生のたけのこをまるまる1本手に入れたら?アク抜きと保存のコツを知って、春の味覚をおいしく味わいましょう!
竹かんむりに旬と書く「筍(たけのこ)」は、4~5月の旬の時期に食べるのが、最もおいしいといわれる春の風物詩。でも、生のたけのこを手に入れたとき、どうやって調理したらいいか困った経験はありませんか?そこで、料理研究家の高城順子先生に、アク抜き方法と保存のポイントを<基本編>と<時短編>で教えていただきました。
手に入れたたけのこはすぐに茹でる
たけのこは収穫直後からアクが増していきます。そのため、手に入れたらすぐに丸ごと茹でましょう。茹でるには、高さ(幅)のある鍋が必要です。たけのこの穂先を切り落とし、残りの身がすっぽり入るサイズのものを用意します。
たけのこのアク抜き方法<基本編>
用意するもの(※量はたけのこの大きさや湯量により異なるので、あくまでも目安です)
米ぬか:一握り
赤唐辛子:1本
鍋
たけのこがかぶる量の水
たけのこの切り方
根元の固い部分(ついていない場合もある)と、穂先5~6cmを切り落とし、縦に2~3cm深さの切れ目を入れる。根元部分が残っている場合は、生長にしたがってイボが大きく紫色になり、繊維も密になるので、茹でる前に削るようにむいて落とす。
縦に切れ目を入れるのはなぜ?
切れ目を入れると、火が早く通りやすくなります。また、茹でた後に皮をむきやすくなります。
たけのこの茹で方
鍋にたけのこを入れ、たけのこがかぶるくらいの水を入れる。ぬか、赤唐辛子を加え、強火にかける。
赤唐辛子を入れるのはなぜ?
赤唐辛子には、えぐみを和らげる働きがあるといわれていますが、入れる場合と入れない場合で効果に違いがあるかどうかは明らかになっていません。
沸騰したら落としぶたをして、吹きこぼれないよう注意しながら、弱火で40分~1時間茹でる(※茹で時間はたけのこの大きさによって変わります)。
たけのこが浮かないように注意!
煮立てているときは、たけのこが浮いたり飛び出したりしやすいので、必ず落としぶたをして、吹きこぼれに注意しましょう。茹で汁から浮き出て空気に触れていると、酸化して色が悪くなってしまいます。
根元の太い部分に竹串を刺してみて、スッと通るようになったらOK。火を止め、「湯止め(鍋のまま冷めるまで置く)」をする。
流水で冷ますのはNG!
湯止めの目的は、たけのこからアクを出しきること。流水で冷やしてしまうと、アクがしっかり抜けません。
たけのこの皮のむき方
たけのこが完全に冷めたら、水洗いしてぬかをきれいに取り除き、縦に入れた切れ目から指先を入れて皮をむく。穂先の皮「姫皮(写真2枚目右の内側部分)」はやわらかくておいしいので、残しておく。
たけのこを調理するときの切り方と保存方法
穂先から真ん中の部分は縦に切り(下の写真で切っている最中のもの)、根元は横に切る(写真手前)。
保存するときは、フタつきの深めの保存容器に水を入れ、たけのこが完全にひたるようにした状態で、フタをして冷蔵庫で保存する。時々水を替えながら、しっかり水に浸けておけば、1週間程度は保存可能。
memo
多くて食べきれない場合は、あらかじめ保存食にするのもおすすめ。
刻んで薄味で下煮しておくと、日持ちするだけでなく、さまざまな料理にアレンジできて便利です。
たけのこのアク抜き方法<時短編>
大きな鍋がないときや、時間がないときは、2~3等分など適度な大きさにカットしてから茹でると時間を短縮できます。この場合、米ぬかは身の隙間に入って取り除きづらいので、ここでは重曹を使ったテクニックをご紹介します。
用意するもの
重曹:水1リットルに対し小さじ1が目安
鍋
たけのこがかぶる量の水
たけのこを適度な大きさにカットし、重曹を入れたたっぷりの湯で、弱火で30~40分茹でる(※茹で時間はたけのこの大きさによって変わります)。
重曹の入れすぎに注意
入れすぎると重曹のにおいが多少残ってしまうので、使う量に注意しましょう。たけのこの茹で上がりも、やわらかくなってしまいます。
米のとぎ汁や少量のお米を使ってもOK
重曹以外にも、米のとぎ汁で茹でる、または湯にお米ひと握りを入れて茹でる方法もあります。
収穫後のたけのこは鮮度が命。手に入れたらすぐに茹でるのが、おいしく味わう大原則です。上手にアク抜きして、独特の歯ごたえや香りを堪能しましょう。
高城順子
料理研究家・栄養士
女子栄養短期大学食物栄養科卒。和・洋・中華料理の専門家に師事した後、料理教室の講師を経て、フリーの料理研究家に。研究途上、栄養学の見地から野菜や果物のより有効な活用を思い立ち、エスニック料理の真髄を学ぶために東南アジア諸国を訪問。そこで習得した「美味しい健康食」の料理法をまとめ、発表した『くだものと野菜のヘルシークッキング』は、各方面から評価を得る。
入手しやすい材料からちょっとした工夫で作る料理や、化学調味料を使わない素材を生かした家庭料理が人気。テレビをはじめ、多数の雑誌で料理を発表し続けるとともに、新しい時代の食文化啓蒙活動にも力を入れている。
最終更新:2017.06.07
文:KWC
写真:菅井淳子
監修:高城順子、カゴメ