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意外と知らない、歯のセルフケア。歯を健康に保つための7か条とは


「顎がゆるめば、不調は改善される」(著: 滝澤聡明)より



自分の歯は自分で守る! セルフケアの心構え



「何かあっても、歯医者さんに行けば治してもらえるから大丈夫!」と思い込んでいませんか?


たしかに医療機関は患者さんが治療を始めるきっかけを作ったり、手助けをしたりすることはできますし、治療をすることも本来の仕事です。


しかし、決してすべての疾患を治せるわけではありません。基本的には、患者さんには「自分の歯は自分で守る!」という意識を常に持っていただき、通院していないときはできる限りセルフケアを頑張ってほしいと切に願っています。


もちろん、切開したり歯を抜いたりといった外科手術が必要なものはセルフケアのしようがありませんが、歯周病や知覚過敏などの慢性疾患は、患者さんのセルフコントロールの比重がとても大きいんです。


決して難しいことを要求しているわけではなくて、朝昼晩歯を磨く、噛みしめない、歯ぎしりしない、食事は左右バランスよく噛む、頬杖をつくのをやめる、そんな基本的なことを守ってくれればいいんです。


そのうえで定期健診に来ていただいて、歯の状態をチェックさせてもらえれば、こちらとしてもアドバイスできることはたくさんあります。


 


歯医者に任せきりはやめよう


何もかも歯医者任せでは、いつまでたっても健康的な歯は手に入りません。歯の本数は、上下合わせて28本ありますよね。極端な例ですが、18本ぐらいしか健康的な歯がないのに「ものを噛むと歯全体が痛い! なんとか痛みを止めてください!」と患者さんから言われたことがあります。


本来生えている数から10本も足りていないのに、残りの歯にかかっている荷重を分散させてあげるのは至難の業。家に例えれば、「柱は少ないですが、地震に強い頑丈な家を建ててください」と言っているようなものなんです。


セルフケアを頑張ろうという意識がなければ、いくら歯科医が治療しても意味がありません。みなさんの貴重なお金と時間を使って治療したというのに、それではあまりにももったいないのではないのでしょうか。


柱が1本、2本と減る前に、家主は日ごろから家の掃除や手入れをして、柱が痛んだらすぐに大工さんに見てもらい、もし柱がもう使えなくなってしまいそうだったら、新しい柱を設置するための相談をする。歯科医と患者さんも、そんな関係性を築けたらいいですね。


 


歯を健康に保つためのセルフケア7か



健康な歯と口内環境を維持するためには、日常生活の中で常に意識しておくことが大切です。下記に、その目安となる「歯を健康に保つための7か条」を挙げてみました。ぜひ普段の生活の中に取り入れてみてください。



1条 食事のときはよく噛んで食べる


非常に基本的なことですが、やはりよく噛んで食べることは大切です。咀嚼することで唾液がたくさん出て、口腔内の健康維持につながります。こちらの記事「日常生活に潜む『ドライマウス』の意外な原因と対処法」でもお話ししたように、唾液には自浄作用や抗菌作用があり、唾液が少ないと粘膜と接触したときに痛みが出やすくなり、口臭が発生する原因にもなります。ゆっくりと噛むことで唾液の分泌量もアップします。また、よく噛むことは顎周辺の筋肉を動かすことにもなるのでお勧めです。


2条 唾液腺を刺激するマッサージをする


こちらの記事「唾液量を増やして潤いを保つ方法 ドライマウスにご注意!」でも書きましたが、手や舌を使って唾液腺を刺激することで、唾液の量を増やすことができます。ただ、ドライマウスの人は毎日やった方がいいと思いますが、そうでない方はそこまで神経質になる必要はありません。緊張や体調不良で口の中が渇いていると感じたときなどに、ぜひ実践してみてください。


3条 食後の歯磨きは少し時間を空ける


食後、口の中は食べたものや唾液によっては酸性に傾く傾向があります。その場合、より歯磨きの効果を上げるためには、食後15~30分ぐらい間を空けて、口の中を中和させてからするのがお勧めです。すぐに口の中をサッパリさせたいという場合は、ひとまずお茶を飲んだり、口をゆすぐだけにしておいてもよいでしょう。


4条 歯磨き後のゆすぎすぎに注意


フッ素が入っている歯磨き粉を使って歯を磨くと、フッ素が表面に塗布されて歯のバリア機能を高めます。あまりにもブクブクとゆすぎすぎると、フッ素入り歯磨き粉の成分がすべて洗い流されてしまうので、軽くすぐぐらいが丁度いいと思います。口の中に残った歯磨き粉の泡を吐き出すぐらいを意識してください。


5条 できれば毎日、歯間ブラシやフロスを


歯と歯の間に詰まった汚れを取るために、歯間ブラシやフロスでのケアはできれば毎日した方がいいですね。治療中で歯が下がっているところは、食べカスなどが詰まりやすいので特に念入りに。


