これからの時代に必要な「多動力」とは?
堀江貴文さんの新刊『多動力』が話題です。発売から間もない現時点ですでに3刷りが決まり、8万部到達という異例の売れ行きを見せる本書は、「ホリエモンのように働くためには具体的に何をすればいいのか?」を知ることができる、ビジネスパーソン必読の一冊です。
「多動力」とは、文字通り「いくつもの異なることを同時にこなす力」のこと。まさに堀江さんの超人的な働き方を言語化したような能力です。
その超人っぷりは、本書の冒頭に書かれている、とある一週間の堀江さんのスケジュールを見ていただければわかります。とにかくハンパじゃないほど多くの仕事や遊びのスケジュールを、世界中を飛び回りながらこなしていて、堀江さん自身、肩書きも関わっているプロジェクトの数ももはや把握すらできていないと言います。
こうした状況を見ると、誰もが「自分では絶対にこんな働き方はできない」と感じるでしょう。しかし同時に、「どうすれば、こんな働き方ができるんだ?」と興味を惹きつけられるはずです。
本書は、そんな興味に真っ正面から答えてくれる一冊で、堀江さんの「多動力」が具体的にどのように発揮されているのか、どうすればこれだけ多くのプロジェクトを同時並行で進めることができるのかを知ることができる稀有な一冊です。
何よりありがたいのは、各項目の最後にあるアクションリスト。これを見るだけで、堀江さんのように行動する(多動力を発揮する)ためには、具体的に何をすればいいのかを知ることができます。
ここでは、個人的に実践しようと思った3つの項目についてピックアップして紹介します。
目次
1.「自分にしかできない仕事」以外は
思い切って人に任せよう
毎月1冊以上のペースで本を出している堀江さんを見ると、誰もが「どうすればそんなにハイペースで本が出せるのか」と感じることでしょう。
そのタネは、ほとんどの本は編集者とライターが堀江さんにインタビューをしてまとめているものだからです。だいたい10時間ほど話せば1冊になるといいます。
こういう話をすると、「自分名義で出版しておきながらゴーストライターを使っているなんて読者を騙している」などと非難する人がいますが、こうした発想こそ、もっとも解くべき洗脳であると堀江さんは言います。(そもそも、堀江さんはライターが書いていることを公表しているので「ゴースト」でさえないのですが…)
「全部自分でやらなければいけない」という思い込みをしていている内は、いくつもの仕事を同時にこなすことなどできません。自分の貴重な時間は「自分の強みが一番発揮できる仕事」に集中させるべきであり、そのためには「自分でやらないこと」を決めることが大切なのです。
(あぁ耳が痛い…美女読書は、すべて自分一人でやろうとしているから、こんなにも生産性が低いのです)
実際、堀江さんの考えをライターが取材して本にまとめることと、堀江さん自身がPCを叩いて打ち込むのとで、クオリティが大きく変わることはないでしょう。重要なのは、そこに堀江さんの頭の中身(価値のある情報)があるかどうかだからです。
また過去に(自身で書いた本も含め)何十冊も本を出していて、日々SNSやメルマガなどでも情報発信している以上、新しく出版される本であっても、大半は過去に発信した情報の再編集・焼き直しとなります。
ぶっちゃけて言ってしまえば、この本も、切り口やまとめ方を変えているだけで、言っていることは他の本とほとんど変わりません。
それでもニーズがあるから本を出すし、実際に面白いから売れるわけですが、過去にすでにアウトプットされていることを、書籍化のためにわざわざゼロから自分が打ち込んで書き直すことほど非効率なことはないでしょう。
このことは「全部自分でやらなければいけない」という思い込みが、いかに生産性の低い仕事を生む原因となるかを教えてくれます。
堀江さんにとって、本を「書く」という作業は「自分でやる必要のない仕事」だから思い切って人に任せているのであり、だからこそ「自分にしかできない仕事」を大量にこなすことができるのです。
以下、具体的なアクションリストです。
- □あなたが抱えているタスクをすべて書き出そう。
- □そのうち、アルバイトや同僚、上司でもできる仕事は赤ペンで潰していこう。
- □残ったのが「あなたがやるべき仕事」だ。
- □赤ペンで潰したタスクをやらない方法を考えよう(具体的に)。
- □万が一、すべての仕事が赤ペンで潰されていたら、大問題だ。自分にしかできない仕事はないか、落ち着いて考えよう。
2.隙間時間に仕事を進めるための
「仕組み」を考えよう
堀江さんが運営しているメルマガは、刑務所にいる間でさえ一度も休刊されなかったようです。
それが可能なのは、たとえば「毎日の隙間時間に少しずつ進めておくことで「必死で原稿を書いている」という状態にならないようにする」とか、「スマホのカレンダーに自分だけがわかるメモを何行かつけておき、そのメモをもとに日記を書くようにする」など、継続するために、ストレスのかからない工夫をしているからだと言います。
