starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

映画『かなさんどー』松田るか&照屋年之監督(ガレッジセール・ゴリ)インタビュー「許しを与えることは苦しいけれど素敵なこと」


映画『かなさんどー』が公開され、監督の照屋年之氏が前作『洗骨』から6年ぶりに描く「家族の愛と許しの物語」が話題を呼んでいます。松田るかさん、堀内敬子さん、浅野忠信さんらが出演し、沖縄・伊江島を舞台に笑いを交えて描かれた独自の死生観や人間関係、許しをテーマにしています。新型コロナ禍の影響で進められたこのプロジェクトでは、短編『演じる女』を長編化する構想のもとに制作が進められました。映画の中心にあるテーマ「許し」は、誰もが人生で考え直すべき普遍的なものであり、監督は人間関係の複雑さや人生の最後をどう締めくくるかについても深く考察しています。公開後、映画を見た人が身近な人たちに愛を言葉で伝えるきっかけとなることを目指しています。

沖縄県・伊江島を舞台に、照屋年之監督(ガレッジセール・ゴリ)の独自の死生観を笑いを交えて描く映画『かなさんどー』が公開になりました。

家族の絆や祖先とのつながりをユーモアを交えて描く照屋監督ならではのアプローチが話題となった前作『洗骨」(19)から6年。松田るかさん、堀内敬子さん、浅野忠信さんらを迎えて描く“家族の愛と許しの物語”

主演の松田さん、照屋監督にお話を聞きました。

●本作は、先行公開された沖縄で照屋監督の『洗骨』を上回る出だしだそうですね。

監督:(『洗骨』を)絶対抜きたいです(笑)。最新作が最高傑作だと思っていつも映画を作っていますので、成長していないと、なんです。いっぱい入ってほしいです。『洗骨』を抜いたと言われたいです!

●その『かなさんどー』、映画製作のプロジェクトはどのように始まりましたか?

監督:コロナ禍で長編が撮れない時に、福田淳さん(制作・総指揮)が『洗骨』のファンで、対談をしてくれないかというオファーをいただいたんです。その後で映画を作りましょうということになりました。僕は満島ひかりさん主演で撮った短編『演じる女』を長編にしてみたいと前々から思っていたので脚本を書き始めた、そういう感じですね。

松田:わたしも短編『演じる女』を拝見していたので、これが長編になったらどうなるんだろうと思いながら台本を読みました。『かなさんどー』は、人が生きているなというのが第一の感想で、アイコン的ではなく、ちゃんとそこに人がいる感じがしたんです。なのでとても楽しみだったのと、沖縄人として真ん中に立たせてもらえることはとても光栄なことだと思いました。その時のわたしを全部出そうと思って意気込んで撮影に入りました。

●ちなみに『演じる女』をどうして長編で撮りたいと思ったのでしょうか?

監督:内容と、オチが好きなんです。あれを長編でやったら壮大になるなと以前から思っていたんです。


●死や相手を許すというテーマは、誰もが人生で直面しますし、また一度は考えないといけないものですよね。

わたしが演じた美花の想いで言うと、最後まで父を許せなかったのかなとは思います。ただ、それ以上に母が大好きだから、母のために何かをしたかったでしょうし、映画でも描かれますが、今のまま父に死なれては母への冒涜になってしまうので動いたのだろうなと思いました。

ただ、完全に許せてはいなくても島に戻った時点で、完全に興味が切れているわけではないんですよね。そういう意味では愛を受けて育ったからこそ、7年という時間が経ったけれど、島に戻ってくることが出来たと思いますし、許す、許せないで言うと、最後まで許しきってはいないのではないかと思いながら、撮影中は過ごしていました。

監督:これは僕自身の想いというよりも、人間全体のテーマを投影しているような気がします。人間関係ってやっぱり面倒くさいので、絶対に許せない人、距離を取って出来れば会いたくない人、たくさんあると思う。でも、完全には切れない人もいますよね。たとえば家族、親戚、地元の仲間、そんななかで人生の最後をどう締めくくることがベストなのか、僕はそのことをずっと考えていたんです。

自分が棺桶に入る姿をよく想像するんです。人のお葬式に行くと改めて、人生の締めくくりについて考えるのですが、自分もいつかこうなると思った時に、あの時謝っておけばよかった、あの時連絡を取っておけば関係が変わったのにとか、いろいろな後悔を棺桶に入れて死にたくないんですよね。だから父親が亡くなる際に許しを与えることは苦しいことなのかも知れないけれど、素敵なことなのかなと思って。死と許しをテーマにしようと思いました。


●そして今度は全国公開ですが、映画を待っているみなさんには何を大事に観てほしいですか?

松田:映画を観終わった後、ご家族や友だちなど近しいどなたかを思い浮かべる方もいらっしゃると思うんです。でも、その方たちに直接愛を伝えることはなかなかかないと思うので、この映画が直接伝えるきっかけになれればいいなと思っております。

監督:日常を生きていたら全員が笑っているわけではないことは僕も分かっていますし、みなさんいろいろと辛いことがあるなかで、僕はそんな時にエンタメに非常に救われてきた。もしよかったら、この『かなさんどー』を観ていただいて、みなさんの背中を優しく押してあげられるような作品になれたらいいなと思っておりますので、みなさんの大事な人生の90分間だけ『かなさんどー』にください。

■公式サイト:https://kanasando.jp/ [リンク]

■ストーリー

妻・町子(堀内敬子) を失った父・悟(浅野忠信) は、年齢を重ねるとともに認知症を患っていた。 娘の美花(松田るか)は、母が亡くなる間際に助けを求めてかけた電話を取らなかった父親を許せずにいる。そんな父・ 悟の命が危ないと知らせを受け、苦渋のなか故郷・沖縄県伊江島へ帰ることに。

父との関係を一向に修復しようとしない美花だが、島の自然に囲まれ両親と過ごしたかけがえのない時間を思い返すなか、生前に母が記していた大切な日記を見つける。そこで知ったのは母の真の想い、そして父と母だけが知る <愛おしい秘密> …。

(C) 「かなさんどー」製作委員会

(執筆者: ときたたかし)

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    おすすめ
    1. 【インタビュー】松田るか、「人間を知り尽くすことは不可能だなって」主演作『かなさんどー』公開

    2. ゴリ照屋年之監督「乗っかり商売、させてもらいます ! 」監督作公開前にGG賞受賞浅野忠信に感謝

    3. ガレッジセール・ゴリこと照屋年之監督「乗っかり商売させてもらいます!」GG賞浅野忠信に感謝

    4. 高い表現力が話題『美晴に傘を』日髙麻鈴インタビュー「“自立することはどういうことなのか”を教わりました」

    5. 『ココでのはなし』こささりょうま監督インタビュー「セリフ一つ一つに真剣に向き合っているからこそ」俳優・吉行和子の姿勢に感激

    6. 映画『ありきたりな言葉じゃなくて』小西桜子インタビュー「前半後半で一変するキャラクター、わたし自身も楽しませてもらいました」 物語の鍵握る“彼女”役

    7. 西野七瀬、ベテラン女優のサプライズにもらいウルウル?「自分に読まれているわけでもないのに」

    8. オダギリジョー「何かを感じて頂ける作品」高石あかり「心から光栄」/「夏の砂の上」コメント集

    9. 河合優実&入江悠監督 登壇! チケット3分で完売・『あんのこと』特別上映会 河合は「私にとって特別な経験」

    10. 映画「早乙女カナコの場合は」で橋本愛と中川大志が初共演 お互いの印象は?

    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.