、それぞれのケガの治し方について楽しく学ぶ場になっていました。

普段は見ることのできない水族館の裏側を見学!

この日、閉館後の水族館に集まったのは親子連れ61名です。セミナーに先立って、普段は見ることのできない水族館のバックヤードツアーがスタートしました。残念ながら撮影禁止でしたが、そこには大小さまざまな水槽が並んでいます。

「ここにある水槽は予備槽と呼ばれています。ケガや病気の治療や餌付けを行う、水族館になくてはならない大切な場所です」と、展示・飼育担当をしている「えのすいトリーター」の山本さん。

予備槽は新江ノ島水族館で展示されている魚の治療はもちろん、海や川から新たに搬入してきた魚の一時待機場所でもあるのだといいます。

「仮に新しい魚が病気だった場合、いきなり混ぜてしまうと病気が展示槽全体に蔓延する可能性があります。そうならないためにもまずは予備槽で状態を観察してエサをあげ、必要なら治療をして元気な状態にしてから展示しています」

搬入されてから展示までには早ければ数日、長いときは数か月かかる魚もいるそうで、健康チェックは入念に行われているようです。

「相模湾大水槽にはエイやサメもいたと思いますが、彼らも病気になるとここで治療を行います。袋状になった魚専用のタンカーに水ごと入れて、えのすいトリーターが7〜8人がかりでここまで運びます。

サメなど大きな魚の採血を伴う検査などは、えのすいに常駐している獣医さんにお願いします。ただ、多少キズついている程度であれば、トリーターが直接処置をしています」

では、魚のケガの治療とはどのようなものなのでしょうか? 続く大水槽前で行われたセミナーで詳しく聞くことができました。

人間のケガに消毒は逆効果!

でもその前に。まずは人間のケガの治し方について「ばんそうこう先生」ことニチバン株式会社の倉智一さんが解説してくれました。

「人間はケガをすると傷から透明な液が出てきますよね。これは体液なんですが、じつはこの体液にはキズを早く治す成分が含まれています。この体液を利用し、潤った状態を保つことで傷を治す方法をモイストヒーリングといいます。

ですからもしケガをしてしまったら、キズ口を洗って血を止めた後、ぜひ日本で一番売れているばんそうこう『ケアリーヴ治す力』を使ってください。パット部分が体液を吸ってかさぶたの代わりになり、キズを早くきれいに治してくれます」

じつはモイストヒーリングが応急手当てとして一般的になったのはここ20年程度。親世代ではまだケガをしたら消毒と考えている方も少なくないかもしれませんが、消毒してしまうとキズをきれいに治す成分まで殺菌されてしまうのだとか。

今回のセミナーは親子で正しいセルフケアを学びなおす機会にもなったのではないでしょうか。

一方の魚のケガは……消毒して治す!

次に登場したのは、えのすいトリーターの杉村誠さんです。

「魚のケガを治すのに大切なのは、ケガした場所を保護して、体力をつけさせることです。これは人間と変わりませんね。ただ魚の場合は雑菌や寄生虫が体につかないようにヌルヌルした保護膜があって、ばんそうこうは貼れません。

そこで粉状のアクリノールという薬をキズ口にペタペタ塗布して消毒し、ふさぎます。それから海水には雑菌がたくさんいるので、キズ口から悪い病気に感染しないように合成抗菌剤を入れて菌を減らした海水で過ごしてもらいます。

あるとき展示槽でムツがウツボにお腹を噛まれたので、予備槽に連れて行って治療しました。1〜2日おきにアクリノールを塗り、エサを食べないので強制給餌でエサを食べさせました。40日でキズ口に変化があり、食欲もわいてきました。その後もバックヤードで経過観察を続け、3か月後にはキズが治りました。

最初に治療と言いましたが、私たちは魚が自分で治ろうとする自己治癒能力を助けてあげているにすぎません。ケアリーヴと変わりませんね。魚のケガも人間と同じように、ケアしてあげればちゃんと治るんだとが分かってもらえたと思います」

人間と魚、まったく違うように見えてケガが治るプロセスに共通点があることはおもしろい発見でした。

ところでその後のムツはというと、お腹の辺りにうっすらと傷跡を残しつつも無事展示槽へ戻って悠々と泳いでいます。ただし、言われなければなかなか気づけないレベル。この夏新江ノ島水族館へ行ったら、お腹をウツボに噛まれたムツがどこにいるか、じっくり探してみるのもおもしろいかもしれません。

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