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UBIがPS4版のマウス使用を公式否定 家庭用ゲーム機の“マウサー問題”を考える




人気FPS『レインボーシックス シージ』を運営するUBIが、PS4版におけるマウスの使用を否定する見解を示したことが反響を呼んでいる。




https://twitter.com/5_cch_man/status/856383818000850944[リンク]


また少し前には海外の掲示板で、『Overwatch』を開発したデザイナーが、「PS4版ではマウス・キーボードの全面禁止か、あるいは全面解禁のどちらかにするべきだ」とする主旨の書き込みをしていた。改めて家庭用ゲーム機における「パッド・マウス論争」を考えてみたい。


腕前では埋めがたいパッドとマウスの操作精度差


家庭用ゲーム機で使用できるマウス(及びマウス使用を可能にする変換器)の存在が知られるようになってきた数年前から、FPSを遊ぶ上で最も基本的な「照準を合わせる」(エイミング)操作をパッドのアナログスティックで行うプレイヤーと、マウスを使用する者(以下“マウサー”)との間の実力格差が問題になってきた。


基本的にほとんどのユーザーはゲーム機本体付属のパッドで遊んでいるのだが、中にはわざわざ別売のマウスを買ってきてオンライン対戦に参戦する者がいるわけだ。そしてFPSタイトルのランキング上位を“マウサー”が独占するという状況が生まれている。ネットでは、“マウサー”がエイム力に劣るパッド勢のことを上から目線で「パパパパパッドでFPS(笑)」と揶揄するスラングまで流布する始末だ。


確かに、画面上の1点を素早く正確に指し示すポインティングデバイスとしてはマウスのほうが優れているのは間違いない。アナログスティックでは真後ろへ振り向くのにも少し時間がかかるし、照準を合わせたと思っても勢い余って行き過ぎてしまったりするなど、慣れないうちはもどかしいことこの上ない。FPS開発者はアナログスティックでFPSを気持ちよく遊ばせるために、照準が敵に吸い付くようにさり気なく狙いを付けてくれるエイムアシストや、照準が多少ズレていても弾丸が吸い寄せられてヒットするバレットマグネティズムと呼ばれるアシスト機能を工夫してきたが、それでもなお、パッド操作に習熟したとしてもマウス照準の速さと正確さには及ばないだろう。両者は同じ土俵で戦えるものではない。


それでも好んでパッドを選択する理由がある!


しかし、照準精度こそマウスに劣るパッドだが、それに慣れ親しみ好んで使用するゲーマーは多い。通常はパッド左側のアナログスティックに割り当てられている移動操作はキーボードのWASD操作に比べ手指への負担が少なく微妙な操作が可能だ。アナログトリガーと振動機能で弾丸を発射する感覚やヒットした時の衝撃を小気味良く再現しているのはパッドならではの楽しさだろう。たまにエアガンを使ったサバイバルゲームをたしなむ筆者からしても、マウスによるFPSの照準は「視線だけを動かして的を見る感覚」なのに対して、アナログスティックは「銃を持った腕を動かして的を狙う感覚」が味わえるように思う。また最近は、初弾必中・反射神経勝負のエイム至上バランスではなく、プレイヤーの体力を多めに設定し、陣地を構築して回復したりしながら戦う『Overwatch』のような、照準の正確さよりも立ち回り重視のFPSが増えてきているのもパッド勢にとってはうれしい。


アナログパッド操作によるFPSの先駆けとなったのはNINTENDO64の『ゴールデンアイ 007』だっただろうか。初期の家庭用ゲーム機版FPSはマウス操作を無理矢理アナログスティックに置き換えたような、今にしてみれば酷い操作性のものが多かったが、前述したようなアシスト機能の発展もあり多くのカジュアルゲーマーを取り込むことに成功した。『HALO』『Call of Duty』シリーズや『Overwatch』などはカジュアルさと競技性の高さを両立した名作と言えるだろう。映像の美しさで勝るPC版を大きく突き放す家庭用ゲーム機版FPSの売上は「10万円以上するゲーミングPCを買うほどの意気込みはないがFPSを遊びたい」というカジュアルゲーマーの多さを物語っている。FPSといえばマウス+キーボード操作を前提に続いてきたジャンルと思われるかもしれないが、“パッドでFPS”もまた既に20年以上の歴史を持つ文化なのだ。


厳格な住み分けでお互い幸せに


そのように“パッドでFPS”が根付いたところに、同じ土俵に上がるべきではないマウサーが混入することは、築き上げてきた文化の破壊に等しい。際限ないハードのスペック競争に付き合うつもりのないカジュアルゲーマーだからこそハードウェアチートに等しいマウサーには敏感だ。ある程度同一のレギュレーションで対戦したいと考えるのが普通の心情だろう。筆者自身、開発社の浅薄な都合でパッドとマウスが対戦するクロスプラットフォームを進めたために寿命を縮めたタイトルをいくつも見てきた。マウスで遊びたいのであれば、“マウスでFPS”文化の定着しているPC版で遊ぶべきなのだ。両者の住み分けこそFPSの発展に欠かせない。




Xbox360とPCのクロスプラットフォーム対戦をウリに発売された『Shadowrun』は、60fps以上のヌルヌル描画とマウス操作で無双するPCプレイヤーに嫌気が差したXbox360版プレイヤーの離脱を招き過疎化にとどめを刺した。発売から11年経った今遊んでも『Overwatch』より遥かに面白いと思える傑作なだけに非常に惜しい。他には『フロントミッションオンライン』や『ロストプラネット コロニーズ』でも、スペック違いのPC版マウサー参入とともに不公平感を抱いたパッド勢が一斉に姿を消した。FPS・TPSとRTSではパッドとマウスの対戦は無理だってば。


画像引用:『Twitter』より


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(執筆者: ろくす) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか


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