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渋谷教育学園幕張高校1年生の立崎乃衣さんがはじめた、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による医療機関のマスクなどの不足を受けて、フェイスシールドを3Dプリンターで製作して無料で寄付する活動『Face Shield Japan』。2020年8月からは、立崎さんが所属している中高生国際ロボコンチーム『SAKURA Tempesta』によるプロジェクトになり、2020年10月20日にはCADソフトウェア開発会社オートデスクから25000米ドル(約260万円)の寄付金を贈呈されました。
今回、当初より一貫して『Face Shield Japan』に関わっている立崎さんに活動の現状をお聞きしました。
※参考記事 「小5で3Dプリンターに触れ、中1の誕生日プレゼントで買ってもらいました」 フェイスシールドを寄付する『Face Shield Japan』はロボコン女子高生のひとりプロジェクト
https://getnews.jp/archives/2503889 [リンク]
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当初は、材料費や配送代などを『SAKURA Tempesta』の支援や個人からの寄付を受けて、立崎さんがフェイスシールドの製作から発送、受付などもひとりで行っていたという『Face Shield Japan』。2020年5月からは数人が受付など事務作業を手伝う体制に移行。さらに、実際にフェイスシールドを使った人へのアンケートにより、改良を行ったといいます。
「工程で一番時間がかかるのは3Dプリンターによるフレームの切り出しだったのですが、これが薄く小さくしても強度が保たれることがわかりました。材料も減って、重量が70gから46gになり、コストも700円から300円に削減できました」という立崎さんは、それまで3Dプリンターメーカー『Prusa』のモデルを使っていたところを、CADソフト『Autodesk Fusion 360』により自身で新たに設計。シールドの素材をプラ板から硬質カードケースに替えたのも立崎さんのアイディアで、「プラ板だとシールド1個分しか切り出せなかったのですが、硬質カードケースだと1枚100円で2枚作れるようになりました」といい、「シールドの長さや顔までの距離を変えることができるようになり、色も含めてカスタマイズが可能となりました」と話します。
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「学校の授業が再開した6~7月は、ほとんど活動ができない状態でした」という立崎さん。2020年8月より『SAKURA Tempesta』の活動となりましたが、拠点となっている千葉工業大学津田沼キャンパスが新型コロナの対策により入校に制限があり、「チームメンバーがなかなか会えない状態が続いています」といい、フェイスシールドの製作は「チームメンバーの家でそれぞれ分担しています」と、集まって作業出来ない中でも活動を継続していると話します。
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2020年6月時点で世界30以上の団体を支援しているというAutodesk Foundationからの寄付金を贈呈されたことにより、立崎さんは「金銭面で余裕が生まれて、より良い素材を使うこともできるようになります」とフェイスシールド自体の改良のほか、「新たに3Dプリンターを導入して2台体制にすることもチームで検討しています」といいます。
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『Face Shield Japan』の活動をしていく間に、フェイスシールドを作りたいという人や団体から「何件も問い合わせがありました」という立崎さん。中でもアメリカの8歳の子どもから連絡があった時には「3Dプリンター選びから、実際の製作をする説明動画を送って、寄付活動をはじめるサポートをすることができました」と話します。また「CADの使い方を習熟することで、ロボコン製作に活かすことができるというのでは、と思います」といいます。
さらに、「こういう活動を通じて、日本で工学分野に興味を持つ人が減っている現状を変えたい」ともいい、「現在は対面でのイベントは難しいですが、『Face Shield Japan』を通じて少しでもロボット分野に興味を持ってもらえるなら嬉しいです」といいます。
2020年10月28日の時点で1865個のフェイスシールドを製作・寄付した『Face Shield Japan』。今後の活動の広がりに期待したいところです。
Face Shield Japan
https://sites.google.com/view/face-shield-japan [リンク]
中高生ロボコンチーム SAKURA Tempesta
https://sakura-tempesta.org/ [リンク]
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