どうも特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。
突然ですが、これだけは言えます。
「借金の額が“一本化する必要がある”という危機状態にあるなら、“債務整理”を考えてください!」ということ。
あなたは業者の謳い文句に誘われて、多重債務者が思わず申し込んでしまう“借金一本化詐欺”が蔓延しているのを知っていますか?
今回はこの借金一本化詐欺の手口について、元金融詐欺師の盛岡保氏(仮名/46歳)に話を聞いてみました。この手の詐欺の儲けのカラクリとは?
<※写真はすべてイメージです>
多重債務者はワラをも掴む思いで苦しんでいる
丸野(以下、丸)「ターゲットはやはり多重債務者ですよね」
盛岡氏「そうですね。常に借金の返済に追われている多重債務者がターゲットになります。クレジットカードのリボ払いが便利だからという理由で買い物しすぎたり、キャッシングしたりして、最終的にもらっている給料だけでは返済ができなくなっている人間は、社会的な制裁を恐れ自己破産せずに何とかしようともがくものです。で、返済が遅れて、カード会社がカードの限度額を絞るわけです」
丸「ほほう。限度額を絞られたらキツいですよね」
盛岡氏「それで別のカードを複数つくってまたキャッシングして返済に回す。で、どれも回らず、返済がどんどんできなくなってくる。そんなときに、ウチがつくったWebサイトで解決法を調べていたら、《返済のことばかりで何も手につかないあなた! 低金利で、借金一本化しませんか?》という甘い文言が躍っている。返済が厳しいのは、やはり金利が高から……ということで、“低金利になって長期に渡っての返済ができる”“きっと毎月の返済が楽になるはずだ!”という確信に至るわけなんです」
異常なまでの低金利
丸「低金利って謳ってますけど、どの程度なんですかね」
盛岡氏「ハンパじゃなく安くします。消費者金融が29.2%の金利を取るのに対して、驚異の3.2%です」
丸「安すぎじゃないですか!」
盛岡氏「まぁ嘘なんでね、詐欺ですから(笑)。ターゲットは“こんな低金利なら借金苦から解放される!”と申し込みをしてきます。“金融ブラックなんですが大丈夫でしょうか?”なんて電話をしてきたりね。“全然問題ありません。ノープロブレムです!”と返答すると、安堵のため息が電話口から聞こえてきます」
丸「でしょうねぇ」
多重債務者にまずやらせることは?
盛岡氏「ぜひ申し込みたいという多重債務者には、まず信用をつけるために近くのブランド店へ行って、指定する最新モデルのバッグやロレックス、プレステ、ニンテンドースイッチなどのゲーム機、金券をクレジットカードで購入させて、“商品を弊社へ送ってください”と伝えます。そのクレジットの支払いが3ヵ月間滞ることなく行われると、弊社の与信はクリア。キャンペーン中の今なら借金300万円の金利を2.2%にしてご融資しますと言います」
丸「んな、バカな」
盛岡氏「そうそう、普通の人間なら“あれ、おかしいな……?”なんて思うんですけど、連中は尻に火がついている状態ですから、もう言いなり(笑)。判断能力がなくなっているので送ってくるんですよ、面白いようにどんどんと。まぁ3ヵ月支払い続ければ、低金利の融資が受けられるんですから喜びますよね。そこで、すぐに《ブランド品買い取り代金》として2万~3万円振り込むんですよ。なんだか訳がわからない金が振り込まれてきているのに、多重債務者はとりあえず手元の現金として使っちゃうと。それから、せっせと働いて3ヵ月間分割払いの支払いをしていくわけです」
驚愕する債務者の姿が目に浮かぶ
丸「それでどうなるんですか」
盛岡氏「でも、3ヵ月経過して何の連絡もないので、しびれを切らした多重債務者が電話をかけてきます。そこで“そのような融資のお約束などした覚えがありません。当時の担当者は現在退社しております”と返答します。ムダな買い物をクレジットでした上に、融資も下りないというわけです。相手は食い下がってきますが、知らぬ存ぜぬで電話を切ります」
丸「取引の不履行で警察に駆け込まれたりしないんですか?」
盛岡氏「ええ、大丈夫です。相手は実際に商品を売った買い取り代金を受け取っているわけですし、警察にも“そりゃ詐欺にはならんよ”と言われて、シッシッと追い払われるだけです」
丸「可哀想に……」
盛岡氏「今は債務整理もあるし、なんのプライドが邪魔しているのか、自己破産すればいいんですよ。最終的には……」
丸「生活に支障が出るわけでもないし、世間に知られるわけではないですもんね」
盛岡氏「そう。自分が贅沢したことが仇になって返ってきただけですよ、ホント」
――――
もちろん「業者のすべてがそう」というわけではありません。しかし盛岡氏は多重債務者が持つクレカで高換金率の商品を買わせて毟り取ることを目的にしていました。
やはり詐欺は怖い。これからも読者の皆さんが被害に遭わないように、様々な詐欺の手口をご紹介していきたいと思います。
(C)写真AC
(執筆者: 丸野裕行)
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