私は無意識に「堀江さんのような超人的な集中力や頭の回転スピードがある人は、とくに苦労することなく大量のアウトプットを継続できるんだろう」と思っていましたが、実はストレスのかからないように「小さな工夫」をしていたのです。これには純粋にビックリしました。
こうした超人的な人の裏側というか、リアルな部分を知ると、「自分にもできるかもしれない」と前向きなモチベーションが湧いてきます。
ちなみに堀江さんの活動を見ていると、すべての言動が複数のプラットフォームで効率よくコンテンツ化できるように「仕組み化」されていることがよくわかります。
たとえばYoutubeの「ホリエモンチャンネル」で語られた内容を、記事にまとめてホリエモンドットコムで公開するだけでなく、「FRESH!」という生放送サービスが始まったらすかさずチャンネルを開設して、ホリエモンチャンネルの撮影を有料会員向けにノーカットで生放送することで、ほとんど労力を変えずに新たなコンテンツと収益源を増やすことに成功しています。
またNewsPicksでコメントをするとTwitterに自動投稿されるだけでなく、「ホリエモンドットコム」でも自動的に記事化されるなど、とにかく一つの言動が、ウェブ、リアル、テキスト、動画など、あらゆるチャネルで(できるだけ自分の手を使わずに)コンテンツ化される仕組みが作られているのです。
こうした工夫があるからこそ、複数のプラットフォームでの更新を途切らせることなく継続できるのでしょう。それにはやはり「自分ではやらないことを決める」という考え方が、根本的に重要であることがわかります。
まぁこれは、わかっていても実践するのはかなり難しいと身をもって感じているのですが…。以下のアクションリストはとくに、しっかり意識して実践していきたいと思いました。
- □隙間時間に効率よく仕事をする癖をつけよう。
- □仕事を溜めないように、前倒しで進めてみよう。
- □ストレスのかからない仕事の進め方を考えることも仕事の一部だ。
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3つの肩書きをもって
「希少価値」を1万倍にしよう
もう一つ、是非とも多くの人に知ってほしいのがこちらの項目。「100分の1」の肩書きを3つ掛け合わせれば、「100万分の1」の希少価値を持った人材になれる、というものです。
これは元リクルートの藤原和博さんが発信している考え方で、以前紹介した著書『藤原先生、これからの働き方について教えてください。』でも紹介されています。
ポイントは、1つの肩書きで「100万分の1」の人材になるのは一握りの天才でないと困難ですが、「100分の1」の人材であれば、誰もが一定の努力をすれば必ず到達できるという点です。
つまり3つの肩書きを掛け合わせる方法であれば、誰もが「100万分の1」の希少価値をもった人材になれるということです。
興味深いのは、堀江さんが持つ肩書きの多さ。
実業家コンサルタント×プログラマー×作家×コメンテーター×クイズタレント×エンターテインメント・プロデューサー×ロケット開発者×飲食店プロデューサー×マンガ事業×オンラインサロン主催者×アプリプロデューサー×予防医療普及協会×Jリーグアドバイザー×大阪万博特別顧問×映画プロデューサー×服役経験者×…など、数えきれないほどある。
一人でこれだけの肩書き(プロジェクト)を抱えている人はまずいないでしょう。それだけ希少価値が高いということであり、だからこそ各種メディアや企業から引っ張りだこになるわけですね。
これこそ希少価値を高める最もシンプルな方法であり、「多動力」を発揮するための真髄だと思います。
「この肩書きで一生食っていく」などと言っている人は、自分で自分のキャパシティを狭めてしまっているだけだと堀江さんは言います。
実際、テクノロジーが進化し、人間の仕事の多くがAIやロボットに代替されるといわれるこれからの世の中において、生涯一つの肩書きだけで働き続けるということは非現実的だし、なにより飽きるでしょう。
例えば現在営業職に就いている人は、生涯営業としての腕を磨き続けて「100万分の1」の存在を目指すよりも、他の分野で「100分の1」になることを目指して、それらを掛け合わせた方が、希少価値の高い人材になれる可能性(つまり成功する可能性)は高くなります。
これからの仕事人生において、自分はどんなキャリアの掛け合わせによって「100万分の1」の人材になるのか、ぜひ考えてみてください。それを実現する上での原動力となる「多動力」は、本書の内容を実践することで身につけられるはずです。
- □あなたの肩書きを紙に書き出してみよう。
- □三つ以上ない人は、反省しよう。
- □反省(2秒でいい)が終わったら、欲しい肩書きを理想でいいから書いてみよう。
- □では、その肩書きを手に入れるにはどうしたらいいか。1万時間を捻出するための計画を立ててみよう(具体的に)