ジンズホールディングス(以下、JINS)は、世界初となる“近視進行抑制メガネ型医療機器”の開発を目指し、慶應義塾大学医学部発ベンチャーの坪田ラボとの共同プロジェクトを発表。
8月7日、都内で記者発表会を開催し、近視進行の抑制に効果があると考えられる光“バイオレットライト”に関する仮説や、本格的な事業参入を目指す医療機器の開発計画について紹介しました。
バイオレットライトとは
太陽光に含まれるバイオレットライトは、ブルーライトよりさらに短い波長360~400nmの領域の紫色の光。
慶應義塾大学の研究成果によると、バイオレットライトは近視の原因である眼軸長の延伸を抑える遺伝子に作用し、近視進行を抑制する効果があると報告されています。
坪田ラボの坪田一男氏は近視になる原因について、「たとえ親が近視でも、1日2時間、週に14時間、屋外で遊んでいる子どもは近視になる率が低くなるという研究データがある。近視は遺伝子ではなく、外遊びの時間が関係していると思われる」と説明。
都内公立小学校における近視有病率が76.5%、都内私立中学校に至っては95.3%という驚きの調査データを引き合いに、近視を患う日本の小・中学生の増加は、子どもたちの外遊び時間が減少したことに起因している可能性を指摘。バイオレットライトを自主的に供給することが近視進行を抑制する効果を秘めているとの仮説を発表しました。
メガネの役割を「補正」から「抑制」へ
バイオレットライトを浴びることができない屋内活動が中心になりつつある現代社会において、JINSと坪田ラボは「バイオレットライトを自ら照射するアイウェア」をコンセプトにメガネ型医療機器の開発に着手。
JINSの代表取締役CEO田中仁氏は、メガネによって視力を補正するだけでなく、「近視進行の抑制という新たなチャレンジにより、将来的には“メガネすら必要のない未来”を目指す」と宣言。
世界初となるバイオレットライトを使った近視進行抑制メガネ型医療機器は、近視が進行しやすい6歳~12歳の小学生を対象に開発される予定。
フレーム内側に搭載される照射ライトから、屋外環境に3時間滞在するのと同等量の照度のバイオレットライトを放射。自動電源OFF機能により、1日の照射時間をコントロールするとのこと。
同機器は製造販売承認の取得に向け、2020年以降に治験を開始。価格は現在のところ未定ですが、田中氏は「なるべくたくさんの子どもたちが使用できるようなリーズナブルな価格を目指す」としています。
―― 表現する人、つくる人応援メディア 『ガジェット通信(GetNews)』