お気に入りの小説が映像化される時、期待と同じぐらい不安になることってありますよね。12/13(金)から公開の映画『屍人荘の殺人』は、そんな心配はご無用です!
神紅大学ミステリ愛好会(といっても部員はたった2人だけ)の会長、明智恭介(中村倫也)と部員の葉村譲(神木隆之介)は、今日もキャンパスで名探偵ぶりを発揮。ところがある日、明智を上回るかもしれない推理能力を持った女学生、剣崎比留子(浜辺美波)が現れ、大学OB主催のフェス研究会の合宿に一緒に来てほしいと2人に頼みます。けげんに思いつつも謎解きの誘惑には逆らえない明智と葉村が合宿場所の紫湛荘(しじんそう)を訪れたその夜、予想もしなかった惨劇が彼らを襲います!
原作は第27回鮎川哲也賞を受賞し、多くのミステリランキングで1位を獲得した今村昌弘『屍人荘の殺人』(東京創元社刊)。何も知らずに読んだら、ある個所で「えええええっ!? それ、アリですかっ!!!?」と驚くこと間違いなしの超絶面白本格ミステリです!
内容が内容だけに、原作を未読の人はなるべく情報を入れないで観るのが望ましいのですが、とにかくキャスティングがお見事! 中村・神木コンビの仲良しっぷり&ほのぼの感は原作のテイストそのもの。そして天下無敵の美少女オーラを放つ比留子さんの一挙手一投足に目が釘づけ! 原作には登場しないキャラがストーリーにどう影響してくるのかなど、結末を知っている人にも楽しめる要素が満載です。
監督は『トリック』や『金田一少年の事件簿』を手がけた木村ひさし、脚本は同じく『トリック』でおなじみの蒔田光治が担当。そう聞けば随所のコメディ演出に納得というもの。ちなみに原作の大ネタが苦手な方も大丈夫なように作られていますので、ご安心のほど。
本作にはまった人は、今年2月に出た続編の『魔眼の匣の殺人』(東京創元社)もぜひ! 現在までの本年度ミステリランキングでは「2020本格ミステリ・ベスト10」(探偵小説研究会)で2位、「ミステリが読みたい!」(早川書房)と「<週刊文春>2019年ミステリーベストテン」(文藝春秋)で3位と、2作続けての快挙! 内容はというと、しょっぱなから葉村くんが涙なくしては…(以下ナイショ)。なお版元の東京創元社は、劇中に出てくるサベアロックフェスのTシャツを作りイベントの時に売っていたというほどの力の入れよう(笑)。本が先でも映画が先でも全然大丈夫な『屍人荘の殺人』、ぜひ続編もあわせてお楽しみください。
【書いた人】♪akira
翻訳ミステリー・映画ライター。ウェブマガジン「柳下毅一郎の皆殺し映画通信」、翻訳ミステリー大賞シンジケートHP、「映画秘宝」等で執筆しています。
(C)2019「屍人荘の殺人」製作委員会
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