世界50か国に拠点を持ち130万人以上のアーティストを支援する、フランス・パリ発のデジタル音楽会社「Believe」の日本法人「Believe Japan 合同会社」が2023年3月に設立。2024年3月19日、日本法人が設立されてから初めて、日本におけるBelieveの戦略を発表する「Believe ミュージックビジネスカンファレンス」が、渋谷ヒカリエにて開催された。
Believeは、2005年に設立された、世界有数のデジタル音楽会社。急速にデジタル化が進む音楽業界の中で、Spotify、YouTube、Apple、Amazon、Meta、TikTokなどの主要なデジタルサービスと強力な長期的パートナーシップを築き、世界中のインディペンデント・アーティストとレーベルに寄り添ってきた。
ジャンルを問わず様々なアーティストが、自身でストリーミングへの配信・販売ができる代表的な音楽配信仲介サービス「TuneCore」を知る人は多いのではないだろうか。シンガーソングライターTani Yuukiをはじめ、BAD HOPや舐達麻といった著名アーティストも、実はこのサービスを活用してヒットしたアーティストである。
デジタルとデータを活用したアーティストの成長支援が強み
本カンファレンスでは、 Believeグローバルミュージックヘッド兼ヨーロッパ社長のロマン・ヴィヴィアン氏ならびに、Believe APAC社長のシルヴァン・ドランジェ氏が来日。グローバル視点でのBelieveの戦略が発表されたほか、日本法人代表の小川エリカ氏からは、日本市場におけるBelieve Japanの存在意義について語られた。
ロマン氏は、他の音楽会社と異なる点について、国内外の主要なデジタル音楽パートナーとの長期的なパートナーシップを築いている点について触れ、デジタルとデータを活用したアーティストの成長支援が強みだと示した。その上で、今後Believeは、「アーティストとレーベルが“デジタルチーム”となり、デジタルプラットフォーム上のツールを最大限に活用して、アーティストが自身の可能性について理解するための手助けをしていくこと」と、SNS時代ならではのデジタル活用を目指していくことを目標として述べた。そしてその結果として、「アーティストの収益を最大化すること」についても目標と語った。
“インディペンデント性”を研ぎ澄ますことが日本の音楽市場には重要
Believe Japan代表の小川氏は、アーティストやレーベルが成功するために今の日本市場に欠けているものについて、「多様性」と「自立性」と明言。セルフプロデュースを得意とする海外にならい、“インディペンデント性”を研ぎ澄ますことが日本の音楽市場には大事だと語った。
その上で、世界50か国に拠点を持ち世界中のトレンドのデータを集約するBelieveが、日本と海外をつなぐ存在となっていきたいと、日本展開の野望を意気込んだ。「日本の音楽市場は“眠れる巨人”であり、大きな可能性が眠っている」とも語り、日本のアーティストの成長機会について期待を寄せた。
日本のデジタル音楽を先導してきた第一人者たちもBelieveの存在意義を賞賛
今回はモデレーターとして、日本の音楽ストリーミング時代の到来を提唱してきた作家・音楽産業専門コンサルタントの榎本幹朗氏、ゲストとして、サザンオールスターズのチーフプロモーターを務めた今井一成氏らが招かれ、日本のデジタル音楽を先導してきた第一人者の視点からもBelieveの市場参入について語られた。
二人が音楽ストリーミングの提唱を始めた2012年頃は「いろいろなアーティストにストリーミングの話を持ちかけると、すごく嫌がられた時期だった」と振り返り、そんな時代から多くのヒットアーティストを輩出し成長し続けてきた同社を賞賛。一方で、今井氏は今後の課題として「全世界の人たちに邦楽、J-POPというものに興味を持たせるための術がまだまだ足りない」と語った。「海外へ飛び出しているアーティストも多いが、まだまだそんなもんじゃない、日本の音楽全体のグローバル化に対しBelieveが後押ししていってほしい」と未来への期待を語り、会を締めくくった。
Believe Japan公式サイト;
https://www.believe.com/japan