今の仕事に疑問を感じたらチャンス!
20代も半ばになると、「この仕事や会社は自分に合っているのか」「この仕事を続けていて成功できるのか」といった疑問を抱える人が増えてくると思います。
私自身、新卒で入った広告会社を辞めることを考え始めたのは3年目に入ってからで、実際に辞めたのはその年の冬でした。
とくに会社や仕事に不満があったわけではなく、むしろ日々やりがいを感じられていましたが、「この仕事を続けていて成功できるのか」という点に疑問を抱いてしまったんですね。
その結果、自分の力で仕事を作って食べていけるようになりたいという思いから、独立を決めて今に至ります。
私のように、今の仕事がつまらないとは感じていなくても、「何か物足りない」「本気で打ち込める仕事をやりたい」と感じている人は多いでしょう。
そんな方におすすめしたいのが、『10年後、後悔しないための自分の道の選び方』という本です。
本書は、仕事に疑問を感じることは自分の理想とする仕事や働き方に近づく「チャンス」だとして、10年後に後悔しない道を選ぶためのきっかけを与えてくれる一冊です。
「今の仕事は自分に向いていない」「自分が望んでいる働き方ではない」と感じているのなら、将来後悔しないためにも、自分の理想とする仕事を手にするべく今すぐ行動に移しましょう。
最初の仕事を2〜3年続ける必要はない
会社を辞めたいと思って誰かに相談すると、「最初の仕事は3年は続けなさい」と言われることって多いですよね。
私が会社を辞めたのは2012年の年末ですが、その頃から「3年は続けるべき」という考えは世の中の共通認識としてありました。
就職してからごくわずかな期間で辞めてしまうと、採用担当者たちは仕事への意欲やスキル、対人能力に疑問を持つと言われているからです。
実際、どんな仕事も最初の1〜2年だけで本当の面白さを理解することはできないので、実務経験を積むためにも最低3年は続けた方がよいというのは一理あると思います。
しかし早く昇進したいと望み、遅々とした昇進プロセスに阻まれたくないと考える若者たちにとって、この常識は変わりつつあると言います。
自分の能力を最大限に伸ばせる環境ではないと感じた場合は、貴重な時間を無駄に消費しないためにも、別の道を選ぶという決断を早い段階でする人が増えているのです。
「損切り」という判断ができるか?
現在、大幅割引キャンペーンで話題の『インベスターZ』の2巻では、主人公の財前孝史くんに、投資部の先輩たちがわざとつまらない映画を観させて、どれくらいの時間で出てくるかを試すシーンがあります。
(『インベスターZ』2巻(P.61〜54)参照)
これは仕事でもまったく同じことがいえます。「あれだけがんばって就活して、せっかく入った会社だから」という理由で、面白いと感じない仕事を毎日残業してまで続けている人は、時間という資源をいかに有効に使うべきかを考えられていません。これは損切りができていないということです。
これまでは終身雇用が前提で、一度就職したら入った会社で「育ててもらう」という意識が強かったからこそ、「とりあえず3年」という考えにもある程度納得できる部分はありました。
しかし現在は、自分の働き方やキャリアプランは自分でデザインしていける時代です。むしろ、会社が守ってくれる時代ではない以上、自分の理想とする働き方を思い描き、それを実現するためのキャリアプランを自分で「デザインしていかなければならない」時代です。
だからこそ、自分が「この仕事や会社は向かない」と思えば、3年経っているかどうかなど関係なく、自分の信じた道を歩むべきではないでしょうか。
最悪の決断は「何も決めないこと」
一番避けるべきなのは、「何も決めない」という決断をすることです。
辞めたいと思ってはいるけど心の準備ができていない、結論を急ぎたくないと考える人は多いと思いますが、決断を先延ばしにするだけでは何の解決にもなりません。むしろそれによって生じる心理的ストレスや、チャンスを逃してしまうリスクの方が問題です。
たとえば「今の会社を辞める」「転職する」という心の準備ができていない人は、知人やヘッドハンターからのオファーが舞い込んできたときにも、適切な判断ができずにチャンスを逃してしまう可能性が高いでしょう。
「一つの会社で働き続ける必要はない」「チャンスがあればいつでも転職してもいい」という認識を持ち、「こういう仕事がやりたい」「こういう会社に転職したい」という自分の望みをしっかり掘り下げられていれば、何か急な話が舞い込んできたときでも、自分の信念に沿った決断ができるはずです。
たとえば「リクナビNEXT」には、職務経歴や転職希望条件を匿名で登録しておくだけで、自分に興味を持ってくれた会社から直接オファーが届く「スカウトサービス」があります。
このような転職サイトにとりあえず登録だけしてみて、どんな求人があるのかをチェックしておくとか、「スカウトサービス」を利用して、自分はどんな会社からニーズがあるのかを知っておけば、新しい選択肢に直面したときでも明快な判断ができるでしょう。
すでに転職希望の業界が決まっているようであれば、「リクルートエージェント」などの転職エージェントを利用して、自分の市場価値(転職後の年収)がどれくらいあるのか、プロに相談してみてもよいと思います。
今の会社の中だけではなく、外にも目を向けて客観的に自分の市場価値を分析することで、今後のキャリアの選択肢について現実的に考えることができます。
本書では「優柔不断を治すベストな方法」として、選択肢を検討したら、深く息を吸って、思い切って決めることをすすめています。
決断する準備ができていないと感じるなら、「◯曜日の◯時までに決断する」とタイムリミットを明確に設定し、いったん決断したら後ろを振り返らずに決めたことを貫きます。
決められない悩みから解放され、今、目の前で新しい扉が開こうとしていることを喜びましょう。
自分の望みを掘り下げよう
心の準備というのは、「自分にとって理想の仕事や働き方とは何か?」について、収入、同僚、やりがいなどの点から具体的に掘り下げて考えておくということです。
たとえば、次のように、自分が仕事に求めることについて自由に書き出してみましょう。
- ・「お金をたくさん稼ぎたい」
- ・「好きなことを仕事にしたい」
- ・「若い人たちと働きたい」
- ・「スーツが着たい」
- ・「フレキシブルな時間で仕事がしたい」
- ・「旅(出張)ができる仕事がしたい」
- ・「語学力を活かしたい」
- ・「友人と過ごす時間を確保したい」
とくに「やりたいこと」が浮かばない場合は、「やりたくないこと」から考えてみるのも有効です。
- ・「一日中オフィスにいたくない」
- ・「スーツを着て仕事したくない」
- ・「若い人たちと働きたい」
- ・「単調な事務作業は嫌」
- ・「毎日深夜まで残業は避けたい」
- ・「満員の通勤電車には乗りたくない」
自分の望むこと、望まないことをしっかりと掘り下げて、それを実現するための働き方を考えましょう。
条件にぴったり合う企業が見つかるかもしれないし、もしかしたら会社員ではなくフリーランス(やモバイルボヘミアン)を目指すことが正解となるかもしれません。
いずれにせよ、「理想の仕事を作るのは自分自身」という意識をもって仕事に向き合うことが大切です。
今の仕事に疑問を持ち始めている方は、ぜひ本書を読んでみてください。