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ブラピの日本語吹替を担当して25年! 声優・堀内賢雄が『ブレット・トレイン』の魅力を語る「素晴らしい会話劇を聞き逃さないで」


伊坂幸太郎の大ベストセラー小説「マリアビートル」を、ブラッド・ピット主演、『デッドプール2』のデヴィッド・リーチ監督がハリウッド映画化したアクション超大作『ブレット・トレイン』が、9月1日(木)より公開となります。

超高速列車に乗り合わせた10人の殺し屋たち それは仕組まれた罠だった… やがて繋がる10人の過去、そして因縁 物語の最後、終着点・京都で明らかになる衝撃の真実とは―― 時速350km、京都に向かって絶望が加速する120分―― ブラッド・ピット主演、待望のミステリー・アクション!

本作で、ブラッド・ピットが演じるのは“不運な殺し屋”レディバグ。簡単な仕事なはずだったのにどんどんトラブルに巻き込まれていく様子はハラハラドキドキ。これまでに無いブラピの演技と共に楽しむことが出来ます。今回は、ブラッドピットの日本語吹き替えを担当して25年!の声優・堀内賢雄さんに、作品の魅力やブラット・ピットへの想いをお聞きしました。

▲先日京都で行われた『ブレット・トレイン』プレミアイベントにて、登壇したブラッド・ピットさんと堀内賢雄さん

――『ブレット・トレイン』日本語吹き替えで拝見しまして、とても面白かったです! 堀内さんの率直なご感想はいかがですか?

出てくる出てくる殺し屋たちが個性的で面白いですよね。だんだん過去が紐解かれていくと、みんな結構しがらみがあって大変なんだな…と。キャラクターがどんどん浮き彫りになってくるストーリーが好きですね。原作の伊坂幸太郎先生の、限られた空間の中で描くストーリーが本当に素晴らしいですよね。これからご覧になる方には、会話劇が本当に素晴らしいので、そこを聞き逃して欲しくないなと思います。

そして、派手なアクションを描いている様で、テーマは「家族」であったり、物語性もしっかりあります。個性的で悪いキャラクターたちの背景や、その理由を知っていくと、すごく面白いんです。ハリウッドの迫力のある良い所と、伊坂先生によるストーリーの良い所が融合している映画だと思いました。

――本作でのブラッド・ピットはちょっと情けないというか、これまでに無いキャラクターだったと思います。

情緒不安定で、セラピーに通っているということが頭にひっかかっていて、「どう芝居すればいいんだろう?」と思いました。僕らの仕事って映画を観て、この世界観、キャラクターをどう構築していけばいいんだろうと考えながらやるのですが、レディ・バグのその性格が一番最初に気になりました。僕も20歳くらいの時に、自律神経失調症だったんですよ。なので、彼(レディバグ)の気持ちがとてもよく分かるんです。

――そうだったのですね…!

何でも嫌な方向に考えてしまってね。そして「死んだらどうしよう」という恐怖が強すぎて、考えるだけでドキドキ、ドキドキしてしまう。死への恐怖が強すぎて、車に乗ったり、映画館にも行けなくなってしまう。「今何かが起きたらどうしよう」と思ってしまうから。

――まさにレディバグと近しい状況ですね。

中学生くらいの時に失恋をして(笑)、それがきっかけで不安症になってしまったんです。衝撃的な出来事、トラウマ的な出来事が起きると、人間って引きずってしまうんですよね。僕もセラピーを受けた時に「良いこともあるから、そんな真剣に考えないで」って言われて。あと、その時「とにかく忙しくしていなさい」と言われて。「疲れなさい」と。そんな時にDJであったり、レポーターのお仕事がスタートしたんです。要は恥ずかしがり屋だったわけだけれど、そういう仕事が増えていって、人前に出る様になっていったら、いつの間にか治っていたんですよね。24歳くらいですかね。4年間で治りました。

――レディ・バグにも教えてあげたいエピソードをありがとうございます。演じる上でもそういった想いをこめられたのですか?

