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命の“終わり”を告げる鳥と母娘ふたりの奇想天外にして心温まる物語『終わりの鳥』ダイナ・O・プスィッチ監督インタビュー


アメリカの製作・配給スタジオ「A24」により注目を集めている『終わりの鳥』が公開中です。この作品は、地球を周回する不思議な鳥「デス」とその鳥に向き合う少女と母親を描いています。監督はクロアチア出身のダイナ・O・プスィッチで、彼女にとって初の長編監督作品です。物語では「死」というテーマがコミカルに描かれ、視覚や表現を通じて観客を引き込む構成になっています。鳥「デス」はおばあちゃんをイメージしたオレンジ基調のインコとしてデザインされ、俳優とアニメーションの融合でリアルに再現されています。プスィッチ監督は映画制作を通して自身の芸術的アイデアを表現することと、映画制作自体を楽しむことに重きを置いていると語っています。影響を受けた監督にはペドロ・アルモドバルや黒澤明などの名前を挙げています。

アメリカの製作・配給スタジオ「A24」により、昨年北米公開され、話題となった『終わりの鳥』が公開中です。地球を周回して生きものの“終わり”を告げる鳥<デス>と、その鳥と寄り添う病を抱える少女。かたや一心不乱に鳥と闘う少女の母親。世にも奇妙な<デス>と突如対峙することによって、母娘ふたりは間もなく訪れるであろう別れを次第に受け止めてゆく。そのプロセスを風変わりな表現を用いて、驚きとユーモアと涙で満たした本作。

次世代を牽引する新たな才能を発掘してきたA24 のもと、長編監督デビューを飾ったのはクロアチア出身のダイナ・O・プスィッチ。タバコをくゆらせ、ラップのリズムを刻む鳥というチャーミングなキャラクターを造形する一方で、“死”という観念を奇想天外に視覚化、その苦悩にも触れるなど奥行きのあるストーリーに仕立てています。本作へのこだわりについて、ダイナ・O・プスィッチ監督にお話しを伺いました。

――本作とても楽しく拝見させていただきました。“死”をテーマにしていながらコミカルなお芝居が取り入れられていて素晴らしかったです。どの様に演出しましたか?

私自身が物理的なコメディーも好きですし、それに対してのディレクションを好んでいるということもあります。俳優さんたちに「笑いをもたらすような演技をしてください」とお願いをしました。コミカルさを表現するのはすごく自然で、リアルであるべきだと思うんですけれども、本作に出演してくださった俳優さん自身がユーモアに長けた人ですし、対話の中で作品に取り入れたい要素を見つけることもありました。

――アドリブもあったのでしょうか?

訴興が多かったということではないんです。本作ではすごい量のVFXシーンを撮っていますから、リハーサルで完璧に近づける必要性がありました。各ショットに対して非常に厳密なディレクションでプランニングをすために、同じシーンを3回繰り返し取る必要があったんですね。それによって俳優さんたちがリラックスしながら臨めたっていうこともあると思います。

――<デス>のキャラクターが最高ですが、どの様にデザインしましたか?

様々なインコを組み合わせた形にしたんですね。全滅してしまっている南米に生息していたインコを参考にしました。カラーはネオングリーンというよりオレンジを基調としていて、実際にこのインコは存在しませんが、本当に存在しているんじゃないかという信憑性を醸し出す非常にリアルなデザインが出来たと思います。オレンジ色なのはおばあちゃんの色のイメージで、親しみがあったからです。
インコをベースにしたのは、インコの動き方に私自身が惹かれているというのがあります。一方ではすごく可愛らしくてフレンドリーな要素も兼ね合わせつつ、もう一方ではその恐竜のような怖い側面も持っているっていう所が好きなのです。

――表情も面白いですよね。

表情は、俳優のアリンゼ・ケニが演じてくれました。カメラの前で彼が演じて、その上からアニメーションを載せています。小さな、繊細な表情は彼によって作られたのです。

――本作の制作は監督にとってどの様な経験になりましたか?

このチャレンジで、2つの要素の間に健全的なバランスを見つけたることが出来ました。1つ目が「自分の持っている芸術的なアイデアをその通りに表現する」ということ、2つ目が「映画制作を楽しむ」ということです。どの規模の予算であれ、1番初めの長編映画を作るというのは、どの監督にとっても大きなプレッシャーになると思うんですね。必ずやり遂げなくてはいけないという気持ちになります。そして自分自身が表現したいものを追求するために10年、15年、20年と費やす人たちもいらっしゃいます。
私にとって、この長編映画第一作目というのは、非常に複雑なチャレンジではありましたが、映画制作自体を楽しむことが出来ましたので、そのことがすごく良かったと思っています。

――監督が映画監督を志したきっかけはどんなことだったのでしょうか?影響を受けた方などがいれば教えてください。

俳優になりたいと思ったこともあれば、海洋生物学者、人類学者、脚本家などになりたいなと思っていましたが、それらを組み合わせた結果、映画監督という職業に行き着いたんですね。俳優さんと実際に仕事がすることができますし、脚本も映画制作にあたって脚本を書くことができます。海洋生物学者というのは、生物に興味を持っていたわけではないんですけれども、“水中”にすごく興味を持っていて、映画監督になれば水中での撮でも可能だなという風に考えました。そして、人類学者という点においては、人に興味を持っていますので、映画なら人を研究することも出来ますよね。
好きな映画監督に関してなんですけれども、自身の芸術的な表現に忠実である映画監督が好きです。それと同時に観客と大きな形で繋がりをもたらすことのできる監督が素晴らしいと考えています。監督自身が抱えている芸術的なセンスを実際に表現に落とし込むことは不可能なこともあると思うんですけれども、それを可能にされている監督に影響を受けています。たくさんいるんですけれども、中でも名前を挙げるとすると、ペドロ・アルモドバル監督、パク・チャヌク監督、黒澤明監督、バスター・キートンさん、ミランダ・ジュライさんなどです。

『終わりの鳥』
監督・脚本:ダイナ・O・プスィッチ(初長編監督作品)
出演:ジュリア・ルイス=ドレイファス(「VEEP/ヴィープ」)、ローラ・ペティクルー(『恋人はアンバー』)
原題:TUESDAY/2024年/英=米/110分/シネマスコープ/5.1ch/字幕翻訳:佐藤恵子
配給:ハピネットファントム・スタジオ
映倫区分:G
公式サイトhappinet-phantom.com/tuesday
X:@A24HPS
©DEATH ON A TUESDAYLLC/THE BRITISH FILM INSTITUTE/BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2024

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