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映画『恋脳Experiment』祷キララ&平井亜門インタビュー「出発点は魔法だったのに、呪いになっちゃうこともある」


映画『恋脳Experiment』は、岡田詩歌監督による実写長編デビュー作品で、幼少期から大人までの女性の恋愛経験を通して、人生で直面する様々な“呪い”を描いています。主演の祷キララさんは、キャラクターが持つ“呪い”のリアルさに共感し、平井亜門さんも役の“クズっぽさ”を楽しみながら演じたと語ります。映画の中で一般的な価値観や固定観念が、知らず知らずのうちに呪いとなる様子がリアルに描かれ、共演者たちの自然な演技や監督の細部へのこだわりが光ります。

幼少期から思春期、大人になるまでのひとりの女性の恋愛経験を通し、人生で直面するさまざまな“呪い”をコミカルかつ辛辣にあぶり出していく映画『恋脳Experiment』が公開中です。

短編アニメ『Journey to the 母性の目覚め』でPFFアワード2021審査員特別賞を受賞した岡田詩歌監督による実写長編デビューとなる本作。主人公の山田仕草を演じた祷キララさんと、仕草の元カレ・佐伯翔太を演じた平井亜門さんにお話を伺いました。

――本作とても楽しく拝見させていただきました!プロット、企画を聞いた時の印象を教えてください。

祷:岡田監督は本作が初めての長編作品ですが、キャラクターを作る力がすごいなと思いました。「こんな人いるよなあ」とか「こんなのダメでしょう!」と思っても、自分にもこういう面がある気がする…と思わせられる人物ばかりで。みんな一癖あるけど、みんな憎めない愛らしさがあって。脚本を読んだだけでもその魅力がしっかり伝わってきたので。本当に面白い本ですっと読めてしまいました。

平井:僕も読み物としてまず楽しませていただきました。佐伯というキャラクターは、あまり良い子じゃないと僕は思うんですけれども、僕が役を演じる時にクズっぽい所があるほうが燃える性質で。もっと腹立たせてやろう、観ている人が腹立つようなキャラクターにしようと考えることがすごく好きなので、撮影が楽しみだなという気持ちになったことを覚えています。今回、取材を受けるにあたって、改めて完成した映画を観たのですが、良い子の役をやっているより、こういう役をやってる方が楽しいなって実感しました。

――本当に魅力的で“堀り甲斐”のある人物ばかりですよね。まずは、山田仕草というキャラクターについて感じた印象や魅力を教えていただけますか?

平井:人の言葉だったり行動に、自分から呪いにかかっているようにも見えますよね。10代の時に「恋をすると綺麗になる」と友達が話しているのを聞いただけで、強く言われたわけではないのにその言葉の呪縛にかかってしまって。僕なんて人間は…平井亜門の話をしてもしょうがないのですが、すごくひねくれているから、仕草が人の言葉を重く捉えすぎることが不思議なんですけれど。

祷:自分から呪いにかかっているというのは、確かにあるかもしれないですね。脚本を読んだ時にはそう思っていなかったんですけど、今聞いて思いました。“呪い”というと自分から遠い言葉に感じますけれど、「恋をすると綺麗になる」という考え方って、なんとなく自分も持っていたりもしましたし。振り返ってみると、高校時代だったら、「大学に行った方が良い」とか、最近だったら「家庭を何歳ぐらいには持っていた方が良い」とか。呪いでもあるけれど、良かれと思ってアドバイスしたのかもしれないし。出発点は魔法だったのに呪いになっちゃうこともあるのだなと感じます。そして、そういう言葉を信じたくなる時って、落ち込んでいる時だったりするから。

平井:そういう時の方が影響を受けやすい所があるよね。

祷:「可愛いね」と褒められた言葉が「可愛くないといけない」という呪いにすり替わってしまう所とかがすごくリアルで。

平井:仕草の先輩の西川さんも最初は本当に褒め言葉で言っていたかもしれないけれど…。僕も普段軽く言ってしまっているのではないかと、身につまされました。

――この「自分もやってしまっていたかもしれない」という所がリアルで恐い弟すよね…。佐伯翔太というキャラクターについてはいかがでしょうか?

平井:追いつめられたら、余裕がなくなるというか、人に当たっちゃうような人間ですよね。(映画の)最後はちょっと良い感じになっていますけれど、調子に乗っているだけかもしれない。

祷:仕草が佐伯と再会したことが結末に向かっていくための起爆剤になっていたと思います。「まだ結婚もしていないし、実家暮らしだし」といったセリフもありましたけれど、色々な固定観念に縛られていた仕草にとって佐伯は、久しぶりにレッテルを貼られずに接することが出来る人で。一緒に踊りを踊るシーンでは色々なものから解き放たれて、純粋にコミュニケーションが取れる相手だったのかなと思います。その自由気ままさに救われていたり、変化のきっかけをもらえたのかなと私は感じました。

――共演でお互いに助けられた部分はどんなことですか?

