吉本興業と岡山県玉野市がタッグを組み誕生した映画『たまの映像詩集 渚のバイセコー』が11月12日(金)より全国公開となります。映画『祖谷物語 おくのひと』で、第26回東京国際映画祭「アジアの未来」部門スペシャル・メンションを受賞した新進気鋭の監督・蔦哲一朗がメガホンを取る本作は、岡山県にある「玉野競輪」全面協力のもと撮影された、3本のオムニバスストーリー。人々の想いがぶつかり合う競輪だからこそ描くことのできた人間臭さや、海・山・瀬戸内の多島美が演出する幻想的なロケ地など、玉野市の魅力が余すところなく凝縮されています。
第二話となる『渚のバイセコー』は尼神インターの渚さんが主演を務める、玉野の自然がたっぷりと描かれた童話のようなお話。自転車を乗り回す渚さんがとても爽快な映像となっています。
最近ではYouTubeでの動画も注目を集めている渚さん。映画について、お話を伺いました!
ーー映画楽しく拝見させていただきました。渚さんのお芝居がとても雰囲気があってすごく引き込まれてしまいました。
ありがとうございます。でも演技…、演技してるって言っていいのかなあってくらいなんですけどね。以前、ドラマに出させてもらったことがあって、セリフも全然覚えられないし、迷惑かかるからもうやらんとこうと思ってたんです。でも今回お話をいただいた時に、セリフが無いって聞いて。
ーーセリフが無いお芝居というのもすごく難しいと思いました。
演技が出来た上で、喋らんで表現出来る人はそりゃすごいですけど、私はほんまに何も言っていないだけで(笑)。今回声をかけてくれた、監督さんとか制作の方の中に、私のイメージがあったと思うんですけど、「そんなんこっちは知らんで、やりたいようにやる!」って、開き直る思いでやりました。自由にやろうと。だから本当、思い切り自転車漕いで、海上でタバコ吸ってるだけ。
ーーこの役柄はあて書きなんですよね?(その役を演じる俳優をあらかじめ決めておいてから脚本を書くこと)
あて書きかまではわからんのですけど、私をイメージして書いてくれていたみたいで。映画の主演って最初はドッキリか?とも思ったんですよ。『渚のバイセコー』ってタイトルにもなっているし。でもこのタイトルの渚は、監督が大島渚さんが好きで、大島渚さんが玉野市出身だからこれになったらしいです。私の渚やないんかいって(笑)。
ーー映画の中で漁師さんになってみていかがでしたか?
映画の中の渚は、漁は楽しくないけど流れ作業のようにやっていて、ある日自転車に出会って楽しみを見つけて、めちゃくちゃ笑顔になって。そこはなんかわかるな〜って感じだったんで。私は芸人ですけど、自分が楽しいことをやることが大事だと思っているから。わがまま言わせてもらってる時もありますけど。この映画もそうですけど、周りに恵まれて楽しいことをやれているのは本当ありがたいですよね。撮影で自転車乗ってるときも、普通に楽しんでました。私が自然がすごく好きなんで、玉野の自然が本当に良くて。気持ち良かったなあ。
ーー結構なスピードで自転車を漕いでいらっしゃいますよね。
自転車のシーンは監督さんが車で並走して撮影をしてたんですけど、車追い越したろって気持ちで、自分の中で楽しくなってきて思い切り漕ぎました。監督も一生懸命私についてきて(笑)。映画の中の笑ってるシーンは、心から楽しんでた表情なんです。
ーーすごく爽快感があって、観ているこちらも楽しくなります。
もう本当にこの第二話は自然が主役なんでね。制作の方とお話した時に、「自然がキレイに映るような特殊なカメラを使っている」って言ってはったんですよ。私も玉野が本当に気に入って、時間ある時にもぼーっと自然眺めたりしてました。テレビで見るより、でっかいスクリーンで見るほど臨場感があると思うし、本当に綺麗だから、ぜひ映画館で観てほしいです。
ーー今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!
『たまの映像詩集 渚のバイセコー』
2021年11月12日(金)全国公開
出演 三宅伸((一社)日本競輪選手会岡山支部所属) 渚(尼神インター) ゆりやんレトリィバァ 江西あきよし ネゴシックス ハロー植田 鈴井優 ジミー大西 鈴木もぐら(空気階段) 水川かたまり(空気階段) 園都 監督 蔦哲一朗 脚本 河村匡哉 蔦哲一朗
第一話 美しき競輪
街や競輪がクリーンなイメージを期待されている昨今。時代の狭間に取り残された中年競輪選手・大島(三宅伸)の物語。まだ引退する年齢ではないが、新しい流れに乗ることもできず、毎日をやきもきと過ごしていた。そんな大島に残されていたのは、結局は競輪場とライバルとなる仲間たちだった。
第二話 渚のバイセコー
三十路を過ぎた女性漁師の渚(渚・尼神インター)は、毎日海に出ていた。ある日、浜辺に打ち上げられていた自転車を見つける。渚はその自転車がすごく気に入り、海には出ずに、街中を乗り回して離れようとしない。しかし、そんな渚をよく思わない父(ジミー大西)が、渚の自転車を捨ててしまうのだった。ラストにファンタジーな展開が待ち受ける、童話のようなお話。
第三話 氷と油
造船所で働いている玉野市育ちの素直子(ゆりやんレトリィバァ)と浩(水川かたまり・空気階段)。ある日、浩が仕事を辞め、オシャレなカキ氷屋で働き始める。理由は東京から移住してきた美人のモモ(園都)だった。浩に片想いしていた素直子は、モモのことが気になって仕方がない。玉野市のことを卑下する素直子と、芸術あふれる瀬戸内の玄関口である玉野市を褒め称えるモモ。次第に素直子と浩の関係に亀裂が生じてくるが、彼らを繋ぎ止めてくれたのは、小さい頃から身近にあった町のシンボル・競輪だった。
https://bicycle.official-movie.com
(C)2021 たまの映像詩集「渚のバイセコー」