多くの企業にとって、DX(デジタルトランスフォーメーション)は競争力強化や業務効率化のための重要な取り組みです。
それは、ソフトウェア開発というデジタルの最先端と思える業界でも、DXによる効率化は欠かせません。ソフトウェア開発の効率化における大きな障害の一つが、複数の開発者が協働する際のソースコードの管理の煩雑さです。
従来、ソースコードの管理には、バージョン管理の難しさや変更内容の上書きなどの課題がありました。
こうした管理に工数がかかってしまうため、単純に開発者の人数を増やすだけでは作業を効率化することが困難だったのです。
こうした課題を解決するために、注目されているのがGitHub(ギットハブ)です。
本記事では、GitHubの概要や特徴、導入するメリットなどを初心者の方でも分かりやすく解説します。
GitHubを使いこなすことで、開発の生産性を大幅に向上させることができますので、自社のDX推進にGitHubを活用することをご検討ください。
GitHub(ギットハブ)とは
GitHubは、ソフトウェア開発のためのバージョン管理と共同作業のプラットフォームです。2024年5月現在、全世界で9,400万人以上のユーザーに利用されています。
GitHubの中核となるのは、「Git」というバージョン管理システムです。
Gitは、LinuxのOSを作ったリーナス・トーバルズ氏によって開発された分散型バージョン管理システムで、ソースコードの変更履歴を効率的に管理できます。
「GitHub=Gitを拠点とするシステム」は、このGitの機能をクラウド上で提供し、より使いやすくしたものと言えます。
GitHubの主な機能は以下の4つです。
- リポジトリ(ソースコードを保存する場所)の作成と管理
- ブランチ(並行して開発を進めるための仮想の作業スペース)の作成
- プルリクエスト(変更内容の提案とレビュー)
- イシュー(課題や要望の管理)
これらの機能を活用することで、複数の開発者が効率的に協力してソフトウェアを開発できます。
GitHubを導入する4つのメリット
全世界の多くのユーザーから利用されているのは、確かなメリットがあるからです。
GitHubを活用することで、大企業だけではなく、中小企業であっても以下の4つのメリットを得ることができるでしょう
- バージョン管理による開発効率の向上
- チーム開発の円滑化とコミュニケーションの活性化
- オープンソースコミュニティとの連携による技術力向上
- 人材採用やブランディングへの効果
バージョン管理による開発効率の向上
GitHubを使えば、ソースコードの変更履歴を簡単に追跡・管理できます。これにより、開発中になんらかの問題が発生した際には、問題発生前の任意のバージョンに戻すことが可能です。
また、変更履歴を確認することで、誰がどのような変更を行ったかを把握できるため、開発効率の向上が期待できます。
チーム開発の円滑化とコミュニケーションの活性化
GitHubは、コードレビューやディスカッションを円滑に行うための機能が整っています。また、イシュー(課題管理)機能を活用することで、タスクの進捗状況を共有できます。
GitHubを導入することで、チーム全体でのコミュニケーションが活性化し、開発プロセスがスムーズに進行するでしょう。
オープンソースコミュニティとの連携による技術力向上
GitHubには多数のオープンソースプロジェクトが存在します。
オープンソースプロジェクトとは、ソースコードが公開されており、誰でも自由に利用・修正・配布できるソフトウェアの開発手法を指しています。
プロジェクトを通じて、最新の技術トレンドを学んだり、他社の優れたコードを参考にしたりできるため、社員の技術力向上が期待できます。
GitHub上では多くのオープンソースプロジェクトが公開され、世界中の開発者が自由に貢献できる環境が整っています。
開発者はこれを有効活用することで、専門領域の知見が深まり、エンジニアとしての立ち位置を明確にすることもできます。また、客観的な評価を得られることも大きなメリットです。
さらに、企業にとっても、オープンソースソフトウェアを活用することで、開発コストを削減し、品質の高いソフトウェアを効率的に開発でき、より効率的なDXが推進できます。
人材採用やブランディングへの効果
GitHubでの活動は、技術力の高さをアピールする機会にもなります。
GitHub上で公開されているプロジェクトを通じて、企業の技術力や取り組みをアピールすることができるからです。
これにより、優秀な開発者の採用や企業ブランドの向上に繋がるでしょう。
GitHubを使用する上で知っておくべき7つのキーワード
GitHubを効果的に活用するためには、いくつかの重要なキーワードを理解しておく必要があります。
これらのキーワードは、GitHubでのソフトウェア開発プロセスにおいて頻繁に使用されているため、開発者間のコミュニケーションや作業の効率化に欠かせません。
ここでは、GitHubを使用する上で知っておくべき7つのキーワードについて詳しく説明します。
1.リポジトリ(ローカル/リモート)
リポジトリとは、ソースコードを保存する場所のことです。
自分のPC内にあるのがローカルリポジトリ、GitHub上にあるのがリモートリポジトリです。
ローカルリポジトリで作業を行い、変更内容をリモートリポジトリに反映させることで、他のメンバーと共有することができます。
2.ブランチ
ブランチとは、一つのプロジェクト(通常はメイン/main)から分岐して作成する、独立した開発ラインのことです。ブランチは直訳すると「木の枝、支流」等の意味になるため、現行バージョンのプロジェクトから枝分かれさせて、他の作業を行うときに使われます。
ブランチを用いることで、新機能の開発やバグ修正などを、mainとは別の環境で行うことができるのです。
これにより、複数の作業を並行して進めることができ、開発の効率化につながります。
3.コミット/プッシュ
コミットとは、ローカルリポジトリでの変更内容を記録することです。コミットすることで、変更履歴が残り、いつでもその時点の状態に戻すことができるようになります。
プッシュとは、コミットした変更内容をリモートリポジトリに反映させることです。プッシュすることで、他のメンバーが変更内容を取得できるようになります。
4.マージ
マージとは、ブランチの変更内容をmainブランチに統合することです。
ブランチで独立して作業をしていた内容をメインにマージすることで、ブランチの変更内容がmainブランチに反映されます。
5.プルリクエスト
プルリクエストとは、自分の変更内容を他のメンバーに通知し、マージしてもらうためのリクエストを指します。
プルリクエストを受け取った他のメンバーは変更内容をレビューし、必要に応じてコメントやアドバイスを提供します。
mainにマージする前にレビューを行うことで、チーム全体で確認をしながら円滑に作業を進めることができます。
6.フォーク
オープンソースにおけるフォークとは、他の開発者がオープンソースソフトウェアのコードを、自分のアカウントにコピーして元の上流にあるリポジトリとは別のリポジトリを作成することをいいます。
フォークしたリポジトリは、元のリポジトリとは独立しているため、自由に変更を加えることができます。
フォークを行うことで、より多くの人々が参加して、より良いソフトウェアを開発することが可能になるのです。
7.クローン
クローンとは、リモートリポジトリをローカルにコピーすることです。クローンすることで、リモートリポジトリの内容を自分のPC内に複製することができます。
これにより、オフラインでも作業を行うことができるようになります。ローカルリポジトリで作業した内容は、変更内容をコミット(ローカルで編集したファイルや追加したファイルをローカルリポジトリに登録する機能)やプッシュ(ファイル追加や変更の履歴をリモートリポジトリにアップする操作)することで、リモートリポジトリに反映させることができます。
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