現在、東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)では、展覧会「ハッピー龍イヤー! 〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜」を好評開催中です。この展覧会では、重要文化財の橋本雅邦《龍虎図屛風》をはじめ、幅広いジャンルから集めた龍をモチーフとする作品が(これまで公開される機会が少なかった作品も含め)たくさん登場しています。
そして、公式にリリースされている<本展3つのみどころ>としては以下のようになります。写真とともに見ていきましょう。
「とにかく、静嘉堂の“龍”オールスター・キャスト!」
「迫力満点!橋本雅邦《龍虎図屛風》(重要文化財)と鈴木松年《群仙図屛風》の屛風対決!」
「絵画・染織・漆芸・金工・陶磁 ‐多彩なジャンルから“初出品”が続出!」
その1:とにかく、静嘉堂の“龍”オールスター・キャスト!
「龍」のイメージの成立ちとその姿を、美術品や静嘉堂文庫の古典籍の中に見ていきます。第二代静嘉堂文庫長・諸橋轍次氏が編纂した『大漢和辞典』に見る龍の説明などから、干支の中の辰年の性格など龍古来の伝承・イメージを織り交ぜて紹介。主文様に龍文を描く清朝・乾隆銘の大盤や、宣徳銘の堆朱盒、高麗・李朝の龍など、見事な工芸品の数々を楽しめます。
《青花黄釉雲龍文盤》「大清乾隆年製」銘
清・乾隆年間(1736~95)
こちらは超大型の壺です!
《青花龍文大壺》「大明嘉靖年製」銘
明 ・嘉靖年間(1522~66)
《色絵団龍文陶板》有田窯
江戸・元禄年間(1688~1704)
《雲龍堆朱盒》「大明嘉靖年製」銘
明・宣徳年間(1426~36)
三代目歌川豊国(国貞・歌川広重画《長崎 円やま》部分)
江戸時代・文久元年(1861)
花魁の着物の柄が龍になっています。
記内《龍図透かし鐔》
「越前住記内作」
江戸時代(18~19世紀)
その2:迫力満点!橋本雅邦「龍虎図屛風」(重文)と鈴木松年「群仙図屛風」の屛風対決!
工芸の名品だけではなく、龍を描いた日本の絵画から、今回の趣向は屏風名作対決に。重要文化財である橋本雅邦「龍虎図屏風」と、鈴木松年「群仙図屛風」。ともに「東の雅邦」「西の松年」として第4回内国勧業博覧会に出品され、受賞は逃したものの後年、評価が高まった作品だそうです。
重要文化財 橋本雅邦《龍虎図屛風》
明治28年(1895)
鈴木松年《群仙図屛風》
明治28年(1895)
この図の右上、疾走する龍の背に乗るのは「太真王夫人」、西王母の娘です。
こちらも鈴木松年《群仙図屛風》
明治28年(1895)
その3:絵画・染織・漆芸・ 金工・ 陶磁 ‐多彩なジャンルから“初出品”が続出!
龍のモチーフであればと、これまでの展覧会にはなかなか出る機会のなかった作品も少なからず、お初のお目見えとなりました。
《五彩龍文尊式花瓶》「大明万暦年製」銘
明時代・万暦年間(1573-1619)
高さは77㎝と大型です!
《紺地龍寿山福海模様刺繍 帳》清時代(19世紀)
清朝皇帝の袍(官服)を改変、煎茶席に使う「帳」に作り替えたのでしょうか。見事な刺繍に。
古来人々がその霊力、吉祥を呼ぶ力に願いを込めたという「龍」の絵画・工芸品。その数々を2024年・辰年の「静嘉堂@丸の内」にていかがでしょうか。3日(土)まで。
所蔵元/画像提供元:静嘉堂文庫美術館蔵
(執筆者: ときたたかし)