祷:亜門くんとは共演が2回目で、5年くらいの時を経てはじめましてでは無いから、緊張するというよりは、楽しみだなって気持ちが大きかったです。亜門くんって自由人で、自由人である自分を受け入れている感じがして、素晴らしいんです。飾ろうとか見栄を張ろうとしなくて、撮影現場なのに家みたいにくつろいだりとか、そういう姿を見ると、そっちの方が絶対いいなって思うから。私たちの仕事は芝居をすることなのに、リラックスした状態で向き合えないと、気持ちも出てこなかったり、表現って出来ないと思うんです。亜門くんがいつも自然体だから自分も変に緊張したり力まずにやってみようと動けたことがすごく良かったです。

平井:昔共演した時に、その作品は群像劇だったのですが、10何人キャストがいる中で祷キララのコメントが1番しっかりしていて。本作の撮影も自由人・平井に気遣ってくれるぐらい余裕のある方で。演技をはじめたばかりの方やはじめましての方とご一緒すると変な間が生まれたり、生まれないように頑張ってしまう時があるのですが、今回は祷キララ大先生に絶対の信頼をおいて、自分が頑張らないと!と思っていました。

祷:大先生(笑)。亜門くんとは一緒にダンスのワークショップに行ったり、現場でいきなりお芝居じゃなかったことも大きくて。体を動かす、原始的な表現からスタート出来たので。

平井:コンテンポラリーダンスを教えてくださったダンサーの方がいるのですが、コンテンポラリーの考え方的にも、「その時に感じた動きのを大事にする」ということだったので、撮影現場でも入念に準備して踊るというよりもお芝居の延長線として動いていた感じでした。

――素晴らしいシーンでした!中島歩さんが演じられてらっしゃる金子エイジが、ちょうど良い具合に嫌な人で面白かったですね(笑)。

平井:最高ですよね。仕草と2人で登山をしていてお腹を壊すシーンで、「ちょっとイヤフォンしといて」って言うじゃないですか。あの状況でもカッコつけている?自分を演じている所が面白いです。

祷:イヤホンじゃなくて、イヤフォンなのが金子だよね(笑)。

平井:2人で将来について、子供について話すシーンがあったけれど、あれってアドリブも多いの?

祷:セリフ自体は脚本通りなんだけど、このシーンが一番自分が予想していたものと完成が違って。私は、このシーンの入り口は良い感じだった2人が、どんどん価値観のズレが見えてきて、仕草は金子の受け取り方に苛立つと思ったんですね。でも実際に演じてみるととにかく笑えてきて。

平井:笑っていたね。すっごく自然な笑い方をしているし、観ている側も笑った。「正しさってなんだろうね」と言ったセリフの前後に30秒ぐらい沈黙があったと思うのだけど、これも中島さんのアドリブなのかな?現場ではどんなことが起こっていたんだろうってワクワクしました。

祷:中島さんとのお芝居ってすごく楽しくて。日常で予想しなかったことが起きた時は自分でも予想外なリアクションをとるのに、お芝居だと構えちゃっている部分があって。でも中島さんはどっしり構えていて、見えたもの、起きたものにそのまま反応しますというスタイルだったので。私もどんどん楽しくなってきて、大胆に撮影出来たと思います。

平井:金子が仕草を送っているシーンで、道から猫が出てくるやん。あれってマジで偶然なの?

祷:偶然、偶然! 普通だったら「猫がいるな」と思いつつしゃべり続けるけれど、あの時は中島さんも(猫がいるな)と思っているなということが分かったので、そのまま言葉に出していました。

――すごく面白いですね。そんなシーンを残すところも監督の手腕なのかなと思うのですが、お2人が岡田監督らしさを感じた部分はどんなことですか?

平井:14歳の仕草が付き合う男の子の俺のイントネーションが「おれ↑」って、リアルな小中学生の言い方になっている所とか岡田さんのこだわりなんだろうなあとビシビシ感じました。あとは、塾の先生が唾液を飲み込む「ゴキュリ」という音も、撮影の後音を録り直したと聞いて。普通のゴキュリよりも大きい音になっていることで、先生の気持ち悪さも増しているので、細部へこだわりがすごいなあと思います。

祷:思い返すと、私に対して「このシーンどう思いますか?」とか「こう演じると良いと思うのだけどどうかな?」とか、たくさん聞いてくれて。監督と後日お話した時に、監督はアニメーション作家出身で、「今まで一人で作品を完結してきたからこそ、映画ではたくさんの人と協力して、色々な感性をすり合わせて一つのものを作りたかった」とおっしゃっていて。監督にやりたいヴィジョンがありながらもいつでもニュートラルに、柔軟でいる方だなと感じました。現場の空気が本当に穏やかで、キャストもスタッフも年齢がバラバラでしたけど、みんなが同じラインに立って、「このシーンどうやったら面白く出来るかな」と純粋に考えられる、とても幸せな経験でした。

――今日は素敵なお話をありがとうございました!

撮影:たむらとも

(C)2023 ぴあ、ホリプロ、電通、博報堂DYメディアパートナーズ、一般社団法人PFF

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