『ブレット・トレイン』を最初に観た時に自分の体験と重なって、「おどおど話したほうが良いのかな」とか考えすぎちゃって。色々なパターンで演じてみました。でも、(ブラッド・ピットの)顔と合わなかったり、ちょっとやりすぎだなという意見があったので。レディバグのキャラクターをつかむまでに結構時間がかかりましたね。

あくまでも演じているのはブラッド・ピット。スターなんですよね。カリスマなんです。帽子被って、黒縁のメガネかけて、おどおどしていて…というキャラクターですが、最終的にはブラッド・ピットである。そのバランスを考えながら、音響監督さんにOKをもらうことに苦労しましたね。ものづくりっていつもそうなのですが、制作に携わっている方(音響監督などのスタッフ)は何回も観ているし、聞いているし、僕の中の「こう役作りしよう」という考え以上に的確なアドバイスを言ってくださるんですよね。

――みんなでものづくりをしていく、素晴らしいです。

ブラッド・ピットさんは、本当に毎作品、毎作品、全然違うキャラクターを演じていて。何年も時間をかけて映画を作っているうちの、声を吹き込むのはほんの短い間ではありますが、一歩でも近づきたい、その息遣いに寄せたいという気持ちで演じています。

――本作でのブラッド・ピットのアクションも素晴らしかったです。

新幹線内でのアクションということで、小物の使い方から、狭い空間での動き方が秀逸でしたね!監督がアクション大好きなんだな、というのがすごく伝わりますよね。

――真田広之さんの出演も話題ですね。

僕の若い時の大スターですからね。今も輝きを増して、ずーっと活躍されている。真田さんって「ジャパンアクションクラブ」(現在、ジャパンアクションエンタープライズ)に所属されていましたが、今60歳をすぎてもなお、あの殺陣が出来るというのはファンにとってたまらないですよね。

――本当にカッコ良すぎる刀捌きでした。堀内さんからご覧になって、今回の豪華声優陣のお芝居はいかがですか?

よく「若い声優さんのお芝居どうですか?」と聞かれるのですが、僕が言うことというのは無いですね。プロデューサー、制作陣が、じっくり聞いてその方を選んでいるわけですから。本作でも「プリンス」を演じた山本舞香さんは吹き替え初挑戦だったそうですが、すごくハマっているじゃないですか。何十年も声優をやってきた方ではなくて、山本さんが演じることで、プリンスの何者か分からない“怖さ”が強調されている。あの“生感”が素晴らしいですよね。

――おっしゃるとおり、山本さん、とても素敵なお芝居でした。

フワちゃんの声のお芝居もすごく良かったし、昴ももちろん素敵だったし。真田広之さんの声を演じた井上(和彦)さんもすごかった! 一人、(関)智一は最後まで誰が演じているか分かりませんでしたね。「レモンの声優さん、すごく抑えた演技をしているな」と思ったら智一だった。智一に「全然分からなかった」って伝えたら、「あまり、ああいった役をやったことが無かったので」と言っていたので、また新しい魅力を感じることが出来ましたね。

――堀内さんのカッコいいお声のファンの方はたくさんいらっしゃいますが、普段から声のケアなど気をつけていることはありますか?

全然何もしていません(笑)。発声練習はするんですけどね。あまり気にせずともトラブルは無く、ありがたいことに喉はもともと強いんだと思います。40年間で声を潰したってことは、ほとんど無いですね。もちろん、本格的な喉の病気になってしまったら治療が必要ですが、甘やかしすぎない方が喉に良いのではないか、という考えもあります。
昔、一回だけ、アクション映画の吹き替えのテストの時に喉を守ろうと力を抜いたことがあって。その時に音響監督に「今、力抜いてましたよね?」ってバレたんです。その時に、若手時代に先輩に「テストでも手を抜くな!」と言われたことが蘇って、やっぱりダメなんだなと思いました。今はもちろんテストからでも全力でやることを心がけています。

――堀内さんほどのベテランの方でも、テストは全力ということがとてもカッコ良いです。ぜひ多くの方に、日本語吹き替え版でも映画を楽しんでいただきたいです。

ぜひご覧いただきたいですね。字幕で、ブラッド・ピットさんたち本人の声を楽しむことも素敵ですから、ぜひ字幕、吹き替えと何度でも観ていただきたいです。

――今日は素敵なお話をどうもありがとうございました!

『ブレット・トレイン』 (原題: BULLET TRAIN)

日本公開表記:9月1日(木)全国の映画館で公開
原作:伊坂幸太郎「マリアビートル」(角川文庫刊)

監督:デヴィッド・リーチ
脚本:ザック・オルケウィッツ
キャスト:ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、
ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路、真田広之、マイケル・シャノン、
バッド・バニー(ベニート・A・マルティネス・オカシオ)、サンドラ・ブロック

日本語吹替版声優:堀内賢雄(レディバグ)、山本舞香(プリンス)、津田健次郎(タンジェリン)、
関智一(レモン)、木村昴(ウルフ)、井上和彦(エルダー)、阪口周平(キムラ)、立川三貴(ホワイト・デス)

上映時間:2時間6分
レーティング:R15+

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