先日、スマートフォンの容量がいっぱいになってしまったので、いらない写真をちまちまと削除していくという地味な作業をしていました。
そうすると、普段からメシの写真を撮影することが多いので、自分の写真で飯テロを食らうことが多々あるんですよね。名付けるなら自爆飯テロとでも言うべきでしょうか。「そういえばこんなの食べたな〜!」と思う写真ほど食欲を刺激し、胃袋がギュルギュルと鳴り始めるものなのです。
鹿児島「山形屋」の焼きそば
その中でもクリティカルヒットをかましてくれたのは、昨年10月に旅行で行った鹿児島の名物グルメでした。
鹿児島市内には山形屋という1751年創業の超老舗デパートがあり、その中に入っている「山形屋食堂」の焼きそばは古くから鹿児島の人々から愛されているらしいんですよね。
今回の鹿児島旅行では2000円で料理7品+時間無制限飲み放題の店とか、ローカルな祭での“焼酎すくい”とか、強烈なイベントが多すぎてすっかり記憶が抜け落ちてしまっていました。だからこそ写真とともにジワジワと蘇ってくる美味しいの記憶。
山形屋食堂に行ったのは平日の昼間。店内はなんと300席以上あるというのに順番待ちの列ができていました。デパートの周辺には飲食店もたくさんあるというのに、本当にものすごく親しまれ続けている店なんだなあと。
しばらく待つと店内に案内してもらえたので、もちろん焼きそば(とグラスビール)をオーダー。価格は700円なのでなかなか良心的ではないでしょうか。
そしてテーブルに運ばれてきた焼きそばがこちらでございます。
まるで桜島のような野菜の山がお出まし
ウハッ! これ、焼きそばっていうか野菜じゃん!! あんかけ状の野菜がとにかくモリモリに盛られていて、下に麺が隠れているのかどうかさえ判別できません。本当にこれ焼きそばなんだろうな!?
と思ったらちゃんと中から麺が出てきたので一安心。でも出てきた麺はパリパリに揚げられた麺。「焼きそば」というか実際は「かた焼きそば」「皿うどん」のような食べ物なんですな。どういう経緯で「焼きそば」と呼ばれるようになり、多くの人が思い浮かべるであろうソース味の焼きそばは山形屋食堂では何と呼ばれてきたのでしょうか。
しかしそんな経緯もどうでもよくなるほど、食べてみるとシンプルに美味。やっぱり見た目の通り一般的なかた焼きそばや皿うどんと大差はないけど、キャベツ、たまねぎ、にんじん、かまぼこ、しいたけ、豚肉、イカなどの旨味がしっかりと餡に溶け込んでいてバッチリいい味に決まっているし、やや太めの揚げ麺は餡に浸ってもパリパリでいい食感。
卓上の三杯酢をかけるのが山形屋食堂スタイル
違いがあるとすれば、かた焼きそばや皿うどんは練りがらしを添えるのがメジャーだと思うんですけど、山形屋食堂では卓上の三杯酢をかけて食べるのが定番。ただ酸味が強いだけでなく、まろやかで旨味が強いので、味が引き締まってコク深くなるんですな。
野菜の量がボリューミーだし、麺も“揚げ物”なので普通に食べてたらなかなかヘビーだと思いますが、三杯酢の効果もあってあっという間に平らげてしまいました。うまかったなあ、これ!
ご当地グルメにありがちな人を選ぶような個性はなく、万人に親しまれそうな普遍的な味。長きに渡って親しまれ続けているというのにも納得の美味しさでした。……書いてたらまた食べたくなってきた!!
(執筆者: ノジーマ)