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マーケター必読本『#HOOKED』人の注目を集めるための5つの仕掛け


人の注目を集めるためのフックをご紹介


 テレビや新聞をはじめとして、インターネットでは日々膨大な量の情報が生まれています。現代人は平均して毎日88本のメールを受診し、毎日40ふんフェイスブックを閲覧し、毎日3500件もの広告に接しているといいます。


 こうした状況で自社の広告メッセージを届けるには、いかに他の情報に埋もれることなく、人々の注目を集めることができるかが重要になってきます。


 本記事で紹介する本『#HOOKED』は、消費者心理学者のパトリック・ファーガンが、人間の脳と行動の仕組みを科学的に解明し、「つい、買ってしまった。」の裏に潜むマーケティングの技術を、10のHOOK(仕掛け)に分類し、まとめたものです。


 マーケティングに関わる人だけでなく、SNSのフォロワーを増やすといった個人的な注目を集める上でも活用できるヒントが多く詰まっています。


 本記事では、10のHOOKEのうち、前半の5つについてその内容を紹介していきましょう。




♯HOOKED 消費者心理学者が解き明かす「つい、買ってしまった。」の裏にあるマーケティングの技術 (T's BUSINESS DESIGN)

♯HOOKED 消費者心理学者が解き明かす「つい、買ってしまった。」の裏にあるマーケティングの技術 (T’s BUSINESS DESIGN)


#HOOK1 プリミティブにする


 プリミティブとは「原始的」という意味です。人は「性」「食べ物」「顔」といった原始的な要素に注意・関心を強くつかまれてしまいます。


 人間が「性」に注意・関心を払わなかったら、ヒトという種は生存・繁殖できなかったし、「食べ物」に関心を払わなかったら、とっくの昔に死に絶えています。また「顔」の認識ができないと、獰猛な肉食獣が近くにいても気づけずに食べられてしまうでしょう。


 このように、人間の生存に関わるようなプリミティブな要素には、注意が払われるように遺伝子に刷り込まれているのです。


 近年、話題になった『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』という本でも、同様のことが語られています。


 本書では、人間の思考モードを2つのシステムに分け、それぞれ「システム1」「システム2」と呼んでいます。簡潔にいうと、システム1とは「本能」や「直感」、システム2は「理性」や「論理」を指し、大量の情報に埋もれることなくメッセージを届けたいときには、短い時間で情報を処理しようとするシステム1に訴えかけるのが効果的だということです。


 そして「システム1」を惹きつける上で、「性」「食べ物」「顔」の3つを使うことが有効なのです。


 例えば、シリアルのパッケージに描かれたキャラクターの目線が、下を向くようにデザインされていることにお気づきでしょうか。これは人間が視線を感じるものに惹きつけられることを利用して、メインのターゲットである子どもたちと目線が合うように計算されているのです。


#HOOK2 感情をわしづかみにする


 本書の表紙には、かわいい子猫の写真が使われています。これは赤ちゃんやかわいい動物を見たときに「ちゃんと注意してあげなきゃ」という心理が働く、「ベビースキーマ」と呼ばれる法則を利用したものです。


 かわいい猫の動画や画像が日々、多くの人々によって検索されていることからも、「ベビースキーマ」の訴求力がいかに強いかわかるでしょう。


 また、ポジティブなメッセージは長く記憶に残る一方で、ネガティブなメッセージは、ポジティブなものよりもインパクトが強いことがわかっています。


 脳の扁桃体という感情を司る部分では、恐怖や嫌悪に関する画像を見たときの反応が最も強いそうです。


 このように、感情を揺さぶるようなかわいいものや危険なものに、人は強く惹きつけられるのです。


#HOOK3 私のこと? と思わせる


 人は自分に関係のあることに注意・関心を引かれます。


 たとえばホリー(Holly)という名前の人は、ホンダ(Honda)を好む傾向があったり、ハリケーンの名称(カトリーナなど)と自分の名前のイニシャルが同じだったとき、復興支援の寄付をしやすくなるといった研究があり、「ネームレター効果」と呼ばれています。


 また、なじみの深いものに注意を向けやすくなることを「単純接触効果」といい、自分の名前や誕生日、テレビでよく見る有名人といった何度も見聞きしている情報は目に入りやすくなります。


 例えば新しいTシャツやバッグを買った後、同じものを持っている人が急に目に入ってくる経験をしたことがある人は多いでしょう。







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#HOOK4 サプライズを駆使する


 この章では、マイケル・ベイ監督の全作品の興行収入と、映画内での爆発回数がほぼ連動しているグラフが紹介されています。これは偶然ではなく、人が爆発のような急な変化に対して無意識に注意を向けてしまう、「コントラスト効果」という心理効果が利用されているのです。


 テレビコマーシャルでもカット割りを増やし、目まぐるしく場面展開させるほど関心が高まるといいます。


 音についても、強調したいメッセージ部分では、あえてBGMを消して無音にすることでより伝わりやすくなります。


 かのスティーブ・ジョブズはこのテクニックをよく利用し、小ささを強調するためにポケットからiPod Nanoを取り出したり、封筒からMacBook Airを取り出したりといったサプライズで観衆を惹きつけていました。


#HOOK5 ミステリー要素を加える


 2014年に、マレーシア航空で悲劇的な飛行事故が2件続けて起こりました。わずか131日という感覚で、同じ航空会社で、同じように乗客200人以上が全員亡くなったのです。


 一方の事故は、原因がはっきりとわかるものでしたが、もう一方の事故は、飛行中に乗客乗員から機体まで忽然と姿を消したという謎に包まれた事件でした。(のちに残骸が発見されました)


 グーグルの検索トレンドでは、圧倒的に後者の検索回数が多く注目を集めたそうです。いかに人々が不可解な現象に対して強い関心を抱くかということがわかります。


 一時期、「続きはWebで」という手法が流行りましたが、これもあえて謎や空白を残すことで、人々の好奇心がくすぐられることを活用しているのです。


 特に興味深かったのは、マクドナルドのコマーシャルで使われるジングルのエピソードです。以前のマクドナルドのCMのジングルは「タラッタッタッタ〜♪ i’m lovin’it」でしたが、今は、前半部分の「タラッタッタッタ〜♪」だけが使われています。


 すでにこのジングルを知っている人は、「i’m lovin’it」の部分を無意識に補完して呟いてしまうことで、「私はマクドナルドが大好きだ」と自分自身に言い聞かせてしまうのです。


まとめ


 この記事では、本書の前半部分で登場するエピソードをいくつか紹介しました。前半部分のHOOKだけでも、私たちの身の回りには注目を集めるためのテクニックを駆使した商品やサービス、広告がいかに多くあふれてかがわかると思います。


 この本を読むことで、ネットや街で見かける広告にどんな工夫が凝らされているのか、見抜けるようになるかもしれません。これまでと広告の見方が変わって面白いですね。


 紹介できたのは前半の5つです。ぜひ残り5つのHOOKは本書を手にとって確かめてみてください。


執筆者プロフィール





ロマ本


東京都在住の20代男性。IT関連からサブカルチャーや起業、哲学、ラノベまで興味の赴くままに幅広く読んでいます。


ここ数年、本をたくさん読むようになり、それが高じて書評ブログを始めました。基本的には新しく刊行された話題の本を書評としてまとめるようにしています。


同時に始めたTwitterでブログの更新情報や読書で得た気づきをつぶやいているので、こちらもチェックしてみて下さい。






♯HOOKED 消費者心理学者が解き明かす「つい、買ってしまった。」の裏にあるマーケティングの技術 (T's BUSINESS DESIGN)

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