これをやっていない患者さんはとても多いのですが、歯ブラシでは届かない場所なので、面倒でもきちんと歯垢を落とすようにしましょう。あまり強くやりすぎると歯や歯ぐきを傷つけてしまうので、水の力で汚れを落とす「エアーフロス」は特にお勧めです。


エアーフロスとは電動歯ブラシの一種で、歯間に当ててスイッチを押すと水が飛び出し、その水圧で歯間の汚れを洗い出してくれます。通常のフロスや歯間ブラシは使いづらくて苦手という方は、エアーフロスも試してみてはいかがでしょうか。


6条 柑橘類や炭酸飲料は控えめに


先ほど、食事をすると口の中が酸性に傾くことがあるとお話ししましたが、柑橘類や炭酸水を口に入れると特に酸性濃度が高くなります。すると歯が溶けやすくなるので、フルーツをよく食べる人や炭酸飲料をよく飲む人は、歯がすり減っていたり、知覚過敏になったりする方が多いです。他にはお酢、ワインなども口の中を酸性にします。もちろん、絶対に口にしてはいけないわけではないのですが、健康のためにも食べすぎ・飲みすぎには注意しましょう。


7条 自分の癖や弱点を把握する


歯並びの中で、食べカスがつまりやすい場所、磨き残しが多い場所などは、そのまま疾患になりやすい場所でもあります。いつも同じところばかりむし歯や歯周病になってしまう人は、磨き方が間違っている、同じところで噛んでいる、もしくはそこが体質的に弱い部分なのかもしれません。そういう部分を把握しながら歯を磨き、ものを噛むようにするだけでも、歯の健康に対する心構えが変わってくると思います。今一度、鏡の前で自分の歯をじっくり見てみましょう。



 いかがでしょうか。いずれも普段の生活で実践するのはさほど難しくありませんよね。とはいえ、がんばって全部やろうとすると長続きしないので、できることから少しずつ始めて、そのうち習慣化していくことを目指しましょう。


 


「身体に良い食事」=「歯に良い食事」



「歯の健康のために、『いい食事』はありますか?」これも患者さんから非常によく聞かれる質問です。食事によって歯の良し悪しは決まるものではありません。強いて言うなら、〝よく噛んで、バランスの良い食事を摂ること〟これが基本です。


ダイエット番組でしばしば取り上げられるように、どれか1つの食材を食べ続けていると必ず体調を崩します。偏った食生活を改めて、一汁三菜、とまではいかなくとも、白米や玄米、肉、魚、野菜、卵、海藻類、きのこなどの中から、できるだけいろいろな食材の栄養を摂るようにしたいですね。もちろん、飲み物は甘味料が入っている甘いジュースなどは控えましょう。


 ダイエットも歯科医療も〝健康〟という点では地続きになっています。即効性を求めて「これが効く!」と聞いたらつい飛びついてしまいがちですが、1つの食材や方法にこだわるのではなく、適度な運動とバランスのとれた食事、適切な入浴や十分な睡眠時間など、トータルで健康的な生活を送ることが大切なんです。歯科診療も同じで、「歯を良くするための食事」と考えるのではなくて、「身体にいい食事」を摂ることが必要になります。


私も昔は脂っこいものを食べたり、ワインも好きで良く飲んでいたのですが、年齢とともに脂質を減らしていって、お酒もやめて、野菜や穀物を多めに摂るようになりました。食事で摂取した栄養は血液に乗って全身に流れていくものですし、「身体にいいもの=歯にいいもの」だと思うんです。


みなさんも視野を大きく持って、歯だけではなく身体全体の健康を考えてみてはいかがでしょうか。そして即効性を求めるのではなく、いつまでも健康でいられるよう恒久性を重視した身体づくりをしていっていただければと思います。


 


体質は人それぞれ 自分にとっての「歯の7か条」を考えよう


〝歯を健康に保つための7か条〟の最後に「自分の癖や弱点を把握する」と挙げましたが、みなさんはどんな癖や弱点がありますか? 右側でばかり噛む人もいれば、よく噛まずに飲み込んでしまう人、歯並びが悪くて磨きづらい人……いろんな癖や弱点を持った人がいると思います。


今回、目安として私が考える〝7か条〟を挙げましたが、これだけ守っていればOKというわけではなく、人それぞれの体質や習慣によって必要なものは異なります。1日3回歯を磨いて毎日唾液マッサージをしていればみんなむし歯にならないかといったら、決してそんなことはありません。同じ時間勉強をしても人それぞれテストの点数が違うように、Aさんに効果があった方法をBさんが真似しても、同じように効くわけではないんです。


医療全般に言えますが、「これだけやっていれば健康になる」という魔法のようなものはありません。偏ってしまった思い込みは一度クリアにして、自分にとっての〝7 か条〟は何かを改めて考えてみてくださいね。


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